転生したら、土だった。

アイアン停電

第1話 死亡、そして、土

 俺は土が好きだ。

 土を愛しているといっても過言ではない。


 生まれて成人するまで俺は土遊びが好きだった。

 他の奴らがやれ青春だやれ色恋だと騒いでいるときも、俺は土ばかりをいじっていた。

 そのせいもあって俺は大学に進学し、更には大学院にまで行きついには博士号まで取得した。

 え? それはなぜかって?

 そんなの土が好きだからに決まっているだろうが。

 しかし、そんな土をこよなく愛する俺にも不幸があった。


 いつものことながら土を研究し、食糧問題を解決すべくために開発中だった『食せる土ストロベリー味』を試食するため口に入れてみたところ、それが命取りとなった。


 食せる土ストロベリー味を胃に収めてから数時間後、俺は酷い腹痛と下痢、さらには嘔吐まで繰り返し、昏睡状態に陥った。


 朦朧とする意識の中で、まさかここにきて、大好きな土に裏切られるとは想定していなかった。

 でも、例えそうだとしても、俺は自らが愛し続けてきた土で死ねると思えば、なんてことはなかった。

 むしろこれは、土を愛する俺にとってのほまれなのだ。


 そして、それから数日後、俺は病院のベッドの上で息を引き取った。


 死因は『食中毒』だった。



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