第63話ゾラム領の内乱ー17

「先生!お久しぶりです!元気にしてますよ!


フィルもブラッドも元気そうだね?


先生はアジトの後何してたんですか?


隣の男性は誰ですか?


後、皆は何故、串焼きの匂いするんですか?」


ヴァイスは久しぶりに先生と会い近付いて


トキとフィルとブラッドに挨拶した。


そして気になる事を2つ聞く。




「あぁ、説明するのに時間掛かるからな…


その前に逃げない様にこいつら囲うからな?」


トキは告げると右人差し指を下向きから上に向かせる。


すると地面がせり上がり


1人1人を牢屋の様に土で囲う。


武器は牢屋作るときに外側に流してある。


1人当たり縦横高さ2mの牢屋を作り


2段の建物を構築した。


高さは8m、幅4kmの牢獄。


パッと見で兜が脱げてる奴は外側に配置している。




「先生!?良いんですか?魔法は有名になるから


使わないと言ってたのに…」


「ヴァイス?俺達もう有名みたいだぞ?」


「もしかして…ホウリョとべラムの事聞きました?」


「ああ…驚いた…走っていて咄嗟に足が止まったよ…


もしかしてヴァイス?お前も?」


「はい…まさか王国内に広まってて二つ名がある事を…」


「そうか・・・人の口に戸は建てられない…


穏便な生活してたつもりがな・・・


まさかスラム改革したとか新たな狩猟の仕方を


流行させたとかな…これからは忙しくなりそうだな…」


「はい・・・先生・・・」


トキとヴァイスは有名になってて


噂がある事に落ち込んだ。


有名になるとは異常な事だと思っている。


人より優れてる=異常の力を持つ。


トキ達は自分達が異常だと理解している。


だから穏便に過ごしたいと思っていた。




危険度ランクSSのスーサイドでトキは生活していた。


本来生活出来ない場所で1年半の生活。


森の外に出た時に力加減しないといけない体になった。


トキ、フィル、ルティは1年半、森を経験している。


ブラッドは危険度ランクSの魔物牛鬼人。


ヴァイスは数日経験し白髪になりと力を制限している。


全員が異常な存在である。




「トキ?落ち込むのは後でな?君がヴァイス君か!


俺はガデル!新たに仲間になった者だ!


よろしくな!」


「これはガデルさん!僕はヴァイスです!


これから大変だと思いますが


宜しくお願いします!」


ガデルとヴァイスは互いに握手を交わす。




「ヴァイスが居ない間、見事な突っ込みしててな!


フィルが突っ込みした時はどうしようかとな…」


「フィルが突っ込みですか・・・無いですね!


でもフィルの居ない間にラグの言葉が


分からない時に思わず地団駄踏みましたよ?」


「ラグに?珍しいな?ヴァイスがボケに回るなんて!」


「仕方ない事だったんですよ…


ラグは僕達の噂知ってて誇らしげに頷かれて・・・」


「何で知ってるんだ?あいつは森での生活だろ?」


「僕も言いましたけど・・・フィルが居なくて…」


「そうか・・・まさかラグがボケにまわるとはな…


あれか?あの森で生活する魔物はボケになるのか?」


「先生?僕も同じ考えてる時ありましたよ…」


「そうか・・・互いに深く考えないようにしような…」


「はい・・・先生…」


2人はボケとツッコミについて考えた。




「そんな事より説明しなくて良いのか?


俺の事とか飯の事とか・・・」


「先生?ガデルさんは僕の代用出来そうですね?」


「だろ?逸材を見つけたと思ってるよ!」


「何の話をしてんだよ!説明しないと!」


「ガデルさん!僕とツッコミ頑張りましょうね!」


「いや、ツッコミなんてしないから!


話が進まないからな!」


「流石ですね…先生?本当に逸材ですよ!」


「だろ?互いに切磋琢磨して磨いてくれよ?」


「はい!先生!!精進します!!」


「だから!話が進まないって言ってんだろ!」


ボケるヴァイスに翻弄されるガデル。




「さて久しぶりのやり取りしたし、話を戻すぞ!


俺達は盗賊のアジトを殲滅して救った人質と


関所通ってお前の紙見てな?関所調査してから


ゾラム侯爵の領地に人質が住んでたっていう村に


向かったんだ。そこは反乱軍の偵察部隊が村を襲ってな


略奪されて燃やされた死体の村になっててな?


そこでなんとか生きてる人を救助して家を直して


3日ぐらい様子見て各村を見て回り


襲われてる村を救いながら


出来なかった村は火葬しての繰り返し。


で、元の村に一週間徹夜で戻ってきたら


偵察部隊が近くに居たわけよ!んじゃ潰そうかと


夜に潰したら可哀想に豚の奴隷のガデルが居てな!


特殊なもの付けられてたから外して話を聞くと


まぁ辛い過去の持ち主でな!


反乱軍に貴族の幼なじみを殺されて部下に裏切られ


拷問みたいな奴隷の腕輪の装着。


その腕輪も呪刻印入りでな?普通のやつと違うものよ!


服従違反するとな・・・死ねない体で高熱が体を走る。


脳も内蔵も焼けるぐらいの熱!あれば地獄だよ?


そして違反を繰り返すと猛毒の針刺す機構付き!


毒は苦しませて殺すやつで酷いものさ!


それは保管してるから後で見せてやるよ!


気を付けろよ?死ぬから!


脱線したがガデルと命を掛けた模擬戦闘して


ニバルへと向かい殺して逃がして応援して食べて


大軍と戦ったわけよ?ガデルは外で復讐の1人と


あって俺の応援で勝って今に至るわけだよ!」


「先生・・・長いです!


しかも色々有りすぎですよ?」


「そうなんだよ…


そして『しかも…』が付くんだけどな?」


「まだあるんですか・・・しかし不思議な縁ですね?


って何で命を掛けた模擬戦闘してるんですか!?


反乱軍と戦う前に!?」


「トキ?ヴァイス君は苦労人だな?」


「分かるか?ここまで腕を鍛えたんだよ!」


「ヴァイス君…大変だったな…」


「ガデルさんは同情しないでください!」


トキの説明を受けてトキとガデルのボケに


ツッコミ入れるヴァイス。




「模擬の理由はな、ガデルの持つ武器を見せてもらい


腕を見ようとしたら白熱してな?技術も凄いが


俺の20%まで耐えたんだからな!傷を負ったし!」


「それは凄いですね!普通の人間では出来ないですよ?


しかも久しぶりの傷を負ったんじゃないですか?」


「そうだな…3ヶ月振り?ぐらいか・・・」


「ガデルさん!凄いですね!尊敬します!」


「・・・気になる点あったが…ありがとう…ヴァイス君…」


トキはガデルの評価を伝えヴァイスは尊敬する。




「で、ヴァイスはどうだったんだ?」


「僕はそこまで冒険してないですよ?


関所で調べて先生に知らせを書いて貼り、


ニバルの入口で見張りに3日ぐらい止められて


違和感を感じてラグにルティを街へ投げてもらい


街でルティに姉様を見つけてもらいました。


その後、入口まで来て姉様が活躍して…


あ、見張りは反乱軍の一員だったんです。


攻撃してきて姉様の反撃で顎を砕かれて


ラグに担がれ僕達は街に入りました!


一応ラグには街での活動出来るように登録してます!


そして姉様の嫁いだ家で噂を聞かされて驚きながら


ラグの行動に地団駄踏んで…そして偽物の見張りを


僕達が尋問して次の日から暗殺者が


12人現れ、それを撃退して尋問繰り返して…


作戦起てて内密に動いて今に至るわけですね!」


「いや、お前も冒険してるぞ?


何ラグにルティ投げさせてるんだ?


初めてのお使いかな?いや危険な真似させるなよ!


後お前の姉、怖いんだけど…反撃で顎砕くって…


ガデル?諜報部隊隊長だったお前に聞くけど


ヴァイスの姉ってなんかあんの?」


「・・・べラムでは有名だったな…


武芸と頭脳面の両面が優れてて


『天才のヴァイスと秀才のアイサ』


と呼ばれてたらしい・・・


俺も話聞いて顎砕いたには驚いたよ…みろよ横を…」


トキはガデルに言われてみると


フィルが目玉落としてベロ出して驚いてた。


「・・・またか・・・」「・・・またですね・・・」


トキとヴァイスはフィルのリアクションに呆れる。




「またって何だ?前もあったのか?」


「あぁ…確か・・・ホウリョだっけ?」


「目玉は砦ですね…


ベロはブラッドの進化で発動しました・・・」


「そうだったのか…目玉直してくれるか?」


「仕方ないですね…3回目は…ね…よし!


先生戻ります!2、1、0!ベロが戻りました!!


もう少しで意識も戻ります!!」


「不思議生物だな?トキ?グリフォンって・・・


「違うからな!」


そうなのか?しかしヴァイス君慣れてるね?」


「フィルから始まりフィルに終わるですよ?


ラグも顎外れて治しましたから


ガデルさんもやらないといけませんよ?」


「深いような名言を言ったな?10歳だよな?君?


後、これはヴァイス君!君の仕事だからな!


俺の仕事に入らないから!」


「僕が居ない時に無かったんですか?」


「涎垂らし過ぎて脱水症状起こして倒れたが


トキに言ったら水掛けて治ったな!」


「どういう状況ですか?それは?」


互いに説明して疑問しか出てこない2組。




「・・・とりあえず先生?後で話しましょうか?


疑問しかない説明では理解出来ないですよ?」


「そうだな!俺もヴァイスの説明には


疑問が多くてな…後にしようか!


そしてヴァイスの面影ある女性が固まってるんだが


あの人がお前の姉で顎砕きか?」


トキはヴァイスの後ろで固まる女性見て


ヴァイスの面影を感じた。


アイサは突然現れた牢獄に驚き、


それを作ったのがヴァイスの先生で若いのにも驚く。


そしてフィルの驚くリアクションに


驚きの理解を超えて圧倒されて固まってしまった。




「はい…アイサ姉様です…


驚き過ぎて固まってますね…


フィルのリアクションと僕達の慣れが


限界を超えてしまったみたいです…


ルティは・・・寝てますね…度胸ありますよ…」


「固まる理由は分かったがルティの度胸高さは


ヴァイス?お前のせいでもあるぞ?


ニバルのあの高い壁に投げられて1人で人探し…


お前も容赦無いな?知らない街に放り込むなんて…


俺でもしないぞ?誰かと組ませるからな俺は?」


「・・・流石に否定出来ないですね…


あの時は焦ってましたから…


反乱軍がニバルに侵攻していて


姉様が安全か分からなかったですから…」


「・・・シスコンか!?まぁ仕方ないとしよう!


で否定しないんだな?俺の顎砕きの言葉?」


「否定ですか?しませんよ!あり得ません!!


地面見てくださいよ!あの砕かれた顎の数!!


僕も驚いたんですからね?先生が居ると!!」


「・・・?あれお前の姉が?全部??


マジで!?本当に!!?うそだろおぉ!!おいぃ!!!


・・・ヴァイス?俺は赤い花咲かせる趣味あるが


骨を砕く趣味無いからな!絶対だぞ!!」


「・・・トキ?その否定おかしいからな?」


顎砕きの姉様は肯定しているヴァイスに


驚き俺は違うからなとトキは否定するが


否定がおかしいと指摘するガデル。




「トキ?ヴァイス君?本当に話進まないからさ!


ヴァイス君の姉戻してやらないか?


ブラッドが暇すぎて金属棒振ってるからさ!」


トキとヴァイスはガデルに言われて見ると


ブラッドが振り子打法でバット振っていた。




「・・・そうだな…ガデルの言う通りだ!


今回はボケが多すぎる!いつも以上にだ!!


ラグの行方を聞けて無いしな?


ブラッド?もうボケ要らないから!


頼むから全部の打法見せないで!!


種類が!数が多いから!!!


オープンスタンスだけで


どんだけあると思ってんだ!!


スタンダードもやめてくれ!!!


どちらも100超えてるからツッコミきれない!!!」


トキが話を戻す為にブラッドの打法を


止めるように説得する。


地球で野球ゲームしていたトキだから


言える言葉で2人には言えない言葉である。


なんとか止めさせて話を進める事にした。




「とりあえずヴァイス?姉を戻してくれ!


本当に進まないから・・・頼む!!


土下座するから進ませてくれ!!!」


「先生の土下座見たくないので早く戻します!!


姉様!!!早く戻って来て!!花畑なんて言わないで!


ああ…先生が準備始めてる…


姉様!戻って!お願いだから!!


仕方無い!!姉様すいません!!!」バチン!!


トキが正座したのを見て慌てたヴァイスは


アイサの頬をビンタした。




「・・・は!?私は何を?」


「良かった!姉様が本当に戻ってきた!!


先生戻ったので立ってください!!


土下座は本当に勘弁してください!!!」


ヴァイスはアイサが戻ったのを確認して


トキの土下座を止めさせて立ち上がらせた。




「ヴァイス君済まないな…止める事出来なかった…


土下座とはなんなのか見たかったから…」


「ガデルさんもやめて!?本当にお願いだから!!!


ほら!!先生が地面に戻っちゃったから!!!


先生!!!もう大丈夫ですから!!!


ボケる人は居ませんし居ても殴り倒しますから!!!


だから…だから本当に立ってくださいぃ!!!」


ヴァイスの言葉がニバルに響いた。


トキもなんとか立ち上がり


話を進められる事に安堵している。


深く息を吐いて気持ちを切り替える。


「長かったが初めましてトキと申します!」


トキはアイサへと挨拶を行った。

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