第54話ゾラム領の内乱ー8

ガデルは夢にまで見る腕輪の装着現場と


熱の走る腕輪の効果が今は無い。




実物も半分に割れて若い男が持っている。


「ど…どうやって外したんだ!


熱した金属の液体を流されて接合されたのに!」


「なにそれ!?怖いんだけど…良く生きてるね?


人が体験する話じゃないよね?


俺も人の事言えない体験してるけどさ…」


「主殿は運が悪かったとしか言えないですね!


その後はちゃんと生きてるじゃないですか!」


「ブモォォ!」


「まぁ…生きてるから諦めてはいるよ…


お陰でこんな力を手に入れたんだし…」


俺はガデルの目の前に右人差し指で白炎を作った。


白炎は綺麗に刃の形して歪さは感じられない。




「君は何者なんだ?あの堕落豚は何処に?」


「あ!やっぱり思ってたんだ!


肉君はあそこで寝てるよ?」


俺が指差した所には肉君だった死体があった。


「そうか・・・君がしてくれたのか!


助かったよ!お陰で体を焼く程の高熱と


いつ刺さるか分からない猛毒針から


解放されたよ!ありがとう!!」


「お礼は嬉しいんだけどね?


さっきの言葉に気になるのがあってさ…


体を焼く程の高熱ってなに?」


「あぁ…もう無いんだけどあの腕輪には


2種類の違反に対する罰があってね…


1つは猛毒針、もう1つが頭や体を焼く程の


高熱を走らせる効果があってね…


4回ぐらい受けたかな?死ねない高熱を感じたよ…」


「良く精神もってるね?普通は廃人だよ?


死ねない高熱って俺でも受けた事・・・有ったな…


あの時は死にたくても死ねなかった…


脳や内蔵焼かれてる感覚あるのに死ねなかった…」


「君も良く生きてるよ?でも同じ感覚だろうな…」


「お互いに大変でしたね…」


変な所で同じ体験するトキとガデルであった・・・




「話戻しますけど俺専用諜報員なってもらえます?


情報には疎くて貴方みたいな人がいてくれると


凄く助かるんですけど…良いですか?」


「君強いのに雇うんだね?


解放してくれたから良いけど


条件があるけど良いかな?」


何故か歳が違うのに敬語で話す2人。




「基本出来ない条件は無いですけど


何でしょうか?金ですか?」


「条件は金じゃない!復讐する為に手伝ってくれないか?


俺に腕輪した奴等の復讐だ。


反乱軍のメノスとラキャをこの手で葬りたい!」


「それなら良いですよ!簡単な条件で安心しました。


それでは契約関係は後にして自己紹介しますかね?


俺はトキ!18歳の魔法使い兼我流格闘武器士かな?


冒険者やっててランクはB!


後ろにいるのが喋るグリフォンのフィル!


もう一人が牛鬼人のブラッド!


危険度AとSの魔物だが


どちらもべラムでは人気ある2人だ!


今別行動しているが仲間の人間ヴァイス10歳!


冒険者ランクは同じB!白髪の奴で商売が上手い。


後ゼクスマーブルテイルのルティ!


ランクAの魔物でべラムでは人気の魔物だ!


他に臨時で手伝いのアシュラグリズリーのラグ!


橋作りの職人だ!ギルドに登録はしてない!


他にも仲間がいるが今は


3対3のグループに分かれている!」


「本当に君は何者なんだい??


自己紹介だったね!俺はガデル22歳!


以前はシレモ子爵の下で諜報部隊隊長していた!


今はそこにメノスがいるはずだ!


ラキャは分からない…探さないとな!


とりあえず頼むよ!トキ君!」


「こちらこそガデルさん!お願いします!」


俺とガデルは紹介を終えて握手を交わした。




「さてトキ君は今何か急ぎの要件あるかな?」


「急ぎとしてゾラム侯爵の反乱軍の鎮圧ですかね!


そっちに仲間が向かってるので


少し休んでから向かおうかと思ってますよ?


流石に拠点潰す前に各村を助けるのに


徹夜で1週間動いたのは体に来てますからね…


近くに助けた村があるのでそこに休ませて貰おうかと…


そうだな・・・ガデルさんは俺達がゾラム侯爵の


鎮圧している間は自由にしてて良いですよ!


ゾラム侯爵終えたら反乱軍潰す前に


べラムに戻るのでそれまでは自由に調べて下さい!


べラムの町には俺の拠点の経営している孤児院が


ありますので待ってて貰えば大丈夫ですよ?


復讐するならべラムで俺達と会ってからで!


迂闊に動いて貰っては困るんだよ?


こっちにも都合があるからな!だから諜報だけ!


そう言う事だから!焦って動くなよ?」


「あぁ…分かった…君は急に話し方変わるから驚くよ!


ゾラム侯爵領か…急いだほうが良いかもな…


情報では中央まで半日つまり明日の昼に着く!


数も多いが暗躍部隊もいる…


俺の友のシレモ子爵みたいになるかも知れない…


最悪ダスティを待つだけの舞台が整ってる可能性あるな」


「なるほどな・・・なんとかなるだろ?


仲間が1週間前には到着してるんだ!


暗躍部隊も壊滅してるかもしれない!


あいつらならあいつらの為の弔い合戦は無い!


逆にダスティが可哀想な想像しか出来ない!」


「そうか・・・信頼してるんだな!


なら自由に行動させてもらおう!


君らの実力を確りと確認したい!


一緒に行動して問題あるか?」


「まぁ…大丈夫だろ?遅れそうなら


フィルの背に乗ってもらうし…


了解だ!ガデル!先ずは寝よう!」


「了解しました!主殿!私も眠いです!」


「モォモォ!」


「よし!なら村に向かうか!


ん?いやここで寝たほうが良いか!」




トキはストレージから反乱軍から回収した


テントを出して寝始めた。


フィルもブラッドも続き野外で眠る。


ガデルは一連の行動に無駄が無く


トキ達の寝ている姿に驚くが俺もと寝始める。


こうして夜の拠点潰しは完了した。






トキ達が寝ている6日前。


「ルティ?ラグ?先生遅すぎない?


べラムから馬車で2日の距離でさ!


盗賊のアジト行って人質解放したとしてもだよ?


もう3日経ってるよ!」


「キュウ…」「ガア…」


「まぁ先生だから色々と動いてるかもね!


その前に・・・警護の人?


僕達早く入れさせてくれないかな?」


「すいませんがもう少しお待ち下さい!


現在王国中に反乱軍が襲撃をしており


我が領地も襲撃を受けて


我が街ニバルは厳戒態勢中なのです!


今アイサ=ゾラム夫人に確認中でして


冒険者ランクも確認中ですのでもう暫くお待ちを…」


「それさ?ニバルに着いてから3日聞いてるんだけどね?


遅すぎないかな?夜営にも疲れたんだけど?


反乱軍に襲撃受けて冒険者ギルドは麻痺してるの?


ならさ?連れていってよ!僕をさ!」


「申し訳ありません…普段なら私が案内して


確認するのですが厳戒態勢中でして…」


ヴァイス達はニバルに着いてたがまたされていた。




「分かった…待つから急いでね?


じゃないと・・・痺れきらしたラグが


暴れるからね?僕じゃ押さえられないよ?


僕達入口から離れてるからね!」


「ガアガア!?」


「わ…分かりました!!急がせます!!」


入口の警備隊の1人が急いで中に向かう。


「ごめんね?ラグ!脅しに使って…


流石に厳戒態勢でもおかしいからさ…」


「ガアガ!」


「ありがとう!ラグ!後はルティ?


ちょっと中見てくれないかな?


姿隠してギルドとゾラム侯爵の家をね?


ゾラム侯爵の家は『・・・』にあるから!


ギルドも『・・・』にある!大丈夫?」


「キュイ!」


「それじゃラグ?街までルティ投げてくれるかな?


壁高いから迂闊に入れないし・・・


そうだ!ルティに知らせを渡すからアイサ姉様に


渡してくれないかな?」


「キュイ!?」「ガアガア!?」


ヴァイスはアイサ姉様の心配で思考が


おかしくなっていた。




「ではラグ?お願いね!ルティ頼んだよ!


アイサ姉様は僕に似てるからきっと分かるよ!


それではラグ?投げて!!」


「ガア・・・ガッ!!!」


「キュイィィィィイィィィ~!?」


ラグが高く投げてルティが叫びながら街に入る。


「さてとルティが居ないのを上手く誤魔化さないとね!」


「ガア!」


こうしてルティの初めての投げからの探索が始まった…






「キュウ…」


ラグに高速で射出され街に入るルティ。


屋根に当たる前に前転して受ける風を


逆風を魔法で作り抵抗して無事に着地した。




「キュウ?キュウ…」


ルティは初めて入る街に1人でお使い。


場所を聞いていたが不安だった。


勇気を振り絞り探索を始める。


街の中央に屋根をつたい歩きで向かう。




「キュウ・・・キュウ!」


中央に着いたルティは目印を探して


ギルドへと歩き出す。


ニバルの町には四方に高い塔がある。


物見矢倉にも使われ北から時計回りに


屋根が赤、青、黄、緑の色をしている。


ギルドは3階建てで周辺より高い建物で


方角は東にある。


ルティは言われた通りに進んでいく。




「まだ入口にあいつがいるのか?


追い出せれば良かったがまさか


アイサ夫人の弟とはな・・・


仲間の反乱軍が来るまで待たせないと…」


「そうだな・・・一応部下には


厳戒態勢中で時間が掛かると言わせてるから


問題無いだろう!


もう3日いるんだ!そのまま帰れば問題は無いし


仮に入るなら反乱軍として捕まえれば問題無い!」


ルティがギルドに着くと話声に気付き部屋の窓に


隠れて盗み聞きする。


中には鎧姿の男と礼服を着ている男がいる。




「そうだな…長かった…時間掛けてこの地位に着き


俺達は反乱軍を招く…その為にいるんだ!


反乱を早めるとは思わなかったが関係者は


俺達みたいに要人としているみたいだから


反乱は楽に出来るだろうな!」


「周りに気付かれない様に入り


地位を得るのに苦労したがこれで報われる!


後はダスティが下手しなければ問題は無い!」


「後どのくらいで来るんだ?あいつは?」


「ニクルの話には盗賊どもを採用しながら


村を襲撃してゾラムの軍を攪乱させているから


1週間ってところだろうな!


お陰でゾラムの奴等は鎮圧に向かっている。


俺達の部隊はニバルから離れてない!」


「そういえば…ゾラム侯爵とアイサ夫人は?」


「何も知らずに過ごさしてるさ!


ゾラム侯爵の補佐官は俺達の仲間だから


上手く嘘混じりの報告しているよ!


逃げない様に家にいるさ!住民も反乱を


知ってるが噂を流して安心して暮らしてる!


仲間の通商が出入りして流してくれてるから


大丈夫だ!最初は不安見せてたが今は


『反乱を早期に静めて軍が戻って来てる』と


伝えてな!軍は軍でも反乱軍だがな!」


「ハハハハ!そうかなら大丈夫だな!


それじゃ午前の会議は終わらせるとするか!


また夕方の会議でな!ニクルの部下も来るそうだ!


反乱起きてると情報交換がしやすい!」


「全くだ!では警護に戻るかな!ハハハハ!」


2人の会話が終わり扉が開く音が聞こえた。




「キュウ・・・キュイ!」


ルティは屋根に登り器用に後ろ足で立ち


頭に前足を付けて足をくるくると回して考える。


さっき話を思い出して体の前に


前足を出し右手を左手にポンと叩き決心する。


この町に反乱軍がいる。暗躍している。


早く探索終わらせてお使いを済ませないと


ヴァイスの姉が危険だと理解した。


ルティは急いで次の場所に向かった。


目的地はゾラム侯爵の家。


ヴァイスの姉がいる場所だ。


ルティはニバルの街の屋根を駆け抜けた・・・

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