バカ同士の恋愛事情

tada

 突然だが、俺 高校ニ年 山田 智行は自他ともに認めるバカだ。

 どれほどバカかというと、中二の頃のことである。


「せんせーもらしちゃった」

「山田くん今日はどっち?」

「大!」


 こんな感じの会話を一週間に一度はし ているぐらいには、バカだ。

 高校に入ってからは、もらすことも少なくなってきている。


 そんな俺は今悩みがある、それは幼馴染の女のことを好きになってしまったということだ。

 大半の人は別に良いことじゃんと言うと思うが、その好きになった女が俺と同レベルでバカでなければ俺も良いことだと思えたと思う。


 その女こと 高校生ニ年 鈴木 咲良は今俺の隣で歩きながら鯖を食っている。

 なぜ朝に通学路で鯖を食べるのか、ホントに謎である。

 すると咲良は俺が鯖を見ていることに気づいたのか、突然喋りだした。


「智行も鯖食うか?」


 なんで鯖! と心の中でツッコミながら俺は一言返事をする。


「食う!」

 と。


 すると咲良は制服のポケットに手を入れ始めた、まさかね、俺はそう思いながら咲良のポケットを見ていると、ポケットから手がスーッと出ていく。

 その手に握られたものは、鯖!

 え、お前どこから鯖出したの? と質問責めにしたかったが、一旦それは置いといて、咲良の手から落とされそうな鯖を受け取り、鯖を食べ始める。


 俺が鯖を食い終わり、ごちそうさまを言おうと咲良をの方を見ると、それじゃあと言わんばかり腕を、グルングルンと回していた。


「咲良なにやってるの?」


 俺は声を震わせながら聞くと。


「私の鯖食ったから殴るんだよ」

 咲良はあたりまでしょという表情で、こちらをみていた。

 すると咲良回していた腕を止めて、「それじゃあ」と言いながら俺の腹辺りを睨みつけている。

 狙いを定めたのか、咲良は足を踏み込み叫びだした、咲良の後ろに鯖が見えた気がした。


「鯖鯖のバズーカーーー」


 それ昨日俺の家で読んだ漫画の主人公の奴じゃん、俺はそんなことを考えながらパンチを受けた。

 ゴスっと単純に痛いパンチが俺の腹を襲った、そのまま倒れ込んでしまった。


「鯖王に私はなる」


 きっちり決めゼリフまで言いきった咲良は満足気な表情をしていた。

 すると咲良は倒れこんだ俺のところまで、足を運び喋り出した。


「私、鯖鯖の木の能力者なんだ」


 なんだよ鯖鯖の木って、俺はそう思いながら咲良の顔を見ると、もの凄く嬉しそうな笑顔だった。

 そんな笑顔を見せられたら怒るに怒れないじゃん。

 俺はそんな風に考えながら立ち上がり、学校に向かって歩きだした。

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