息子

母さんが泣いている。


どんどん化粧が落ちていく。


すると母さんはどんどん父さんになっていく。


泣き声のオクターブは次第に低くなり、さっきから漏らす嗚咽は野太く、動物を思わせる。


もはや茶飯事になったその光景を見ながら、幼い娘はキャッキャキャッキャと歓喜の声をあげる。


息子は家を出ることを夢見る。

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