第62話ゾラム領の内乱ー16

トキ達がニバルに入る前の数分前。


「反乱軍ってこんなに弱いの?


指揮してる人も何その頭?兜飛ばして見たら


ほとんどがピカピカしててさ!新たな攻撃方法?


昼間にしか使えないよ?その攻撃?


5千もいてね?僕にやられる大人って何なの?


しかも隙だらけで攻撃してくださいって言ってる?


・・・後さ、先生に教えて貰った遊びの


膝カックン?で全員が正座紛いするのって有りなの?


凄いね?波が起きたよ?前から順に下がった!


これは頭跳ねられるよ?気を付けないといけないよね?」


現在ヴァイスは1人で反乱軍と戦って


生きてる人を叱ってた。




ルティはアイサ姉様に預けて全員に


子供の小さい体で後ろに回り膝カックンしていく。


そして広場で宣言した人と指揮してる人を


見つけて見分ける為に兜を手で飛ばした。


そしたらなんと頭を剃ってて


光輝いている。


一瞬眩しさに目を瞑るが動きながらの為にこけてしまう。


その苛立ちもあって今話してた。




最初はアイサとルティと共に戦ってたが


楽しそうに戦うアイサ姉様が戦ってるのを


見て広場の長椅子に座り眺めていた。


ルティも途中から出番無いと感じたのか


ヴァイスの頭の上で眠ってる。


「アイサ姉様だけで終わるんじゃないかな?


後、フィル?器用だね・・・


首に落ちないように2尾で優しく挟んで


僕の頭の上で寝息たてて・・・侵攻中だよ?


まぁ、僕も座って見てるから言えないんだけどね…」




ヴァイスは最初尋問の疲労と有名に成ってる事に


怒りを露にして戦ってた。


反乱軍の膝を壊して立てなくさせていくヴァイス。


大人と子供では体格が違う。


上半身を上手く攻撃出来ない。なら下半身を狙えば良い。


白く動く影が縦横無尽に駆け抜けて行き、


前列の反乱軍の膝を砕いていく。


集団でも武器の範囲を保ち動くので隙間が出来る。


その隙間を縫うように膝を砕いていていた。




反乱軍の1人はは最初膝に激しい痛みを感じた。


感じた途端に立てなくなりその場に崩れていく。


周りも同じ様に崩れていく。


白い影が現れては両膝を鞘で一瞬で打ち抜いてる。


自分も同じ目にあったんだとその時に自覚した。


自覚した時に前列から悲鳴や嘆願する声が聞こえて


振り向くと女性に首を跳ねられ、顎を砕かれる光景が


目の前に広がっていた。楽しそうに笑顔の女性がいる。


動いていた白い影も隣で見ていた。唖然としている。


一瞬だが顔を合わせて敵同士なのに頷きあった。


『僕が原因だけど生きて!』『分かった!』


互いに考えてる事が理解出来てしまった。


よく戦場で顔を見るだけで人の考えが分かると


聞いた事あるが仲間ではなく砕いた本人。


敵と考えを分かち合う出来事が起きるとは思わなかった。


白い影はその場から離れて俺も武器を杖に動くが


間に合わなかった。目の前に現れたと認識した時には


顎に痛みを感じた後に意識が一瞬で消えてしまった。




ヴァイスはアイサの戦い方を見てまだ鬱憤あるが


今は半分以上立てなくしたので任せようと


思いアイサの元に向かった。


「姉様?半分は立てなくしたのでどうします?


久しぶりの武術解放でまだしますか?」


「そうね・・・頑張って見るわ!


疲れたなら休憩してていいわよ?大丈夫だから!」


「分かりました!では危うくなれば向かいますから!」


ヴァイスはアイサに任せて長椅子に座る。


途中のヴァイスの会話はこの後に起こる。






「どういう事だ?これは!!幻を見てるのか?」


「私も驚いてますが幻ではありません…


現実に子供が反乱軍の半分を立てなくして、


長椅子に座って休憩してます…


残りはゾラム侯爵の夫人アイサが笑顔で


斬殺、撲殺しています…指揮者や強者は


念の為にダスティ様の近くに下げて


ラレ率いる冒険者、ギルド、通商連合300で


現在対処してますが・・・」


「ニルは!?あいつは何してる!


ゾラム侯爵の直轄軍の反乱分子を連れてくるんだろ?」




「今現在ゾラム侯爵の疲弊した軍と戦闘中だそうです…


なんとかこちらまで誘導してるみたいですが


情報が筒抜けらしく先手を討たれて


数が減ってきていると連絡がありました・・・」


「なんだと?情報が筒抜け!?馬鹿な!?


暗躍部隊だろ?ラキュ、ニル、ラレの3人は


ニバルで長きに渡り地位を上げ密かにしていた


作戦を暗躍していたんだぞ?


その暗躍作戦が筒抜けだあ!?


堕肉のニクルじゃないんだぞ!!あいつらは賢い!


だから第3王子から直接にニバルを任せられたんだ!


なのに何故だ?何が原因だ?何の為の暗躍部隊だ?


あいつらなら排除してたはずだろ?」




「それが・・・あの子供が暗躍したみたいです…


当初はニバルに入れ無いようにしていたと…


侯爵達に入口に子供がいる情報を遮断していた…


なのに何故か3日目に突如夫人のアイサが現れ


迎えに来てその時の見張りが勝手に動いて


攻撃を仕掛けて返り討ちに…


現在侯爵の家に顎砕かれて居ると…


2日間は見張りの暗殺をしていたみたいですが


全て帰らず、ラレとラキュの判断で暗殺を止めて


現在に至るとの連絡がさっきラレから来ました…」


「何故重要な情報を教えないんだ?あいつらは!?


作戦内容が気付かれてる事に気付かなかったのか?」


「暗殺中は用心してたみたいですがラキュ、ラレ、


ニル共に反乱軍の話が来ない事に安心したみたいです…


顎砕かれて尋問出来なかったと思い込んで…


暗殺者も魔物に顎を砕かれたみたいです…


当日まで何も起きなかったので放置したと…


子供だから何も出来ない!魔物は知性無いからと…」


反乱軍のニバル侵攻部隊の参謀アッシュはダスティに


ラレからの情報を詳細を伝える。




「その怠慢がこれか?奴らは堕肉と一緒じゃないか!?


顎を砕かれてるから尋問出来なかった?


馬鹿なのか?頷くとか回復させて話すなんて


出来ると思わなかったのか?


尋問って意味分かるか?『問い尋ねる』で尋問だ!


『尋ねる』は質問する!分からない事を聞く!だぞ?


顎を砕かれてるから答えない?馬鹿なのか?


さっき言った事されると思わないのか?


そして暗殺者も同様に砕かれてるからって


侵入してきてる奴を尋問しないお人好しいるか?


仮にも貴族だぞ?拷問でもして吐かせるさ!


それに反乱軍について話が来なかったから放置した?


バレてるからに決まってるだろ?


誰が反乱軍が向こうは知ってるから来なかったんだよ!


いつ来るかも予測して待ち構えてた!


考えてみろ?俺の侵攻した時の言葉10秒の意味をよ!


来れないから言ったんだ!なのに来やがった!


ならどうして?簡単だ!バレてるから来れた!


そんな事も考えない暗躍部隊なんて意味無いからな?


そしてそれを見せなかった動きがこの結果だ!


ニルは先手討たれて、俺達は追い詰められている!


籠の鳥作戦も意味が無い!逆にやられた!!


考えてみろ?俺達は入口に自分達で人壁作り


封鎖してるんだ!逃げられない?逃げれないのさ!


出れるかもしれないが村を救った奴らは来てる筈!


ニクルからの作戦中の定点連絡が来てない!


しかも街の外の声聞いてみろ?悲鳴が上がってる


ニクルは殺られて外のF~Lの部隊は壊滅した!


良いか?1万1500の大軍が子供と女、それと


知らない奴にやられてるんだ!挟まれている!


見ろ!前にはラレがやられている!


後ろに声が聞こえない!もう残り俺達しかいない!」




ダスティは参謀アッシュ以上に頭を働かせて


職務を奪う。それほどにピンチなのだ。


ダスティは周りをみる。


残り2千ぐらい。連れてきた3千が殺られた。


後ろのニバルの外、5千とラキュの5百。


その声も聞こえない。門を閉めてる訳ではない。


人壁が消えて地面が高く立っている。


訳が分からない。


ニルの反乱分子も駄目だろう…先手討たれて


4千の侯爵軍に圧されてるはずだ。


今さらこっちに誘導されても迷惑だ。




「くそ!指揮者と強者は見張りしろ!


作戦練り直す!残りも考えろ!」


これしか言えなかった・・・




ダスティ達が考えてる時にアイサがヴァイスの元に戻る。


足音に気付いて振り向くヴァイス。




「ん?姉様もういいの?」


「ええ!充分堪能したわ!戦意が消えだしたから


帰ってきたわ!ヴァイスのお蔭もあるけど


張り合い無かったわ…まともに戦ったの5百よ?」


「・・・侵攻されてるのに悠長ですね?


まぁ、何時来る?数は?作戦は?リーダーは?等


全て分かれば対処可能ですからね!」


「それを出来たのヴァイスだけよ?


期間短いのに作戦起てて内密に動いて


先手を討つなんてなかなか出来ないのよ?普通は!」


「・・・姉様?僕のべラムでの評価忘れたんですか?


『天才のヴァイス』ですよ?そして『白影』!


自分で言ってて恥ずかしいですけどね…」


「キュゥ・・・?」


「起きたの?ルティ!後、少しで終わるからね!」


「キュイ!」


「仲良いわね!羨ましいわ!こんな時なのにね?」


「仲間ですからね!」「キュイ!」


アイサの言葉に誇らしげに返すヴァイスとルティ。




「さてと残りも少ないですし・・・


姉様?ルティお願いして良いですか?


先生から教わった技を使いたいので…」


「良いけど…どんなの?」


「単純な技ですよ?相手の膝を曲げさせるって


だけの技?ですね…見ても唖然とするしか無いですよ?


早く動くので動きが見えないと思いますが


波打つように前から落ちていきますので


見ててください!」


「分かったわ…なんか面白く無さそうね?


でもその為にもルティは預かるわね!」


ヴァイスはルティをアイサに預けて長椅子から立ち上がる。


広場にはすでにアイサの手によって倒された


沢山の死体が落ちている。


住民に家に居て貰って良かった・・・


ヴァイスは目の前にある光景を見て考えた。




ヴァイスはその中を歩き、アイサも距離を置いて歩く。


反乱軍がゆっくりと遠くから子供が近づくのを見て


慌てて報告し全員が身構えた。


ダスティ達はもう戦うしかないと判断した。


逃げられない。捕まると助かる訳が無い。


ならどうする?1択しか選択出来ない。


投降しても侵攻した者の対処は処刑しかない。


俺が貴族でも関係ないだろう。


俺は隣の貴族ダスティ=サバイ。


だからなんだ?関係ないだろう?


まさか子供がここまで強く、夫人も強いとは・・・


どこから計画が狂ったんだ?


暗躍部隊が失態犯したからか?


白髪の子供が来てからか?侯爵が結婚してからか?




色々ダスティは考えてる時に


反乱軍の前列と白髪の子供の距離が100mとなった。


150m先には夫人のアイサがいる。


こちらは弓兵はいない。魔法使いも外に回した。


あるのは剣、斧、槍、盾のみ鎧と兜は着けてるが


意味を為さないだろう。


目の前に広がる現実がそう伝える。


お前もこうなると・・・




「えーと!反乱軍の残党の方々?お疲れ様でした!


これからは・・・技の練習に付き合ってくださいね?


指揮者は兜飛ばして外させますから!


気を付けて下さいね?では・・・」


ヴァイスは目の前から急に消えた。


唖然とする反乱軍とアイサだが時が動き出す。


前列から順に膝から崩れていく。


痛みと違う衝撃で膝から落ちる。


横に人の波が落ちて後列へと進んでいく。


ヴァイスは自分の手で反乱軍の膝裏を


押していた。技の名は膝カックン。


本来相手の膝裏に自分の膝を当ててカックンさせるが


身長に差があるためにヴァイスは手で行う。




見ているアイサには訳が分からなかった。


ヴァイスが目の前に消えた途端に


反乱軍の前列の左から膝から落ちていく。


砕かれる音はしない。音も聞こえずに落ちていく。


そして左から順に右端へと崩れ落ちたら


次の列の右端から左へと人が波みたいに見せていく。


最後列まで終わるとガン!と音が複数聞こえる。


兜が空に飛んでいた。


最後にダスティを叩いたヴァイスは


その剃った頭の光に眩しくて目を瞑り


動きながらの為にこけてしまった。


・・・最後になんて罠を・・・


ヴァイスは光に苛立ちながら立ち直し


崩れ落ちた反乱軍の前に立ち言葉を告げる。




「反乱軍ってこんなによわいの?・・・」


冒頭のセリフに戻る。




ヴァイスが叱っていると正門から人影が現れる。


気配に気づいたヴァイスは正門をみる。


スーサイドで感じた事のある圧力ある雰囲気持つ


人間と魔物2体。知らない細身の人が歩いてくる。


「おぉ!ヴァイス?久しぶりだな!


一週間以上会ってないが元気か?


そいつらに用があるんだが時間くれるか?」


スーサイドでの雰囲気を消したトキが


ヴァイスを見つけて声を掛けた。

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