八月のロークシア(改良版)
大柴 萌
プロローグ
プロローグ
宇宙について考えた事、きっと誰しも一度はあるだろう。
広大なこの宇宙はまさに神秘に満ち溢れたものだ。
太陽系第三惑星である地球。
そこには大気があり、生命に満ち溢れている。
だがこの一般的に言われる太陽系とは、銀河のほんの一部に過ぎない。
我々のいるこの太陽系は、銀河系(天の川銀河)に属している 。
銀河系には太陽と同じように自ら光を放つ恒星が2000億~4000億個あると言われている。
だがこれも銀河の僅か一つに過ぎない。
銀河は観測されているだけで無数に存在し、我々の住む銀河系よりも大きな銀河も存在するのである。
例えばその中に、地球によく似た星があったとしても何ら不思議ではない。
そこでは地球人によく似て、地球人と同じような価値観を持ち、地球人と同じように生殖する知的生命体がいるかもしれない。
そう、宇宙はまだ、無限の中にあるのだ。
――――夏。
「はぁはぁはぁはぁ……」
それはよく晴れた日の朝、普段と変わらない静かな村の姿。
うだるような暑さが少し引き始めた夏の終わり、一人の少年が汗を撒き散らしながら走り続けていた。
少年は休むこともなく、まるで何かに取り憑かれたかのように必死の形相を見せる。
「はぁはぁはぁ……そんなはず……そんなはずは……」
舗装もされていない山道をひたすら駆け上る少年には、執念に近いものを感じざるを得ない。
少年は走りながらも、周りをキョロキョロと見渡していた。
そう、少年は探していたのだ。
『何か』あるいは
『誰か』を。
息を切らしながらも少年は、その山道の終点へと辿り着いた。
呼吸は乱れ、日焼けした顔からは、次から次へと汗が噴き出し、顎先からポタポタと滴り落ちる。
少年のお気に入りのシャツも、たくさんの汗を含み、じっとりと湿ってしまっていた。
だが少年にとってそんな事はどうでもいい事。
膝に手をついて呼吸を整える少年は、ようやくその顔をゆっくりと上げる。
汚れを知らない無垢な瞳が、一際大きく見開かれた。
少年は見つけたのである、探し続けてきた『何か』を。
「はぁぁぁ……」
少年は安心したのか、大きなため息を吐き出した。
だが少年の顔が一変することになるのは、その後程なくしてからだ。
「バイバイ」
―――― 10年後 ――――
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