第34話迷宮ホウリョー1

過去から今に戻る。


クリプス辺境伯とクルス隊長、ハリー冒険者ギルド長の


3人がクリプス辺境伯の執務室で会合している。


「彼については後で考えよう!ハリーギルド長!


あの話は本当なのか?迷宮の話は!」


「調査した結果・・・本当の様です…


過去の前例で70年前が最後に確認されてます!


場所は・・・ヴァーリ武国で起きてますね…


自然にが付きますが・・・」


「そうか・・・クルス隊長の方はなにかあるか?」


「はい!通商達が話してましたね…盗賊よりも


魔物に襲われるのが前年より回数が増えたと…」


「それについても冒険者ギルドからも


討伐依頼が増加傾向にあります」


「やはり早期に対処しないといけない案件だな…」


執務室に暗い雰囲気が漂う。




「それにしてもクルス隊長?その案件は


前に捕縛した奴らが関わってるのか?」


「本人達が自白しました…人工的に繋げたと…」


「奴らは考えなかったのか?自分達にも


災いが降りかかると・・・あぁ考えないか…


あの類いは危険察知に疎いからな…


全く恐れ入るよ!落とす事に集中して


自分を省みないからな・・・」


「自分の命より地位を選ぶとは・・・


私にも理解出来ません…でもこれは


由々しき事態です!急がないと大変ですよ!」


「私はギルド長としてこの件は特殊案件とし


ギルドからの依頼として


特殊緊急依頼を作成し人員を募集します!」


「あぁ…頼んだ!冒険者含めて


これはべラム全体の問題だ!


全く厄介な事をしてくれたよ・・・


人工的に危険度Eの迷宮2つを繋げて


最大危険度C相当にするなんて誰が考える!!」




前に捕縛とはトキの大掃除に捕まった奴らである。


奴らは密かに時間を掛けて隣り合わせの迷宮、


魔宮リダミと魔窟ギヒを掘って繋げたのだ。


2つの迷宮の核が同調し姿を変えた。


砦と洞窟の迷宮が合わさり新たな迷宮ホウリョに…


洞窟の入口が閉じ砦の入口から魔物が出てくる。


迷宮で魔物の数と強さが増加して外に出てきて


周囲に悪影響を及ぼしている。


冒険者ランクDパーティーが護衛している通商隊に


狼型魔物の群れが襲撃。


べラム周辺の狼型魔物と思い攻撃した冒険者が


全滅し商人1人がなんとか生き延びた事から


事件は発覚した。調査した冒険者によると


核は洞窟の最奥に通常の2倍の大きさへ変貌して


強力で巨大な魔物が周囲を守護していると。




「ではスーサ様!私はこれで失礼します!」


「あぁハリーギルド長頼んだ…」


ハリーは執務室から出て急いでギルドに戻った。


部屋にはクリプス辺境伯とクルス隊長が


残っている。


「しかし分からないな…私を標的にと


地位を落とすと言ったらしいが


何故私を標的にした?


地位を落とすのが何故迷宮を繋げる事になる?


魔物が増え人が来なくなり税が減る為


悪政を取らざるを得なくなり


住民から金を絞り取らせる


そして住民の不満を煽り爆発させ反乱へ…かな?


長期の作戦だぞ?愚策に等しい!


優秀な冒険者に依頼すれば解決する案件の作戦だぞ?


理解が出来ない・・・」


「私にも理解が・・・彼らは王国が敵と


吠えてる王国反乱軍の一員らしく


話ではべラムで偶然に情報収集していると


結婚式で領地から離れる情報を得た一員が


スーサ様を標的に選び徒党を組んで


領地の帰りを選んだとの報告があります…」


「そんな理由で殺されかけたのか私達は!!


私を殺しても違う者が代わりに治めるだけだ!


その間にべラムを落とす気だったのか?


あの人数でべラムを落とすなんて


愚かとしか言いようがない!


子供でも賢い夢を見るぞ!王国反乱軍も


実在するのかも調査しないといけない…


嘘か真実か見極めないと…


夢見の群れか意思ある群れかも・・・


くそ!やる事が多すぎる!」


「心中お察しします!スーサ様!


私達も内密に調査していきます!」


「ああ!頼んだ…」


クルス隊長も執務室から離れる。


執務室に机を強く叩く音が響く。


べラムの街に緊急事態が訪れた・・・




「なんか魔物多くないか?孤児院の奴らでも


1パーティーでなんとか倒せる強さだぞ?」


「そうですね…噂では街に入る人が減ってるとか


囁かれてますね 先生…」


「そうなのか?そういえば物価が上がったと


フィルに相談されてたな・・・


珍しくフィルも困ってたな…解決出来ないと」


「その相談連続で10人からされましたよ


主殿…私はグリフォンなのに…」


「相談室を開設して大変だな フィル!」


「しかし物価上昇は流通が悪いと起きますからね…


って事は通商の数が少なくなってる事ですね」


「そういう事だなあ・・・金だけあっても


食べ物が無ければ生活出来ないし…」


「そうですね…あ!先生!最後の対象魔物の


ローウルフ見つけましたよ!」


「でかした!ヴァイス!やっと終わるぞ!


他の魔物に邪魔されてイライラしてたんだ!」




トキ達はローウルフの討伐依頼をしていた。


普段は直ぐに見つかる魔物だが


今回に限って討伐外の魔物の数が多く


いつもより倍の時間を描けていた。


「さあローウルフよ!懺悔は済んだか?」


「先生!悪党退治してるみたいです!」


「雰囲気で言ってみたかっただけだ!


早く終わらせて飯にするぞ!」


「ご飯ですか?頑張りますよ主殿!」


「キュイ!キュイ!」


「2人共空腹だったんだ・・・


僕もお腹空いたし頑張りますよ!先生!」


「よしその意気だ!ローウルフよ!


美味しい飯の為に狩られてくれ!!」


腹ペコ族が狩りを始めた。


あっという間に狩られたローウルフの


討伐証明部位を剥ぎ取りべラムへと戻る。


死体も忘れずにストレージへ保管して。




トキ達は街に入り冒険者のギルドにて


依頼完了を受け死体を換金し酒場で


昼飯へと向かった。


「さて今日はどうするかな?フィルには


申し訳ないが屋台で食べて貰って…


今日のオススメ定食でも頼むか?」


「キュイ!」


「良いんですか?別に日替わり定食でも


不満は無いですけど…」


「じゃあヴァイスは日替わり定食だな!


おーい!店員さーん!」


「はい!注文お決まりでしょうか?」


「ああ!オススメ定食2…「3つお願いします!!」」


「オススメ定食3つ了解しましたー!」


「ヴァイス・・・食べたかったんだな?」


「・・・はい…ごめんなさい…」


「食べれる内は食べないと後悔するからな!


その後悔忘れるなよ?」


「はい先生!」




俺達が酒場でオススメ定食を食べてると


冒険者ギルドが騒がしくなる。


「騒々しいな!ハグッ!


何かあったのか?モグモグ」


「先生…食べるか話すかどちらかにしましょうよ」


「キュイ!キュイ!」


「食べてる時に騒々しいのが悪い!」


「何ですか?その理屈は・・・」


「キュゥゥゥン…」


「でもなんだろうな?受付にギルド長直々に


現れたぞ?緊急依頼か?パクッ」


「本当ですね!ギルド長が・・・って


先生!ルティ!僕のを食べないで!!」


「遅いのが悪いんだ!」「キュイ!」


「開き直らないでください!!」


俺達が食べてるとギルド長から大声が出る。


「諸君!勇猛な冒険者達よ!聞いてくれ!


特殊緊急依頼の募集だ!


直近魔物の数と強さが増加しているのは


理解しているだろう!


その理由はべラムの近くにある迷宮


『リダミ』と『ギヒ』に異変が発生した!


この2つに行った事のある者もいるだろう!


この2つの迷宮が繋がった!


名前は迷宮『ホウリョ』!


砦と洞窟が繋がった迷宮となり


洞窟の入口が閉ざされ砦から大量の魔物が


発生して周囲に影響を与えている!


迷宮核が融合し洞窟の奥に変貌した姿で


置かれておりその周囲に巨体の魔物が守護している!


本来迷宮核は壊さない様に言ってあるが


今回は迷宮核の破壊を依頼する!


元が危険度Eランクの迷宮が融合し


想定危険度最大Cランクと思われる!


危険な依頼なので報酬は前報酬と後報酬ある!


前報酬で金貨20枚!後報酬で金貨50枚を


報酬として与える!


ある程度調査しているが分からない事もある!


依頼への各自の貢献度に対して別途報酬を与える!


今回は集団での行動で争奪戦となるだろう!


希望者は受付に報告してプレートに記載する事!


今から質疑を終え1時間を目処に受付を終了とする!


希望者はギルド2階の大部屋Bに来てくれ!


質問ある者は声を上げてくれ!」


「核を壊した者の報酬は?」


「鑑定しないと分からないが最低100枚だ!」


「貢献度基準は?」


「討伐した魔物今回は右耳または魔石の数で


考慮する!一緒にギルド員元ランクAの者を


随伴させるがその時に地形について等の


情報提供についても考慮する!


貢献度が一定水準を達するとランクを


昇進するのも考慮している!」


ランク昇進を聞いて周りの冒険者が一斉に吠える。


「今回はランク制限は設けない!


ランクGも荷物運びや馬車の業者で


貢献度を稼げる様にしている!


だから出来ると思った者は受付してくれ!


後質問はないか?」


沈黙が広がる。


「それでは受付を開始する!


勇猛な冒険者の依頼受注を期待する!」


ギルド長は開始を宣言し2階へと上がっていく。


「よっしゃあ!俺は受けるぜ!行った事ある!」


「俺もだ!ランクを上げてやるぜ!」


「私も業者として皆さんの役に立ちます!」


それぞれが意気込みを告げて受付に向かう。




トキ達は・・・


「先生?行かないんですか?


受付の人数増やしてますけど凄い列で


時間過ぎちゃいますよ?」


「ああ!受けるがちょっと気になってな…」


「キュイ?」「何にですか?」


「今の話聞いてたか?依頼内容についてよ?」


「破格の報酬ですよね?集団での行動であり


争奪戦でもあると言ってましたが?」


「そうなんだがな…迷宮について覚えてるか?」


「迷宮ですか?」「キュイ?」


「最初の方だったし報酬、ランクに目が眩んだ


奴らが多くて呆れたが何故2つの迷宮が


繋がったんだ?そんな事あり得るのか?


俺はそんな常識知らないぞ?」


「確かに変ですね?」「キュゥン…」


「だから気になってな・・・


まぁ、ハリーに問いただすか!


絶対なにか知ってるぞ!だから最初に話して


報酬を破格にして誤魔化したんだ!あの野郎!!


美味しい話に裏がある!


これが実例だ!覚えとけよ!テストに出るぞ?」


「凄いです!先生!あの話でそこまで推測するなんて!


勉強になります!」「キュイ!キュイ!」


「誉めても何もでねえよ?んじゃ向かいますかね!」


「はい!先生!」「キュイ!」


トキ達は受付へと歩みを始めた。


この世界で初めての迷宮探索へと向かって行く・・・

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