第43話迷宮ホウリョー10

「嬉しいねぇ!まだ居たなんてな!!!」


目の前にいるのは斧と棍棒を持つ


10mを越えるミノタウルスが2体。




きっとギルドでの調査は


前の部屋までしか見てないのだろう!


前の数が千を越える魔物がいる魔物部屋を見て


脅威だと数がランクC相当だと思い帰ったのだろう。


実際はロックゴーレムにロックパペット。


シルドによればゴーレムがランクD、パペットがランクE。


危険度ランクEの迷宮に対してゴーレムは


妥当の危険度のあるボスらしい。




しかしこの迷宮ホウリョは迷宮が融合した迷宮。


危険度ランクEの2つが繋がり出来た迷宮。


どんな魔物が現れるか分からない。


危険度もどのくらい在るのかも


確りと確認せずに核の破壊へと判断した。


本来は迷宮核まで行き調査を終えるのだろうが


今回はべラムの街に悪影響が出たから


早期に破壊を実行したのだ。




核の破壊。普通なら簡単に出来るランクEの依頼。


ランクFにはまだ経験が浅くパーティーでも


難しいだろう。しかしこの案件は特殊案件だ。


通常の依頼よりも遥かに厳しい依頼だ。


砦は素通り出来ても洞窟の迷路にさ迷う。


魔物も数が多く強化されている。


無事に洞窟の奥に行っても数の脅威、


現在目の前に居るミノタウルス2体の力の脅威。


2つの脅威に倒されるだろう。


ミノタウルスはシルドによると危険度ランクA。


本来なら居ない魔物である。


しかし融合し強化された迷宮核にとって


安全に機能するには必要だと感じて創生した。


つまり最後の砦なのだ。




俺は目の前にいる強敵に笑顔が絶えなかった。


途中参加で分割して対処した弱い魔物。


数が多くても弱すぎて怒りを覚えた。


終わったらスーサイドで憂さ晴らしと


考えてたところでの強敵だ。


笑うしかないだろう!




「ルティ…先生が最高に喜んでるよ…」


「キュゥ…」


「ドルガ達よりも喜んでますね!主殿!」


「当たり前だ!笑わないのは俺じゃない!


途中参加で数だけ多い弱い魔物!


どんだけ鬱憤が溜まったか…


我慢して!我慢して!!我慢して!!!


加減も飽きた!日常の範囲でどこまで出来るか!


確認できる最高に最適な相手だ!」


「これは・・・1体は任せないと駄目だね!


まだ怒りが人じゃなく魔物だから良いけど…」


「キュイ!」


「主殿は戦闘狂モードになってますからね…


仕方ありませんよ!


ならお膳立てしないと駄目ですね…」


ヴァイス達はトキを見てお膳立てしないと


なにするか分からないと判断した。


それまでにトキは高揚している。




「申し訳ないのですが…シルド殿?」


「トキが何故か機嫌が良いんだけど…


なにかな?フィル?」


「連戦で疲れてると思うので


あちらの2体をこちらで対処して良いでしょうか?


危うくなれば手伝って頂ければと・・・」


「正気か?危険度Aのミノタウルスだぞ!!


それが2体いる!これは2つあるパーティーが


それぞれが負担して対処しないと死ぬぞ!!


これは注意などじゃない!


俺達の命も掛かってあるんだ!!


考えてみろ!各パーティーが負担して


やれば2体は確実に倒せなくても隙を作る


怪我をさせれるんだ!8人だからだ!


それを4人で2体だと!?馬鹿言うな!!


もし怪我さえ負わせず死んだら次は


俺達が2体を相手しないといけないんだ!!


他に冒険者はいるが助けを求めて戻り


魔物部屋を抜けて呼んで部屋に入ると


ゴーレム達のお出ましで倒しても


ミノタウルスがいるなら助けを呼んだ意味がない!


繰り返しだ!なら各パーティーが負担して


倒したほうが良い!!」


シルドがフィルに激昂して2組が負担して


1体ずつ倒したほうが良いと熱弁する。


フィルも理解しているがトキがあの状態で


それを受け入れる筈がないとも理解をしている。


フィルが悩んでいるとヴァイスが告げる。




「あ・・・フィル?あのね…シルド達は


ラジュマ王国だけでなく有名なパーティーなんだ…


ランクAは伊達じゃないよ!


でもね…この場合は…正直に言った方が良いよ?


後ろ立ても得る事出来るし…


最低限、僕達の話をした方が良いと思うんだ!


リケラとラグ、ケル達との生活をね…


その方が話が付くし…先生が…もうね…」


ヴァイスはスーサイドの話をするように


フィルに伝えてトキを見せる。


トキはルティが頭に乗り抑えてるが


フルバルを構えて獰猛な笑顔して


フィルの合図に待たされて爆発寸前だった。




「はぁ・・・分かりました・・・


シルドさん達!


今から話すのは本当の事なので


理解してくださいね!


そして・・・絶対に秘密ですよ!!!」


フィルはスーサイドでの生活を話す。


スーサイドは危険度SSランクの森。


強靭で俊敏な魔物や肉食植物が跋扈する森。


スーサイドは英訳で自殺を意味する。


そんな場所でトキは1年半、ルティとフィルは1年、


ヴァイスは数日過ごして生きている。


ルティも子狐ではなく本当は違う姿を持つ。


普段は加減しており全体の5%の力で


ヴァイスは今も成長しており10%の力で


生活しないと早すぎて風に飛ばされる。


それをシルド達4人に話した。


「「「「・・・・・・」」」」


全員が話を聞いて沈黙した。


この間は律儀にミノタウルスは動かない。




止まった時間の中でウォルから動いた。


「馬鹿な!?ありえねぇ!!!


嘘をこんな時に出すなよ!!!」


「そうよ!!!あの可愛いルティが違う


姿を持ってるなんて信じないわ!!!」


「メリル!!話の腰を折らないの!


しかし私も信じないわ!!


スーサイドで暮らしてたなんて


ここより危険度高いのよ!!」


「俺も流石にな…トキの実力を垣間見たが


信じられない・・・」


シルド達は信じられないと全員が話す。


その間トキはルティとヴァイスで無理矢理に


止めていた。




「分かりました・・・証明しましょう!


実演で行えば信じられますね?」


「あぁ!流石にな!


目で見たものは信じるさ!!」


「分かりました!決して!


決して後悔しないように!!


では!ヴァイス殿!ルティ殿!もう大丈夫です!


主殿!思う存分いや…2体いるので


スーサイドと同じ様に1体倒してください!


2体目は加減を楽しんでください!!!」


「もう良いのか?しかもスーサイドと同じなんて


楽しいな!2体も相手して良いなんてな!!


もう止まらないからな!!!


魔法もフルバルも全て解禁だ!!!


スーサイドと同じで5割?


いや久しぶりに6割?いやいや7割でやろう!!!


良い従魔を持ったよ!!!ありがとう!フィル!!


今日は良い日だ!!!まさか砦の風景に楽しんで


スーサイド以外で同じ力を使えるなんて!!


なんて最高なんだ!!さあ!さぁさあ!!


さぁさぁさぁ!!!ダンスを始めよう!!!」




トキは抑えられてた我慢を解放して


完全に戦闘狂の蓋を外した。


ヴァイスとルティは避難している。


ルティはヴァイスの頭へと


ヴァイスはフィルの元に。二人の表情に


あーあ、やっちゃったよ…と表しフィルを見ている。


シルド達はトキの姿を見て今までの知ってる


トキの姿と違う事に驚き口を開けていた。


そのまま思考も遥か彼方に飛んだ。




「フィル・・・仕方ないとしても


先生、完全に外しちゃったよ?野生へと…


もしかして罰を忘れさせようとしたのかな?


なら正解かもね…あの先生は別人だから…


この際だからルティ!元の姿見せてあげてよ!」


「キュイ?キュイ!」


ルティはヴァイスの頭から離れて


前方にくるっと回り変化する。


「コオォォォォン!!」


ルティはマーブルテイルからゼクスマーブルテイル


へと姿を変え3mある6尾の姿を見せた。




それを見てメリルが思考と口を戻す。


「ルティ!!可愛さと格好良さが合わさって


凄く良いよ!乗っても良い?」


「コォン!」


ルティは頷き姿勢を低くしてメリルが乗れる様にし


メリルが跨がると姿勢を戻す。


「うわぁ!!高い!ルティに乗ってるよ!!」


「コォン!」


メリルはルティの上ではしゃいでる。


まるで子供がおもちゃを貰った様に…




「おお!ルティ!元の姿を晒したか!


後が大変だなぁ!!ハハハァ!!


どうせだから登録し直すかぁ!!


後3回更新するのめんどくさいが


今は気分良いからな!!


街でもその姿でいれるようにしてやるよ!!」


「コオォォォォン!!」


トキの言葉に嬉しくて大きく鳴いた。


トキはその声を合図に動き出した。


先ずは左のミノタウルスへと定めた。




「あーあ…ルティの声を合図にしちゃったよ…


しかもスーサイドと同じぐらいの殺気出して


あれは初めて受けると動けないんだよね!


僕がそうだったし・・・


朝練よりも殺気を鋭くして濃密だし・・・


やっぱりメリルさんだけ気づいたね…


シルドさん達は思考停止して正解かもね…」


「コォン!」


「何あれ?人が持つ殺気じゃないよ!!


私動けない・・・震えは抑えたけど・・・」


「話せるだけの実力あるのは良いですね!


メリル殿は将来有望ですな!」


尋常ではない異常な殺気にメリルは動けない。


ヴァイス達はいつもの事だと普通に話す。




「ヴァイス君達凄いね!あの殺気に耐えるなんて!


リーダー達でも出せないよ?あれは!!」


「スーサイドでは当たり前ですからね!


そのせいで僕も仲間入りしちゃったし…


この白髪は元々は金髪だったんですけど…


お陰でお父さんの息子に思われなくなりましたよ!」


「え?その髪って元からじゃなかったの!?


お父さんって・・・ヴァイス?・・・その名前!?」


「あ!気づきました!お父さんの名前は・・・


スーサ=クリプス辺境伯!貴族ですよ!


僕はその息子のヴァイス=クリプスです!!」


「名前聞いた事あるけど…気づかないよ!?


まさかヴァイス君は貴族だったなんて・・・


不敬だったかな・・・?」


「問題無いですよ!今は冒険者のヴァイスですから!


まぁ…先生の教えで大分貴族から離れた


考え方持ってますし!貴族特権は使わないですが


目に余れば容赦無く使いますよ‼


その前に先生から怒りが飛びますけどね!!」


「コォン!」「ですね!」


「トキ君・・・凄いね…流石先生だね!


今の姿からは考えられないけど・・・」


「あれは人じゃなく魔物だからですよ?


人なら凄いですよ?本当に怒らせると


説教の方がまだ良いぐらいの姿を見せます!」


「テイマーギルドでありましたね?


あの時はギルドの機能麻痺しましたから!」


「ハハハ!あったね!看病大変だったなぁ…」


「テイマーギルド・・・聞いた事あるよ?


あれはトキ君がやったんだね・・・」


「お陰でゲルム補佐官の声を出しましたし


良い結果もあった出来事でしたね!」


「そうなんだ・・・大分殺気に慣れてきたよ!


ある程度は動けるようになってきた!!」


「おめでとうございます!メリル殿!


流石ランクAパーティーの一員ですね!」


「ハハハ!誉めても何も出ないよ?」


「あ!そろそろですね!先生が戦いますよ!!」


「メリル殿?・・・ちゃんと見れると良いですね


まぁ殺気に慣れたなら目も動かせると思いますし


あっ・・・行きましたね!左からですか…


可哀想にあの先生なら長引かないでしょうから…」


「コオォン!」「そうですね…10秒も持ちますかね」


「そんなにトキ君凄いの!?見れるかなぁ…」


「確実に見えないでしょうね!!


ほら動き出しましたよ!!もう目の前です!」


「え?見えない…そんなに実力離れてるの…」




ヴァイス達はメリルと悠長に話してる間に


トキは戦闘準備を完了させた。


右手にフルバル、左に雷を纏う手刀へと。


足に雷を纏わせ7割の力で


左のミノタウルスへ近づいた。


目の前に現れた時に前の空間にあった風が


押されて強風がミノタウルスに襲いかかる。


足元で起きた強風にバランス崩して


足だけ後ろに下がり前へと倒れる。


「ブモォォォオ?」


咄嗟の出来事に驚いたが手を前に出して


衝撃を防ぐ・・・予定が両腕が突如消えて


頭から地面に当たり体重に巨大、重力を受けて


強い衝撃を体に受け伏せている。


両腕は手刀とフルバルに裂かれて無くなる。


ドドン!!・・・


ここまでが2秒も経ってない。


「この世界でスーサイド以外でここまで


力を奮えた事に敬意を持つしよう


首を一瞬ではねて上げよう!


痛みはない!気づいたらあの世だ!


では良い旅路を!!!」


トキをがフルバルを大鎌へと変化させ


死神の鎌を思わせる形に変えてもね


鎌を異常な速さで胴体と離した。


「ブモォォ!」


最後に悲鳴なのか声を上げて倒された。


残りは後1体。気付かない内に倒された


仲間を見て激昂している。


小さい人間を完全に敵と判断したようだ。


「ブモォォォオ!!」


迷宮でトキとのダンスが始まりを告げた・・・

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