第135話ソレナンテエロゲ?6


 さて、


「…………」


 この時間が……やってきました。


 電子デートもした。


 夕餉も食べた。


 次に起こるのは、必然、お風呂。


 ちなみに、秋子は、爛々と瞳を燃やしていた。


「コホン」


 と咳払いをして、


「雉ちゃん?」


 と僕を呼ぶ。


 うん。


 まぁ。


 言いたいことは……わかるんだけど。


「お風呂に入りましょ?」


 ですよね~。


「良いけどさ」


「っ!」


 夏美が、絶句する。


 しばし、


「うー」


 や、


「あー」


 などと悩み、


「春雉と秋子ちゃんは一緒にお風呂に入るの?」


 そんな結論。


「たまにね」


 僕は疲れたように。


「これからは毎日だよ!」


 確かに夏季休暇中は、僕の家に、入り浸る手筈だけどさ。


「あうぅ……」


 と夏美が呻く。


 気持ちはわかる。


 恋人が、他の女子と裸の付き合いをしたら、黙ってられるものではない。


 それは、僕にも言える事だ。


 だから、


「夏美も一緒に入る?」


 そんな提案。


「いいんですか?」


「駄目な理由を探す方が難しいかな」


 わざとらしく、肩をすくめる。


「私も入る!」


 これは量子。


 ポン、と、緊迫感を解く音がしたかと思うと、量子は全裸になった。


 それから、データ上のバスタオルを巻いて、裸体を隠す。


「とまぁそういうわけ」


 僕は、疲れたように、夏美に説明した。


 秋子や量子と、裸のお付き合いを(稀にだけど)していることを。


「で?」


「とは?」


「夏美はどうする?」


「あう……」


 言葉を失う夏美だった。


 そうだよね。


「一緒に入りたい」


 と、


「秋子や量子に先を譲りたくない」


 と、


「はしたない女の子と思われたくない」


 が並列しているのだろう。


 その程度は、読み取れる。


「大丈夫。秋子と量子には手を出さないから」


「私には?」


「気分による」


「あう……」


 やっぱり、言葉を失う夏美。


 女の子の一番大切なものが、ピンチと言えるだろう。


「抱く……の……?」


「今のところ、そのつもりは無いけどね」


 ちなみに性欲や情欲が、無いではない。


 ただ、その熱情を、トイレで済ませているため、美少女の全裸を見ても、もう一人の僕が反応しないと云うだけ。


 六根清浄六根清浄。


 そんなわけで……四人で風呂に入ることになった。


 夏美は、裸をタオルで隠している。


 秋子と量子はフルオープンだ。


「あう……」


 と夏美。


 自身のヘタレ具合を、確かめているのだろう。


「大丈夫」


 僕は濡れた赤髪を、クシャッと撫ぜた。


「僕は夏美が好きだから」


「でも……」


 でも?


「私は裸になれませんよ?」


「その方が好意的だけどね」


「ふえ……?」


「男相手に平然と裸になれる秋子と量子には悪いけどね」


 シニカルに笑う。


「でもそれだけ秋子と量子は春雉に心を仮託している証明じゃないかな?」


「言われればその通りではあるけど」


「……やっぱり」


「でも恥ずかしがる乙女の方が趣深い」


「あう……」


 羞恥に、頬を染める夏美だった。


 愛い奴愛い奴。


 その純情さを、秋子と量子にも、伝えてほしいくらいだ。

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