第4話 一名気絶

この謎の世界についての話・・・もちろん敬語が使えない方にとっては全くよく分からない話だった。結論だけ言ってしまえばブラックホールに入ったあとに行く空間に今いるのでは・・・という話だった。が、そもそもその空間が未解明なので、大石が質問をかろうじてぶつけても堂々巡りになるだけだった。




大石は・・・そうして・・・・・・収納されているマットレスを引っ張り出し、


「深川ぁ・・・後は頼んだ・・・」


と言って横になりだす大石の姿があった。1分もしないうちに寝息を立てだしたのを見て深川はため息をついた。


「・・・すいません、こんなんで」


深川が謝罪の言葉を発すると、


「いえいえついこちらも難しい話をしてしまって・・・」


「・・・で、我々だけで元の宇宙に戻る方法というのは・・・」


「ああ・・・恐らくこれからたくさんの艦がこちらの世界にやってくると思います やってくる瞬間には元の宇宙とつながるはずです そこでその瞬間に戻る、というものですが・・・上手くいくとは・・・」


ベルの声が可能性がとても低いことを物語っている。


「まあなんにせよそろそろ休んでください 一体いつまでこの生活が続くか分かりませんからね」


ベルの言葉にはやはり諦めも含まれているようだった。


「ええ、ではこれで おやすみなさい」


深川は通信を切ると、伸びをして、棚から瓶を取り、小粒の携帯食料を飲み込んだ。この携帯食料は1つ飲めば1食分になるほどの栄養がつまっている。そして少し前の大石のようにマットレスを引っ張り出し、艦内の電気を消し、横になった。


星明かりもなく、電気を消してしまった艦内はすっかり暗くなり、2人の吐息だけが響いていた。


時計は協定世界時12時、日本時間21時を指していた。青く光る時計の表示は不気味さを醸し出し、深川の鼓動を少し早めた。その鼓動を押さえるように布団に入り、掛け布団を顔まで被せた。


深川はその格好のまま、夜を越し、朝を迎えた。

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