披露宴

司会なんて初めてだし、何より理に適わないミスキャストだ。


口下手、内気な僕がそんな大それた役なんて。


緊張で味も分からないシャンパンを流し込む。


スピーチを終えた重役らしき男がマイクを明け渡す。


鳴り止まない拍手に飲み込まれながらも精一杯に式を進行する。


「それでは、新郎の方から一言挨拶がございます。」


続けざまにマイクを手に話し出す。


「本日はお忙しい中・・・」


明らかなミスキャストのまま式は続いていく。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る