スーサイド再びー20

「ん?・・・ここは家か?」


「姉様!」「姉さん!」


「メリハ!マーラ!私は・・・」


「はい!待ってね?ええと…時間は午後5時19分!


容疑者確保しました!べラムへ連行します!」


「お!お前は!?何故腕を掴んでるんだ!!」


「ん?お前だろ?川を流れてた山を沈めたのは?


1ヶ月ちょっと前の話だろ?」


「・・・やったけどそれと関係あるのか?」


「容疑者が容疑を認めたな?


そのせいで俺達はスーサイドに戻らされたんだからな!


幻獣騒ぎの最後が人ってどう思う?」


「いや、知らないがそろそろ離してくれないか?」


アーニアの顔が赤くなってきてる。


・・・枠埋まったな…はぁ…


俺は納得して手を離した。


マーラも気付いたみたいだ。




「で私は?どうなったのだは…不毛だな…


怒りに駈られてコロシアムを溶岩地帯に


変えてしまった…そして負けたんだな…」


「その通りな!強かったぞ!


俺の最強相手ランキング一位だ!


おめでとう!」パチパチ…


トキの拍手が虚しく部屋に響く。


「お前おかしくないか?


ペットにされ掛けて死にかけたんだぞ?


何呑気にからかってるんだよ!」


「ん?俺は存在自体が異常だからな?


異常がおかしいのはおかしいか?」


「言葉がややこしいから止めろ!」


・・・突っ込み要員増えたぞ!ヴァイス!ガデル!




「まぁ脱線させたが・・・その山は魔物でな?


お前のせいで岩竜リケラが溺れてな?


俺に頼ってきたわけよ!


溺れる前に幻獣に会ったからお前も


リケラから幻獣認定されてな?


他の幻獣は倒したが残り一体見当たらないと


思ってたら君だったわけ!理解したか?


あぁ忘れてたな!自己紹介しようか!


俺はトキ。元浮浪者の現冒険者ランクB


スーサイドは依頼で久しぶりに帰って来た。


仲間は反対の森にいるから!


岩竜とアシュラグリズリー、ミックスケルベロスは


仲間だからな?以上!」


「・・・気になるところ多すぎない?」


「気にしたら負けだぞ!まぁ俺に負けてるけどな!


ハハハハハ!自分で笑って虚しいな…」


「なら笑うな!こっちも虚しくなるわよ?


で?これからどうなるの私は?」


「・・・悩んでる!」


「なんで!?」


「アマゾネスはべラム知ってるか?」


「スーサイドの領地を持つ貴族のいる街だろ?」


「そこは分かってるのか…


ならアマゾネスはべラムで知られてるのか?」


「・・・わからない…ずっとスーサイドにいるからね…」


「そこなんだよな!悩むのは一応、


貴族の関係者がいるんだが確認してみるか?」


「え?スーサイドに来てるのか?貴族が!?」


「仲間だしな!俺の生徒だ!」


「あんた何歳なの?10代にしか見えないけどね?」


「おっと忘れてたな!19歳だな!


失礼を承知して聞くけどあなたは?」


「私は失礼なんて思わないけどね?


アーニア!21歳だよ!」


「凄いな!その年で族長とは驚いたよ!


で、俺は生徒の元にアーニアを連れていけばわかるが


どうする?アマゾネスは人間だろ?


幻獣認定されたくは無いだろうからな…


下手したら人拐いの罪がつく可能性もある。


ペットはどうやってここに来たんだ?」


「質問が多いね?全部答えるよ!


私はトキに付いてくよ!アマゾネスは人間だ!


ペットは迷い混んでるのから選んでる!」


・・・迷い混んでるね・・・




「迷い混んでるなら問題ないか…


それじゃあ今から行けるか?


無理なら俺が生徒を連れてくるが?」


「大丈夫だ!フレイムアックスの消耗は激しいが


意外と元気だから問題ないよ!」


「了解!えっと妹さん達はどうする?」


「私達は残るよ…」


「ええ!私行きたいー!魔物見たいー!」


「我が儘言わないの!」


こそっ「姉さんが恋したかもしれないからね?


その道を邪魔してはいけないよ!」


「分かったー!姉様頑張ってー!」


「馬鹿!声が大きいよ!」


・・・聞こえてるからな?・・・


アーニアは首を傾げている。


「分かった・・・なら今から動くか?


辛かったら言えよ?おんぶしてやるからよ!」


「いや、良いから!おんぶは恥ずかしい!」


アーニアは顔を真っ赤にして


両手を前に出して横に手首から振るってる。


こそっ「マーラ姉様!私もわかりました!」


こそっ「でしょ?応援してあげましょう!」


こそっ「分かったー」


・・・だからな?聞こえてるからな?・・・


「んじゃ、向かうけど戦闘服で良いのか?」


「え?向かう途中魔物いるかもしれないからね!


この格好で大丈夫・・・だよ!」


「今の間は気になったがそれじゃいくか!


ちょっと急ぐぞ!飯に間に合わないからな!」


「うん!大丈夫だよ!」


・・・だんだん返事が幼くなってるな?




「あ!俺の武器と服は?」


「忘れてましたね!今から取りに行きますか?


姉さんは出かける準備を!


トキは私マーラに着いてきてください!」


「ああ、分かった!ならアーニア?


村の入口で待ち合わせな!」


「分かった!」


俺とマーラは家を出て村の倉庫に向かった。




「トキは分かってるよね?


姉さんの言動の違和感に?」


「徐々に幼くなってるな!」


「でしょ?私も初めて見たのよね…


はっきり言うわね?


姉さんをよろしくお願いします!


負けたからか優しくされたからか知らないけど


姉さんトキに恋してるからさ!」


「だろうな…気づいているさ…


だけど族長だろ?地位はどうするんだ?」


「臨時で私が受け継ぐから大丈夫よ!


アニア族長代理としての実力あるから!」


「そうか…なら分かったよ!連れていく!


だがアーニアが他の人を好きになったら


応援するからそのつもりでいろよ?」


「まぁ!ありがとうね!


そんな事起きないと思うわよ!」


姉の幸せを願いトキが受け入れてくれて感謝した。


倉庫を覗くと地面にめり込んでるフルバルを


見つけて拾い上げると驚かれた。


持ち運ぶのに数十人で掛かって運んだ物を


軽々と持ち上げてる。


服装を貰い着直すトキ。


ファントムシックルもストレージに戻す。


腰にフルバルを帯びて考えた。




「・・・マーラにこれやるよ!」


倉庫から出てからマーラ


トキはストレージから1mの黒い鋸鎌を渡した。


刃の部分は鋸から刃物へと変えている。


「ありがとうね!だけど良いの?


トキの武器じゃないの?」


「200本あるから余ってるんだよ…


量産品だがゴーストの使ってた大鎌だ!


試したら驚く切れ味でな?


これ切ってみろよ!」


ストレージから1.5mの木人形を


案山子を地面に差した。


マーラは鎌の感触を振るい確認する。


「軽いわね?これは折れないの?」


軽さに疑問持ちながら案山子を裂く。


・・・早いな?実力はあるようだな・・・


シュンと風切り音を出して案山子を切り裂くが


案山子は変化しなかった。


「これ切れてるの?感触を感じなかったけど?」


「切った上部を押してみな!」


首を傾げながらマーラは案山子を押してみた。


案山子は下部だけを残して押す力で


上部が後方へと落ちていった。


「なにこれ?鎌の力なの?


最初からこんな風に切れてたなんて事無いわよね?」


「切ったからそうなんたんっだ。


刃こぼれしないし音もしないから


暗殺するときに使えるぞ?


妹の・・・メリハだっけ?


そいつにも渡してやってくれ!あと予備な?」


マーラにファントムを5本渡す。


「良いの?これ結構価値あるものでしょ?


簡単に渡して問題ないの?」


驚きながらトキに問いかけた。


「言ったろ?量産品だって!


ゴーストの戦利品が多くてな?困ってたところなんだよ…


まぁアーニアを連れていくから戦力補強として


考えてくれると助かるがな?」


トキは苦笑しながら答えた。


「分かったわ!そう言うことなら貰うね!


大事に使われて貰うよ!


それじゃあ、姉さんも待ってる事だし


入口に行こうか!」


マーラは嬉しそうに鎌を持って歩いていく。


・・・武器もらって喜ぶ女性ね・・・


・・・アマゾネスだから良いのか?・・・


トキは悩みながら入口にたどり着いた。


入口には部族の女性が全員集まっていた。




「遅かったわね?あら?マーラ?


その武器はどうしたの?」


「姉さんを送るからね?私達の戦力が下がらない様に


トキがくれたのよ!私とメリハの分をね?


凄いよ!姉さんの武器に負けない能力あるのよ!


見た目は大鎌だけど切れ味が鋭すぎて


木を切っても倒れなかったのよ!」


「そんな事あるわけ無いじゃない!


私のフレイムアックスに負けないなんて!


ちょっと貸してみて!」


アーニアは憤りマーラから大鎌を借りる。


「振るってると軽いわね?これで切れるの?


力負けして折れるんじゃないの?」


「大丈夫だったよ!試しに・・・


トキはまだあれあるの?」


「ああ、出すよ」


ストレージから切られてない案山子を出した。


「人間ぐらいの太さね?


これが切れるのかしら?」


シュン!先程の風切り音を出して


アーニアは大鎌を振り抜いた。


「切った感覚無いわね?切れてるの?」


「姉さん!切った上の所押してみて!」


はしゃぎながらマーラはアーニアに告げた。


アーニアは恐る恐る押してみると


上部が後方へと落ちていった。


「なにこれ?鎌で切ったからなの?


仕組んで・・・無いわね?


刃の所に少量の木屑が残ってるし…


刃こぼれもしてない…これ大事な武器じゃないの!?」


「流石姉妹だな?同じ反応してるよ


ゴーストの戦利品で沢山あるからな?


在庫処分も含めてるから大丈夫だ!


俺にはまだ武器あるからな?」


「それなら…良いけど…凄いわよ?


これ持ってたら戦力があがるわ!


ありがとうねトキ!妹達に与えてくれて!


メリハもお礼を言いなさいね?」


「トキ兄ちゃんありがとうね!」


・・・ペットからかなりランクアップしたな・・・




「ああ!大事に使ってくれよ?


将来の族長として目指してな!」


ヴァイスぐらいの年頃だと思うメリハの


頭を撫でる。


嬉しそうに、はにかむメリハ。


横で良いなぁと呟いてるアーニア。


アーニアを見て全員が理解した。


『族長、恋してるわね?ここに戻らないわね…』


いつもの凛々しく屈強な顔つきのアーニアが


恋する乙女の顔をしているのを見たから。


「んじゃ、お世話になった…のか?


アーニア連れていくからあとは頑張れよ!」


「皆、アマゾネスの誇り忘れないようにね?」


・・・あんたはどうなの?・・・


アーニア以外は同じ事を考えて手を振り


送り出した。




「・・・という訳で連れてきた!」


「初めまして!アマゾネスのアーニアです!」


「これは初めまして!ヴァイスです。


話に出てきた貴族の息子ですが


気を使わないでも大丈夫ですからね?


それと先生?という訳でじゃないですよね?


そんな出来事を簡略して伝えないで下さい!」


現在トキはヴァイス達と合流していた。


「ヴァイス君の言う通りだな!


アマゾネスは看過出来ない事だぞ?


スーサイドの民とは聞いたことないからな?」


「私もで「フィルは静かにしててください!」


・・・最近ヴァイス殿厳しくないですか?」


「話が進みませんからね?


唯でさえボケ要員のフィルが今話すと


話が進まないので!先生の土下座見たいんですか?」


「・・・静かにしてます!」


主人の土下座は見たくないようだ。


脅し文句として成立し始めてるな?


とトキは内心考えてた。


「とりあえず、僕は知らなかったですね…


スーサイドにアマゾネスが居たなんて…


ペットの件は無しで良いと思いますよ?


人を拐ってない・・・ですしね」


「ヴァイス君?一瞬考えたよな?


まぁこの森で保護されてると言い換えれば


問題ないだろ!外では通用しない出来事だけどな?」


「そうなのですか?」


「そうなのですよ!しかし先生もね?


連れてくるなら言ってくださいよ!


スーサイド編終わりじゃないですか!


何ですか最後がまさかの人だったって?


リケラが聞いたら驚いて落ち込みますよ?


良かったですよね?今いなくて!


そう言うことなので


アーニアさんを連れてくるときは


ちゃんと報告しないと行けませんよ!」


「突っ込み処満載だがな一言だけ言わせてもらうぞ?


いや、無理だろ…」


「ヴァイス君は久しぶりに出たからな!


飛ばしてしまってるんだよ…」


「ガデル?それは言うなよ…


せっかくフィルを抑えてるのに


またコメディシーンに戻されたじゃないか…」


トキはヴァイスとガデルの言葉に


次はコメディだなと考えてくれるとしまった。


「とりあえず明日、全員の前で挨拶と


今後について話すから解散しようか!


アーニアは2階の空き部屋までルティが


案内するからそこで泊まってくれ!」


「・・・分かった!」


ルティの案内でアーニアは2階へと上がっていった。


ログハウスの案内は済ませてるから


何かあっても大丈夫だろう。


「先生?ヒロイン枠がアマゾネスってどうなんですか?」


「俺も気になってたんだよな?どうなんだよ?」


「・・・俺に聞くな!早く寝ろ!」


メタ話になりかけたから早く寝かした。


俺も疲れていたので眠り明日の朝を迎えた。

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