第24話街べラムー9

俺は寝る前に今日の出来事を思い出す。




今日は何故か長く感じたな・・・


朝からは、あぁ森から出たんだ・・・


歩いて森を出ようとして


魔物の集団に追いかけられて


全力疾走したんだった・・・




フィルに跨がって飛んで森を出て


東に向かったんだ。


昼過ぎて昼食にペインボアの肉食べて


ペインボアの事を思い出して…


いかんいかん!忘れよう・・・




食べて一服してたら悲鳴が聞こえて


護衛付きの馬車が襲われてたんだったな・・・


それを助けようと?


違うな…手加減の練習で向かったんだ。




そしたら着いた途端に馬車がぶっ飛んだ。


あれは驚いたな。人も飛んだし…


俺達はあれで力加減を調整したんだよな・・・


最初30%の力から5%へ落として・・・




そして衣類も着替えて


悪党捕縛して事情説明してたら


クリプス辺境伯と会ったんだよな…


その時に護衛に目をつけられて


目上の人との会話を思い出したっけ…


それをクリプス辺境伯が宥めて


残党が現れて倒して…


一緒にベラルの街に向かったんだ。




・・・ここまでの行動が前半かな?


・・・濃すぎだよな…


・・・定石過ぎるだろ?今はテンプレだっけ?


・・・森を出る時全力疾走、貴族の助け…


・・・そして魔物と仲良くなる子供…


・・・ヤバい…近い内に何か起こる


・・・あの部屋で勉強してよかった…


・・・ライトノベルだけどな…




脱線したな…


えっと何あったっけ?


あぁ、ベラルの街入口で騒ぎが起きたんだ


グリフォンが現れたって・・・


フィル、祭と勘違いしてたな


護衛のゴルザさんにツッコミ入れられてたし…




騒ぎをクリプス辺境伯が沈めて


警備隊のクルス隊長と会ったんだよな…


そのままクリプス辺境伯の家に行って


応接室で報酬をもらった。


金貨50枚に蝋付きの手紙10枚…


手紙は全て紹介状で実際は


ギルド3枚に宿に1枚…




予備に6枚は流石に多いよな・・・


この時に探偵並の考察を聞いて


空間魔法が使える事がばれたんだよな。




・・・あの言葉は驚いたな


・・・めっちゃ長かったし


・・・最後に鎌かけられて自白したしな




空間魔法使う前に分かってたけど


わざと鎌かけて武器出させて


煽ったらチャクラムが出て来た時は


驚いたな・・・


この世界に存在するんだって・・・




その後にミニチュアの家と懐中時計、


ペインボアの肉出して輝かせてたな


クリプス辺境伯…


隣で目を瞑ってるヴァイス君忘れて


はしゃいでて・・・


あれは逆に驚かされた。




ヴァイス君の目を開けさせて


一つ一つ説明して


懐中時計の説明で色々話したなぁ…


方角について、太陽の位置の事、


静電気について、磁力について。




あれは教えて良かったのかな?


世界についてまだ知らないし


誰も知りえない事なんじゃないか?


図鑑は魔物と魔法がほとんどだしな


全部詳しく読んだ事なんてないし


・・・明日でマジに確認しよ…




まぁ方角については分かって良かった。


魔法の詠唱なんて初めてしたし


上手くいった時は内心ホッとしたしな


うん、良かった良かった!




その後でヴァイス君に魔法の心得を


教えたんだよな…


目の前で使って、使えるか聞いた時は


教えないとって思うほど不安だったし…




子供は覚えるのが早いらしいから


適性あれば直ぐに覚えると思うけど


何かあった時は自己責任だと


教えないと後悔させるし俺も後悔する。


心を鬼にしてでも説得させないと


って思ったんだよな…


あれよく考えたら打ち首ものだよな…


よく今生きてるよ…


アドリブで鬼を竜に変えたのが効いたのかな?


まぁちゃんと理解してくれたし良かった!




その後でまさか大人達が泣き出すとは


思いもしなかった。


凄い泣いて時間掛けてたな。


何が琴線に触れたのか分かんないけど


きっと息子の成長で泣いたんだろうな…


そんだけ何か思う事があったんだろうな…




魔法の心得から何故か先生って呼ばれて


不思議な感覚を覚えたな…


先生っていうと俺にとって坂口先生だしね。


その先生に正座させて怒りまくったけど…




そして夕暮れになってテイマーギルドに


就業時間が有る事聞いて驚いた。


理由を聞くと納得したけど


異世界なんだからと一瞬不満に感じたのは


秘密にしよう。




宿も空いてないだろうって事で


クリプス辺境伯の客人用の部屋に泊まって


今に至ると。




思い出して考えると疲れるのは当たり前だな。


全力疾走して、手加減間違えて、


貴族助けて、報酬貰って、


魔法暴かれて、魔道具の説明して、


勉強会開いて、魔法の心得教えて、


先生になって、貴族の家に泊まって。




・・・フラグ立ち過ぎだろ?


・・・明日はギルドに登録だし


絶対何かあるわこれ…




「はぁ…何も無いこと祈るか…」


祈ってもあの男の子だしなぁ…


今頃正座してんじゃないかな?




今思い出した!


フィルの厩舎での事!


明日聞かんと気になってしまう!


ダルシアとオブさんの過去何があったのか


あれもフラグ立ちしてるし…


考えると色々出てくるな。




クリプス辺境伯は5人家族で


領主がスーサ=クリプス、


奥さんがメルナ=クリプス、


ゾラム侯爵へ嫁いだ長女がアイサ=クリプス、


今はアイサ=ゾラムか?


長男のヴァイス=クリプス、


次女で赤ちゃんのスフィア=クリプス。




べラムの街警備隊のクルス隊長、


ヴァイスと仲良しのメイドのメリアとリアン。


名前を聞いて無い補佐官とメイド。




会っただけでもこのぐらいか…


明日以降増えていくんだよな…


街回ってメモ帳あれば日記でも書こうかな…


人間関係も書けば改めて理解出来るしな




もう考えるの止めとこう…


切りがないわこれ…


誰もいないがおやすみ!


俺は思い出しと不安要素を考えるのを止めて


ベッドの中で眠りについた。




~~~~~~~~~~~~~~~~~~


火のついた蝋燭のみ明るさの中で


灯された部屋に人影が現れる。


「おい!どういう事だ!報告が無いぞ!!」


荒々しい声が響く。


「送った刺客が全員やられたらしい…」


報告する声が現れる。


「馬鹿な!!数を揃えた筈だ!!


連絡役もやられたのか?」


驚きと数を揃えたと声が聞こえる。


「ああ、全滅だ…もしくは捕まったか…」


嘆く声が部屋に広がる。


「糞が!計画が台無しだ!!


どうしてくれる!!」


荒々しい声が再び響く。


「大丈夫ですよ‼まだ策はあります!


これを見てください!」


新たな声が机に紙を置く。


「これは…あぁそういう事か!


なら行けるか!」


驚いた声が紙を見て理解する。


「今度こそ成功させるぞ!


俺達の未来の為に!!」


報告した声が高々と声を上げる。


「頼むぞ!!お前ら!!俺も出るからな?


ダメなら次は無い!!心して掛かれ!!!」


荒々しい声が最後に締める。


「「「「応!!!」」」」


部屋で揺れる不穏な影達。


その声は部屋全体に響く。


揺らめく影が舞台の幕を開けようとしていた。

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