Small Worlds
旅道
第1話 No Data of Yesterday 第1章 Mのカルテット
旅人の記憶/Monday
いつも通り学校に行く。ただいつもと違う感覚が俺を襲う。俺は今日、人生最大級の緊張状態に陥っていた。常に人生最大級が塗り替えてられているが気にしない。俺には思いを寄せている女性がいる。今日はその人を午後映画に誘うと決めていていた。そして、映画を見に行った後、前から準備していた彼女への誕生日プレゼントを渡すことも予定に入れていた。残念ながら金がなくて普通のものしか買えなかった。朝はいつも同じ電車。車両が同じ時には駅から一緒に学校に行く。そして今日、祈りが通じたのか車両が同じ!最高のシチュエーション。もうこのタイミングで誘うしかない。
「なぁ」
「うん?」
「今日午後一緒に映画行ってくれない?」「え?なんでまた急に?」
「いや、行く人いなかったから」
ほんとのことが言える訳ないよな。
「お願い!」
「1日考えさせて」
「わかった」
なんて、女子の考えさせてなんて1番当てにしちゃいけないのは知ってます。彼氏が他校にいることも知っています。
とか考えてたら、
「うん、いこうよ」
まじかよ!テンション上がって舞い上がりそうなのを抑えて
「まじ?ありがとう」とだけ笑顔で伝えた。
その日の授業なんかそっちのけだ。
待ち合わせ場所には10分前着。そして彼女到着。そこからは幸せな時間を過ごした。映画を見終わってプレゼントを渡した。ありがとうと笑顔で受け取ってくれた。開けてはくれなかったけれども。
ただこの世界では幸せの時間とは長く続かないものなのである。特に俺の場合は幸不幸が波のごとく変わっていくのだ。帰り道の途中、とある女子集団が歩く俺たちに向かってきた。そしてそれなりに整った顔立ちのリーダーのような女性すごい剣幕で怒鳴った。
「浮気するならわかれてからにしてよ!」
隣を見ると彼女の冷たい視線。前の女子集団からも冷たい目線。見たことない人たち。
勘弁して欲しい。こいつら誰だよ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます