桜氷

とうま

第1話「プロローグ・始業式と放課後」

春風に黄昏、ワクワクと緊張を胸に弾ませながら車に乗って学校へ向っている、途中信号で止まったり、道路の凸でガタッてなったり、桜が見えてきたら運転手の母親に「花びらが車の中に入るから窓を閉めて」と言われそして、窓を閉め窓越しに外を見渡せば桜が散り過ぎて窓がまるで紙ぺったんで貼りまくったみたいになって薄暗くあまり景色が見えなくなった。「あー見えない」と呟くと、母親に「もうすぐ着くよ」と言われて、近くなる感覚にドキドキ感が溢れそうになった。外から若い笑い声が窓越しに聞こえてくる。早く早く!ガチャっと車のドアを開け車から降りる。そしてバタッとドアを閉める。胸に溢れるワクワク感に鼻で感じる桜色の甘い匂い、たまに見る緑の草や木に若草色の匂い、俺はこの感じが!春と始業式という条件が揃わないと起こらない現象とも言うべきこの感覚が、堪らなく好きだ!母親達は「これから仕事があるから」と言い残すとぶぶぅんと車を走らせる。そして俺は沢山の生徒の間を通りながら体育館へ到着し、少しスポンジがはみ出たパイプ椅子に座った。俺の名前は「あ」から始まるので出席番号が1番だった。そのためか、席は一番前で隣のクラスと隣合わせだった。あぁ緊張する……俺の心臓はバクバクしている。そして校長先生の話も終わり、出席順に名前が呼ばれる、「天方 髻」先生のハキハキとした声がG線上のアリアのメロディーで装飾された体育館に響き渡る。俺はその声に反応して緊張で震えつつも「はい!」と大きな声で返事をした。それからと言うもの、少し緊張が解れ、時間が少し早くたって行き、いつのまにか放課後になっていた。はぁ、緊張して疲れたー、俺は取り敢えず今日を終わらせたような気がした。そして、家に帰りご飯を食べてお風呂に入り、寝る。寝る数分前、明日はクラスの皆と自己紹介かどんな紹介をしようかなー、と思い、そして数分後、いつのまにか眠っていた。

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