短編集

池の主

1.お嬢さん、それは違います

海水浴所。


白いきめ細やかな砂浜とさざ波。


サマーバケーション。


水着の男女がむらむらと。


視野を広げれば、上半身が映し出される。

おっぱい、マッチョ、がりがり、健康、頭。


あたま?


浜辺を水平線にして、人の森から顔がのぞけた。


平均身長158cmの中で、ことさら低い120cm。

からだにぴったりと張り付いた赤と白のしましまの水着。


童女である。


プラスチックの小さなスコップとバケツを持ち、

静かに砂浜のなかからキラキラとしたものを見つけては、

スコップでバケツに集めていた。


バケツはすでに砂と多くのキラキラが集まっていた。

キラキラはシーガラスである。


「たくさんあつまった」


童女はにやにやと、すごく嬉しそうつぶやいた。


バケツをゆっくりと両手で持ち上げ、さざ波から遠ざかっていく。

バケツに重心を奪われつつも、ゆっくりと歩く。

ふらつく紅白のしましまから、一つのチラシが落ちた。


チラシには大きくこう書かれていた。




-金を高く買い取ります。

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