第8話スーサイドー8

新たに仲間になった

喋るグリフォンのフィルと

マーブルテイルのルティと

森の中で生活する。


数日は互いに連携しながら狩りをしていた。

火と土の魔法を持つルティ、

風魔法のフィル、

戦利品で用途に合わせて

武器を使い分けながら

数種の魔法を持つ俺トキの一人と2匹。


6割魔物、1割人間、3割植物の割合で

訓練していた。


何故植物が入るのか?

この森の植物は魔物や人を襲い

栄養分としている。


この森の食物連鎖はピラミッド型だ。

強い魔物は人と弱い魔物を食べ、

弱い魔物は人と植物を食べ、

植物は人と強弱関係なく魔物を食べる。

つまり植物>強魔物>弱魔物>人


植物は擬態して罠を掛ける為、狡猾だ。

だから気を付けて行動しなければいけない。


畑で育ててる植物を観察していたら

よく分かる。

色々な方法使って俺を食べようする。

蔓を使ったり、手足を使ったり、

状態異常を起こしたり、

弾丸の様に飛ばしたり。


それらを切り抜けながら

逆に食べているのだが

上手く共存は難しいだろう。


それほどこの森は厄介なのだ。

弱い魔物である兎も角があり

凄い脚力で襲ってくる。


基本的にこの森の魔物は異常に速い。

ほとんどが新幹線並の速さだ。


最初の頃はほとんど見えず

何度も大怪我をして死にかけたが

今では簡単にかわす事が出来る。


唯一遅いのは死体アンデットだ。

筋肉が無い為だがそれでも

元の個体種によって速さが変わる。


しかし混合死体は別だ。

それぞれの特徴を融合して襲ってくるので

気を付けないといけない。


この森で生活して約10ヶ月目。


今、森の中で目の前に

複数の黒い狼型の魔物がいる。

全部で10体ぐらいか…


大きさは牛並みで角付き。

噛み付き、引っ掻き、

突進、咆哮、魔法などの

攻撃パターンがある。


それらを予測して攻撃しないと

こちらが餌になってしまう。


牽制でルティの火の玉で攻撃。

数ヶ月狩りをしていたおかげか

ルティのレベルが上がり進化して

クワトロマーブルテイルとなっていた。


尻尾が4尾になり

火、土、水、闇の属性魔法が使える。


姿は自由に変化でき、

今は最大2mぐらいになった。


「くおぉうぅぅ」


30cmの火の玉が50発、狼達に降り注ぐ。


狼達は何でもないように全て避け

こちらに狼達が向かって来る。


前後に別れて突進してくる。


まるで太陽に照らされた影が

急激に縮む様に。


「掛かった」


集団の先頭を駆けていた狼達の足が

急に沈み膝から本体と離れる。


「ワオォォォン!?」


先頭の5体の狼の体が次々に周囲の木に

刺さっていく。


俺達をすり抜けて木にぶつかり

動かぬ死体となる。


後ろにいた狼達は急停止して

切られた先頭の狼達の足元を見る為、

首を傾げる。


そこには50cm程の穴があり

進行方向に鋭い刃が複数仕掛けられていた。


駆けていた時には無かった物が

目の前にある。


何故気づかなかったのか?


疑問に思いながらも残りの狼達は罠を避けて

再度突進する。


仲間達を殺されて怒りで我を忘れて。


しかし狼達は気づかなかった。

いや、気づくことはなかった。


先頭の狼達が木にぶつかる時に

何故かトキ達をすり抜けていたことを・・・



狼達がトキ達にぶつかる直前に

トキ達の姿が消える。

そして目の前に突如高さ5mの土壁が

現れる。


狼2体は壁に気づいて咄嗟に飛び越えるが

3体は飛び越える事が出来ず壁に

ぶつかり絶命する。


何故壁が現れたのか?狼2体は

疑問に思う前に上空から鋭い風の刃と

激しい砂利混じりの水流の刃で

意識を失った。


「今日の狩りの成果としては上々かな」

「もう少し出番が欲しかったです!主殿!」

「キュウキュウ!」

「ルティもフィルも頑張ったから

良いじゃないか!

今日は狼料理が待ってるぞ!」


上空からフィルに跨がっているトキと

フィルの頭に座っているルティが

地面に降りてくる。



トキ達はルティが火の玉を打つ際に

自分達そっくりの幻覚が見える闇魔法を

同時に発動して打ち出していた。

狼達が突進してきた時には

既に上空にいて待機。

落とし穴は最初から準備していて

それに狼達がハマる。


そして幻覚なのですり抜ける。

怒りで気づかない残りの狼達が突進したら

ルティが土壁を作り出す。


飛び越えた2体はフィルの風魔法と

トキの水・土合成魔法で討伐した。


トキ達は狼達を回収して

ログハウスに戻っていった。


罠の刃も回収し複数の狼の足は

周囲の植物に投げて栄養分となった。


ログハウスに戻ったトキ達は

飯を食べてそれぞれくつろいでいた。


フィルとルティは互いに体を寄せ合い眠り、

トキは図鑑に挟まっていた残り2つの手紙を

開けずに見ていた。



「森を出る前に見る手紙と生活11ヶ月目で

見る手紙か…嫌な予感しかしないな…」


トキは呟きながら明日見る手紙を

図鑑のしおり代わりに差し入れた。

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