第30話街べラムー15

「先生?先生!!」


「ん?どうした?ヴァイス?


登録終えていまさら怖じ気付いたか?」


「違いますよ!冒険者になれて嬉しいです!


・・・じゃなくてですね? 先生?


最後のハリーギルド長との会話はなんですか?」


「あれは仲良くしようなって会話だ!


それ以外になにがある?」


「なんか裏約束したようにしか見えなかったですけど


違うんですね?」


「ああ!互いに迷惑掛けないようにしよう!って


話して握手しただけだ!


他意は無いよ?さて降りて初めての冒険生活を


楽しもうか!依頼板を早く見に行こう!」


「はぐらかされた気がしますけど・・・


ああ!待ってください!先生!!」


俺は廊下でヴァイスと話して駆け足で


1階にある依頼板に向かう。


ヴァイスとクルス隊長は追い掛けてくる。




・・・クルス隊長、いつまで付き合うんだろ?




まぁこれから行う事については必要な人だし


最後まで舞台に居てもらおうか!




俺達は1階の依頼板の前にいる。


依頼板には討伐、採取、調査、護衛依頼がある。


特殊や特別依頼板もある


依頼書にはランクが上部に書かれており


中部に討伐なら魔物の名前、採取なら物名、


絵などが描かれてる。


下部には依頼内容に報酬、依頼者名が書かれている。




俺の前にある紙には・・・


Fランク


スライム討伐 討伐場所:べラム周辺


証明部位:スライム核10個


報酬:銀貨1枚 依頼者:ギルド


と書かれている。




依頼説明の補足としてGランクは


報酬が銅貨◯枚、最高でも銀貨1枚。


C~Fランクは銀貨◯枚、最高金貨1枚。


Bランクから金貨◯枚が通常であり、


特殊や特別、貴族の依頼は報酬が高い。


パーティーを組んでると人数の平均ランクが


パーティーランクとなる。


Eが2人、Fが3人ならパーティーランクFとなる。


依頼は1つ上まで受注可能で下限は無い。


従魔はランクが付かず所有物と考えられる。




「へぇ・・・スライムか!


最初にしては良いんじゃないか?」


「スライムですか?ランクは…Fですね!


これをするんですか?」


「トキ君?スライムは以外と手強いよ!


柔軟さがあり、酸を使うからね!」


「そうなんですか?クルスさん!


情報ありがとうございます!


んじゃ!ヴァイスの力も見たいしこれで!」


「先生!頑張ります!」




俺達は依頼板から依頼書を剥がして受付に向かう。


受付で依頼書とプレートを渡して


2人のプレートに依頼内容が掲示される。




プレートはカードタイプで魔道具でもある。


表の右側に縦に3つの四角がある。


幾つか機能がありそれぞれ四角を押す事で起動出来る。


プレートの機能は個人の魔力認証で起動出来る。


1つの機能として受注した依頼内容の確認がある。


討伐数も記載される為、ギルドや冒険者の


忘れ防止や詐欺防止に使われる。


ギルドはプレートの確認、証明部位の確認を経て


依頼完了と徹底管理している。


ギルド員はプレートの操作を指輪形魔道具を使用し


プレートの確認が出来る。


指輪形魔道具は個人専用で辞めるまでは外れない。


使用者個人の魔力を感知して起動するのでギルドで


登録された者以外に使う事は出来ない。




「先生!こんな魔道具あるんですね!


全て機能を把握して使用出来るか不安です…」


「難しく考えるな!どうせ機能なんて


ランク制限されてるのもあるだろうから


安心して持ってろよ?


最悪俺が保管してやるから無くすなよ!」


「なんでランク制限の事知ってるんですか?


ギルドの機密事項なのに…」


「そうなのか?すまなかったな!


貰って考えた事だからな…


内緒にしておくよ!受付さん!」


「お願いしますね・・・私はベルです…」


「ベルさんね!了解!んじゃ後で!」


俺は受付のベルさんと話してギルドから出る。


ランク制限が機密事項だったとはな・・・


迂闊に考えた事話せないな。


俺は考えながら正門に向かう。








「先生?フィルは連れて行かないんですか?」


「あ!・・・忘れてた!」


「先生…」「キュゥゥン…」


暫く歩いた後にヴァイスから言われて気付き


駆け足でギルドの厩舎に向かった。


「主殿?長かったですね?


問題でもありましたか?」


「いや…問題…無かったさ!登録終えたから


今からスライム退治だ!フィル行くぞ!」


「あ!待ってください!主殿ぉ!」


「忘れてたのにね…」「キュイ…」


俺達は改めてべラムの正門に向かった。






「お疲れ様です!クルス隊長!」


「応!お疲れ様!今日は正門か?」


「はい!いつもより人が多いですが


なんとか捌いてます!」


「そうか!頑張れよ!」


「はい!ありがとうございます!」


クルス隊長は正門の警備隊の人と話して


一緒にべラムから出る。




・・・俺が言うのもなんだけど…いつまで来るの?


俺はクルス隊長に疑問を問う。


「クルス隊長はいつまで俺達といるんですか?」


「今日1日トキ達と行動しろと言われてるから


夕方までかな?」


「そうですか・・・大変ですね…」


・・・1日密着取材かな?良いけどさ…




俺達は森に入った。


名前は魔物の森。そのままだな・・・


ヴァイスに何が出来るか確認する。


剣の心得があり警備隊と共に修練していたらしい。


クルス隊長も警備隊の中でも上位に入ると


太鼓判を押してた。嘘じゃないよな?


何でも教えた事は全て吸収するらしく


天才肌の人間らしい。


武器は剣を持っているが遠距離用に


チャクラムを使う。


・・・あの補佐官から教わったのかな?




武器は触った事の無い物でも教わらないで使えて、


中位の実力を発揮するとか。


警備隊に混じって盗賊討伐や魔物討伐も


していたらしい。


経営術も学んでいてたまに経営にも


口を出すほど有望な人材だったらしい。


・・・主人公かな?交代の時が来たかな…




しかし・・・・・・引きこもる前まではが付く。


つまり1年のブランクがあり腕を戻そうと


しているとヴァイスから言われた。




・・・なんだろう?この感じ?


ブランク抜いても優秀過ぎないか?


先生落ち込んじゃうよ?屈折するよ?


魔法も確実に教えたら上達しそうだし…


なんで先生って呼ばれてるの?俺?




・・・もうヴァイスが主人公で良いだろ?


設定が過ごすぎて先生泣きそうだよ・・・




祖父にSランク間近のAランク冒険者。


お父さんが貴族の辺境伯。


天才肌で何でも覚える。


知らない武器でも中位の実力を見せる。


剣の実力は警備隊でも上位。


警備隊に混じって盗賊や魔物討伐していた。


武器は主に剣で遠距離にチャクラム。


経営術も学んで口を出していた有望な人材。


現在10歳で一年間引きこもり。




・・・また面白そうな小説出来ちゃうよ?


『祖父が冒険者の引き籠りの天才!


貴族の引き籠りから冒険者へ』


・・・ほらタイトル出来ちゃったよ・・・


ありそうなタイトルじゃないか!


これからの俺との生活で脚色して


凄い冒険單を書くんだろうなぁ…


ブランクを戻す為に警備隊の隊長と


森でスライムを倒す!


物語としてありそうなネタ・・・


ギルドのフラグもあるし回収は確実だし・・・


だって尾行にしてはバレバレの動きして


今も戦い終わった後を狙おうとしてるし・・・




屑で雑魚の噛ませ犬…


名前も一回切り感満載の名前だし…


あの冒険者を思い出して改めて感じるよ…


逆から読んでみてよ・・・


ガーバ、ケーボ、カガバ、ウホア、ズーク。


バーガ、ボーケ、バガガ、アホウ、クーズ。


馬鹿にボケにまた馬鹿で阿呆に屑。


・・・何も言えないよ・・・


可哀想だ…名前が苛めみたいだし…


ヤられる為に出てきて…


ヴァイスのブランク埋めだけに出てきて…


クルス隊長に捕まって牢屋へGO…


はい!おしまい!お疲れ様でした!


向こうでギャラ貰って帰って下さいね!


・・・エキストラかよ・・・




俺は鬱気味に考えてると・・・




「・・・い?先生?終わりましたよ?」


「え?終わった?何が?」


「忘れたんですか?スライム討伐ですよ!


見てなかったんですか?頑張ったのに…」


「すまん…考え事してた…まだ時間あるよな?」


「はい!まだ30分しか経ってないですよ!」




・・・30分も考えてたのか…しかも討伐完了か…




「・・・そうか…ならついでに魔物を狩るか!


魔物によっては小遣い増えるぞ!」


「分かりました!先生!今度こそ見てくださいね!」


「ああ!了解だ!行こうか!」


森の奥へと足を向け歩きだす。




暫く大量のスライムを狩り、たまにゴブリンの群れ。


蜘蛛の魔物を狩り、・・・エキストラと盗賊??


盗賊に襲われてるエキストラがいる。




・・・フラグ立ってたよな?俺達に?


41人の盗賊に5人のエキストラ…




・・・なんか頭に浮かんだな・・・


会話を聞いて頭に?が浮かぶ。


「弱い冒険者だな?魔物倒せるのかよ?」


「言ってやるな!アリバ!ランクが


上がり立てなんだろうよ!察してやれ!」


「そういう事か!残念だったな!


俺達『アクトビラ』に捕まるなんてな!」


「助けて下さい!命だけは・・・」


「お願いします!!何でもしますから!!」


「仲間に!仲間になりますから!!」


「もうおせぇよ!残念だったな!


俺達は人数制限掛けてんだよ!キャハハハ!」


「ヒィィィィ!タスケテェェ!!!」


「こんな事ならガキを追うんじゃ無かった・・・」


「今さら言うなよ!」


「ガキ?なんの事か知らないが・・・


全て盗らせてもらおうか!!!」


「ギャァァァァ・・・」


「ズーク!!!お前らよくも!!!」


「知るかよ・・・次はおまえか?」


「イテェエェェ!!!」




「「「「・・・・・・」」」」


俺達はエキストラが殺される光景を見て


沈黙していた。


「先生?どうします?助けに行きますか?」


「いや・・・ちゃんと見てろよ!弱いとな…


ああなるんだと実例を見せてくれてるんだ!


感謝しながら見るんだ!


人道から離れてても俺は今助けない!


俺達も運が悪ければ囲まれて死んでるからな!


奴等も教材になった事で浮かばれるよ!きっと!


これからは日常的に見るからな!


子供だからと俺は甘い事を言わない!


だからな!死を確りと噛みしめて今後に生かすんだ!」


「先生・・・分かりました!僕見ます!


僕…確りと噛みしめて今後に生かします!」


「それで良い!良く見てやろう!


奴等の最後を・・・勇姿を・・・


そして俺達は盗賊の情報を持ち帰り


後は警備隊の仕事だから任すんだ!」


「はい!先生!勉強になります!」


「いや、助けようよ・・・


そして俺達に仕事回すなよ…」


俺は死に対して、弱いに対しての事を


ヴァイスに熱弁した。


ヴァイスも理解して現状を見る。


その後ろでクルス隊長が呟いた・・・




俺達はこうして勉強して尾行を覚えて


再度魔物を狩りギルドに戻って


報酬をもらい換金して宿に戻って寝た。




べラムの街の警備隊の活躍は次の日には


耳にするようになった。


41人の盗賊『アクトビラ』を捕縛!


全員が賞金首でアリバがリーダー。


クルス隊長が大活躍したらしい。




・・・思い出した!アラビアの夜だ!

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