第49話 幕間(フィン、マリン)

-- フィン、マリン


野営地から離れ。

フィンとマリンは、木陰で佇む。


その表情は、仄暗い。


マリンは、図面に線を書き入れ・・・


「ねえ、マリン・・・僕は・・・酷い性格だと思うかな?」


フィンが、呟く。


マリンは、フィンを見ると、


「はい、酷いと思います。フィンさんも・・・私も」


「・・・大切な存在、だったんだけどね・・・いや、大切な存在なんだけどね・・・酷い裏切りだ・・・」


フィンの目から、涙が流れ、


「その罪は、私も背負います・・・フィンさんと、私では、重ねた時間が大きく違いますが・・・それでも、フィンさんの罪は、私と・・・いえ、私と、ヴァルナさんとで、共に背負うものです」


マリンが、強い口調で言う。


「・・・ヴァルナには、もうこの事は言ったの?」


「・・・いえ、ヴァルナさんは、エイコクさんに強要されれば喋ってしまうので・・・明確には話していません。ただ・・・」


マリンの言葉を、フィンが継ぐ。


「ただ、ヴァルナは魔に属する者。魅了チャームの事は詳しい筈。なら、当然・・・」


「はい、気付いていて、その上で黙っている筈です」


マリンが頷く。


「魔王を倒すのは、確定した未来。そこに障害は無い。問題は・・・倒した後だ。その成否によって・・・僕の・・・いや、僕達の未来はそこにかかっている」


フィンの言葉に、


「はい、絶対に成功させなければ・・・なりません」


マリンが、真剣な顔で頷く。


ふと、思いついた様に、フィンが尋ねる。


「そう言えば・・・送還に使う魔力結晶は?」


マリンが微笑み、答える。


「大丈夫ですよ。ヴァルナさんから、場所を聞いています」


「なるほど・・・頼んだよ」


フィンはそう言うと、


「そろそろ戻ろう。勘付かれる訳にはいかない」


真剣な表情に戻り、そう告げた。

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