第9話 対策本部③

原因は分かった。そして対策も正しかった。


次にやることはすでにワープしてしまった艦、そして乗員の救助だ。


そんなことは分かりきっていた。しかし、どう救助するか、ということは誰も思い付かない。


相変わらず騒がしい室内では、ああでもない、こうでもない、等と終わりのない議論が進められていた。


もちろん、部長もその一人だった。業務時間上は休憩時間になったことを口実に、ネットを見ている。


『このワープ禁止いつまで続くんだよ・・・』


『生活かかってるんだが?』


『どこにもいけねー!』


等、もはや有象無象と言える投稿にうんざりしつつスクロールしていくと、


『ワープしてすぐ逆噴射してればこっちの世界ともう一つの世界繋がるんじゃね?』


という投稿があった。その投稿には、


『それはない』


『むちゃくちゃすぎだろw』


等、否定的な返信が多くあった。が、そんなことにはお構いなく、部長は一人の部下を呼び、


「これ、どう思う?」


とその投稿を見せ、聞いた。


「これっすか・・・そりゃ上手くいけば・・・そもそもそんな状態にして大丈夫なんですかね?」


「そうだな・・・まあそれはまた実験機を送り込めば良い それ以外なら問題はないか?」


「まあどうやってその状態にするか、っていうのはありますけど」


「その方法は、浮かんでいる」


「ほ、本当ですか?」


「ああ、なんと説明すればいいか・・・」


そう言うと部長はタブレットを取り出した。


「まずニ艦用意する そしてその二つを接続する」


「よっぽど丈夫な素材使う感じですか?」


「まあそうなるな そしてワープを行う そうしたらすぐに反対側を向いている艦もワープを行う」


「・・・あーなるほど・・・」


少しげんなりしたような声を発した。


「無茶苦茶ですね、それ」


「まあ、無茶苦茶だ でも今のところこれしか思い付かない」


そう答えると、部長は男の目をしっかりと見た。その目の意味を感じ取った男は、観念して、


「・・・しょーがないすね、技術部に急いで聞いてきます なに言われるか分かったもんじゃないですけど」


と言った。


「悪いな、面倒ごとを頼んで」


「今度、どっか連れてって下さいよー」


「ああ、約束するよ」


そう言って軽く笑うと男も笑った。そして、ゆっくりと、頭を掻きながら部屋を出た。

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