第16話
詐欺師の記憶/Wednesday
「うん、最終検査オッケ。退院だね」
あの医師の一言で病人を退院させていいのかわからないが無い荷物をまとめて病院を出る。そのまま歩いて家に戻る。地球温暖化だなんだと騒がれている今の時代。2月なのにもう春みたいな気候だ。少し前まで寒かったのに、暑いくらいだ。
家。森の奥にある博士の莫大な貯金を少しと博士自身が作り上げた。ちょっとした豪邸のような建物。いろんなセキュリティを解除して中にはいる。
靴を脱いで奥に進むと廊下の向こうから歩いてくる大きな影。鉄人のような容姿をした大きなロボ。そのロボが喋る。
「この家に戻るのもいつぶりかのう。携帯に住み着くよりこのロボの方が居心地がだいぶ変わる」
そう。この家で博士はこのロボにはいって生活をしている。最初に徹が博士に頼まれラジコンロボを買ったことからはじまった。ラジコンロボに憑いたと思うと、成人ほどの大きな鉄人ロボを組み上げ、大量生産しこの豪邸を作ったのだ。あの鉄人にはロボットアームからラジオまで備わっており、時折博士自身が新機能を追加している。ちなみに僕たちはあの鉄人の本気を知らない。
「そうじゃ、豪に伝えておかねばならんことがあるのじゃが...」
「ごめん、博士。僕今日疲れているんだ。金曜にして」
「そうか、なら置手紙を書いておくとしよう。まあみんなのために早く寝たほうがいいかもしれんな。最近急に暑くなってきたから体調には気をつけよ。Good night&have a nice dream」
「うん、おやすみ」
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