第32話街べラムー17

「さあ!戻ってきたぞ久しぶりのべラムだ!


これからは加減を間違えないで動くんだぞ!」


「はい!!先生!気を付けます!」


「よしなら確認ついてに魔法なしで


剣を使いあの木を攻撃しろ!


俺達も通った道だ!そのお陰で今がある!」


「分かりました!先生!ては・・・」


俺はヴァイスに木を攻撃させる。


以前3割の力で指でつついただけで


根本から倒れたからだ。


ヴァイスは軽く剣で袈裟斬りを行い


木に茶色の傷が付いた。




「よし!成功だ!これからもそれを維持な!


スーサイドの事は誰にも話すなよ!


俺達の過去についても設定通りの事を


喋るんだ!じゃないと俺の地獄も生ぬるい


精神修行コースを受ける事になる!」


「・・・分かりました!!!気を付けます!


あれは・・・本当に・・・洒落になりません…


下手したら崩壊してましたよ?僕の心が…」


「それだけ鍛えられたと言うことだ!


近くに誰もいないから今の内に


姿を各自確認して整えておく事!


ルティ!マーブルテイルに維持な!


フィル!お前は・・・清潔にしろ!


ヴァイス!髪を短く武器の確認だ!」


「はい!先生!」「了解です!」「キュイ!」


俺達は身支度を始める。




現在ルティはフュンフマーブルテイルの姿から


マーブルテイルへと変化させている。


本来2mの大きさが50cmになっている。




フィルは水魔法を使い汚れた体を拭いて


流して綺麗にする。ルティの助けを借りて拭く。




ヴァイスは白髪を短く切り短髪にする。


武器の確認して砥石で研磨を行う。


砥石はスーサイド産の物で長方形の石。


面を変える事で用途に合わせて研ぐ事が出来る。


武器は剣とチャクラム。


大分使い込まれており凹みがある。


刃零れはしていない。




皮鎧は最初の動物の物から


スーサイドのアイアンバードの皮を用いて


俺が作り変えて着ている。


固くしなやか。重さも金属の鎧よりも軽い。


防具一式をアイアンバードに変えている。


色は濃い紺色をしている。


インナー、ズボンも紺で統一されている。


靴は黒く足先の上部と底に鉄板を隠し仕込んでる。


足元の危険を防ぐ為だ。




俺は全身を覆える紺色ロープ。


インナー等は黒に統一している。


靴もヴァイスと同じもの。


武器は短く腰に畳んでる改造したハルバード。


滅多に使用しないが備えてる。


髪は首元まで伸びている黒髪。


両腕に段のある手甲をつけている。


これにも改造しているが今は伏せておく。




俺達は身支度を整え終わり歩いてべラムに戻る。


正門へは混む時間を考慮して少ない時に受付する。


「久しぶりだな!トキ!暫く見てなかったよ!


ギルドにも来ないと連絡受けて心配したぞ?」


「申し訳ない…クルス隊長!ちょっと遠出を


していたからな!はいこれ!プレートだ!」


「お前達は街では有名だからな!よし受付完了だ!


さてトキ?隣の白髪の子供は?見覚えがあるが…」


「ああ・・・髪で人は分からなくなるんだな…


クルス隊長も知ってるヴァイスだよ!」


「ヴァ…ヴァイス様?何をしたんだトキ?


金髪が白髪に変わるなんて・・・


魔道具でもないし…何やらかしたんだ!?」


「失敬な!修行だよ!修行!!教育した結果さ!」


「修行で髪が変わるなんて・・・あり得るのか?


どんな無茶な修行したんだよ!?


後でスーサ様に報告書しないと・・・」


「どうでもいいが後ろ混んで来てるぞ?」


「どうでもいいか…よし!通っていいぞ!」


俺は正門を警備しているクルス隊長と会い


細やかな会話をして街に入った。




俺達が街を歩いてると周りから声を掛けられる。


「どこ行ってたんだよ!ほら串焼き食べるか?」


「久しぶりだよ!良い果物があるよ!」


「護衛依頼か?大変だな!ほらルティやるよ!」


「ああ!ルティだ!お母さん撫でて良い?」


「本当だねぇ!トキに了承を得てからね!」


「はーい!!ルティィ~!果物だよぉ!」


「キュゥゥゥゥゥン!」


「フィルまた聞いてくれよ!家の牛がな…」


「待っとくれ!先にあたいだよ!あたい!」


「相談ならワシからじゃよ!孫がなぁ…」


「ちょっと待った!!俺の屋台が最初だ!」


「落ち着いてください!!皆さん!


全員の話を聞きますから!主殿少し離れます!」


・・・馴染んでるなぁ…うちの魔物。




住人からも愛されている魔物達。


愛らしい姿のルティに何故か街の相談役のフィル。


「頑張れよ2人共!ヴァイス!2人を任せた!」


俺はヴァイスにフィルとルティを預けて


1人で行動する。


後ろで群がる住人達。それぞれが円を作る。


いつしか長蛇の列となりヴァイスが仕切る。


・・・マネージャーだな…ヴァイス…




俺はテイマーギルドに向かい受付に


ゲルムと話したいと告げて応接室に案内される。


何故ギルド長ではなくゲルム補佐官なのか?


酔っぱらいの相手をしたくないからだ。


何度も捕まりながらもまだその地位にいる。


今日も飲んでいると受付に言われて


呆れてゲルム補佐官を指定した。


応接室で軽く挨拶して話を始める。


俺の一件からか声が出るようになっていた。


俺は従魔が住める土地を尋ねた。


クリプス辺境伯やハリーギルド長でも良かったが


クリプス辺境伯に頼むとオマケが付きそうだし


ハリーギルド長は裏物を与えそうな気がしていた。


俺の中で従魔に詳しく街に長くいて土地勘ある


印象で好感を持てるゲルム補佐官を選んだ。




「何か良い土地ないですかね?


仲介人の紹介でも良いですよ?」


「トキさん…本来専門外の案件なんですけど・・・


クリプス辺境伯や冒険者ギルド長などには


聞かなかったんですか?親しいですよね?」


「親しいが話すとオマケが付きそうだしな…


その分ゲルムさんは信頼してるし大丈夫かと!」


俺は以前ゲルムに怒声を浴びせてる。


怒気もギルドに漂いテイマーギルドの営業機能を


一時的に麻痺させた経歴があり実力を知っている。


ゲルムは可哀想な中間管理職だ。


捕縛常習犯の酔っぱらいギルド長に


強制的に仕事を押し付けられ


下からも仕事を挙げられて大量の書類を捌いてる。


テイマーギルドにはギルド長室の他に


通称ゲルム室が設けられている。




「信頼ですか・・・まぁ良いでしょう…


懇意してる仲介人などいますので


そちらにお願いしますよ!


紹介状用意しますので少しお待ちを!」


「感謝するよ!ゲルムさん!」


俺は礼を告げて待ち時間にお茶を飲んでいた。




ゲルムから紹介状を貰いギルドを後にする。


ゲルムに言われた小さな雑貨屋に着いた。


昭和の雑貨屋見たいに棚があり


小物関係を売っていた。


新規の雑貨屋で昔通商を各国でしていて


各国や街の商店を見て周り調べて


今までにない店内にしたいと奮起して


最後に着いたべラムへ住んだらしい。


べラムに着いてから10年は経つと。




・・・レトロだな…昭和ロマンを感じる…


俺はテレビで見た昭和の雑貨屋を思い出していた。


店の入口に傾斜のある箱があり商品がならぶ。


中に本棚のような棚に小物が飾られてる。


奥にはカウンターに地面から膝までの高さある


リビングが見える。机にお茶が置かれていた。


店の奥で生活しているらしい。


リビングに営業中に3人の年齢の違う男性と


2人の女性の5人が楽しく談話していた。




「すいませーん!今良いですかー?」


「今取り込み中だよぉ!あとにしなぁ!」


大声で男性の老人に拒否られた。


・・・営業中だよね?茶を飲んでるだけじゃないか・・・




「すいませーん!ゲルムさんからの案内で来ました!」


「なんだってえ?ゲートウェイ?」


「・・・違います!ゲルムさんです!」


「ああ!ゲルマニウムね!売ってるよ!効くよ!」


・・・あんの?血行良くするあれだよね?・・・




「売ってんのじいちゃん!!!欲しいんだけど…


って違いますよ!ゲルムさんの紹介です!!」


「誰がじいちゃんだ!馬鹿たれ!!


ヨルムンガルトは海国にいるよ!!」


・・・北欧神話の蛇いるのか?


それよりも何故話を聞かない?・・・




「聞けよ!!!じじい!!!耳遠いのか!?


ゲルムさんの紹介だって言ってんだろうが!!!」


「ゲルムさんの紹介か?野蛮な人が来たものだね…


若いのにせっかちな人だよぉ!まったく!」


・・・あんたのせいだろうが!くそじじい!




俺は苛立ちながら近付き、老人に紹介状を渡した。


老人は手紙を読まずに茶を飲み一息ついた。


・・・何してんの?じじい?




老人は40代の男性に手紙を渡した。


・・・なるほど店主はあの男性か・・・




手紙を読んだ男性は隣の同年代の女性に見せて


女性が俺の前に出てくる。


「すいませんね!私が雑貨屋の店主の


テレアと言います!手紙を拝見して


土地が欲しいとの事ですが・・・」


・・・あの二人の経由は必要なのか?・・・




「そうなんですけど・・・あの老人は?


男性も何ですか?従業員ではないんですか?」


「違いますよ?ただの知らない人です!


たまに談話場所として店に来るんですよね!


店は私と娘と娘の夫の3人で経営してます!


正直に言いますと勝手に寛ぐ知らない人達です!」


「・・・そうですか・・・」


・・・不法侵入じゃないのか?あれ?・・・


慈愛に満ちてるのか許容範囲が広いのか知らんけど


赤の他人と談話していたらしい。




俺はテレアさんと一緒に土地を見ていく。


テレアさんは不動産屋も経営しており


家や土地の売買や賃貸をして商売していた。


何件か回ると廃墟と化している大きな家を


見せられる。土地も広く石壁に囲まれている。




「曰く付きの物件なんですけど・・・」


テレアさん曰く昔豪商をしていた人が住んでいた。


家には多数の使用人やメイドを雇っている。


豪商は奴隷を買い欲望のままに虐めていた。


ある日豪商は1人の奴隷を買い、家に戻る。


奴隷は綺麗な10代の女性で愛玩奴隷として


暫くは豪商の元で生活していた。


良い金蔓を見つけては商売し


金貸し商売で異常な利子付きで金を毟る。


豪商は贅沢して肥えていった。


その生活をしていた豪商が突如街に出なくなる。


不思議に思った住人は家を見ると


そこには奴隷だった女性が住んでいた。


疑問に感じた住人が夜に忍び込む。




明るい部屋を見つけて覗くと・・・


惨殺死体の山がありそれを見て


邪悪に笑う複数の奴隷達。


壁には泣きながら命乞いしながら枷を嵌められる


使用人達。様々な異常な拷問を受けている。


地獄絵のような光景が広がっていた。


奴隷達が反乱して復讐をしていたのだ。


覗いた住人はその場で気絶して


意識を戻しても暫くは飯を食べれなかった。




その後住人からの要請で警備隊が家に入ると


既にもぬけの殻となっていた。


ある部屋には惨殺死体の異臭の山と


血を流し痛め付けられた重症の使用人達。


瀕死の者が列を作り廊下に無理矢理立たされていた。


背中に釘を打ち込まれ壁に掛けられてる。


男性、女性など関係無いとの雰囲気を顕してる。


全ての体には文字が刻まれていた。


『痛みには痛みを!人を解し施し放つ!』と。




烙印の様に刻まれ魔法で治癒しても


消える事はなかった。


あるものは烙印を切り裂き、


あるものは烙印ごと皮膚を焼き、


あるものは削り剥がす。


しかし呪いの様に違う場所へと移動して


消える事は無かった。腕から足へなど。


奴隷だった者達は今は行方不明。


噂では夜に大人数が街から脱出し


生き延びてると言われている。




「・・・って話あるんですけど・・・」


「物騒な話ですね!何年前ですそれ?」


「資料によると・・・15年前ですね…」


「ふーん…そう…中見ても良いですか?」


「見るんですか!?問題ないですけど・・・」


「ならテレアさんは待っててください!


直ぐに帰って来ますので!では!」


「あ!ちょっと!!行っちゃった・・・」


俺は興味無く話を聞き入れて中に入る。




キィィィィィ・・・


俺は閉まっている扉を開ける。


・・・不用心だな…鍵付いてないぞ?


防犯面に疑問を持ちながら踏み込む。


蜘蛛やネズミが謳歌している。


他にも多数の虫が存在している。


天井に有ったであろうシャンデリアも


床に落ちて破片が散らばっている。


床も軋んで抜けそうだ。


・・・大幅な改築が必要だな…




俺は各部屋を開けて確認する。


中には曰く付きの部屋があった。


・・・これが例のね・・・


綺麗になっているが使われた痕跡を見つける。


異常な数の拷問器具が置かれている。


触ると錆びており動かせない。


一通り見て動作確認する。


2階も穴が空いてる廊下を渡り


全ての部屋を確認した。


大きなベッドがあり、キッチン、風呂、


厩舎もあり腐ったものや異臭を放つものを


見て周り1階のロビーへと戻った。


・・・これは大掃除が必要かな・・・


居座るつもりで考える。


廊下の壁のハンガー、害虫の類い、


腐敗物の山。不釣り合いの綺麗な部屋。


一通り見て死の気配を感じなかった。


・・・使えるものは回収して


あとは燃えるごみとして焼却だな・・・


俺は家から出てテレアさんの元に戻った。


テレアさんはそわそわしている。




「決めましたよ!テレアさん!ここを買い取ります!」


「本当ですか!?曰く付きですよ?」


「だからですよ‼気に入りました!


この土地は誰も買わないんですよね?15年も?」


「そうですね買手はいないですね・・・


おかしな方ですね?トキさんは!


では契約は戻って店内で・・・」


「その前にネズミ退治や害虫の駆除したいんですけど


良いですか?今の内に早めに終わらせたいので!」


「本来はダメですけど・・・良いですよ?」


「ありがとうございます!では早速・・・


の前にテレアさんはこの家の反対側にいる家に


大掃除があるけど気にしないでと回って貰えますか?


俺は左右の家に言いますので!」


「・・・?分かりました…では掃除は30分後に


行うと伝えて来ますね…」


「お願いします!では俺も行動しますので!」


俺とテレアさんはそれぞれ動いていく。


・・・30分以内にヴァイス達探さないとな・・・


俺は近くにある左右の家に話を告げて


人を探しに向かった・・・

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