第5話 意外な展開

少しばかり裕子さんの傍らで、うとうとしてしまった。

キ~ン コ~ン カ~ン~~~

「あっ、下校チャイムが鳴ってる」僕は寝惚け眼を擦りながら

半起きしながらベンチの辺りを見回した。

「アレ?裕子さん、校舎がほら木造で無いよ」

「寝ぼけたの?ずっと前からもうコンクリートの建物だよ」


「だって朝来た時、昔のまんまだねって、裕子さんも頷いたじゃん」

「えっ?あなたはそう言ったみたいだったけど、アタシ頷いたぁ~?」


「ああ・あ・あ、ほら、校舎の裏も!ずっと田んぼが広がってたのに

 えっ何で、家とかいっぱい立ち並んでる、オカシイなあ?」

「寝ぼけてんでしょ、景色が朝と昼に入れ替わる訳が無いもん」


「う~ん・・・・・???」

「ねえ、下校チャイムも鳴ったし、そろそろ・・・」


「う、うん、い、いやだよお~!未だ帰りたくない!もっとずっと

 裕子さんと一緒に居たいよお~!」

「ダダをこねて、もう~、だって生徒たちがみんな出てくるよ」


「けど、けどさぁ~、もう少しだけ・・・」

「また来よう!ねっ、また母校でデートしよ!だから・・・ね!


また再び下校チャイムが鳴った。

キ~ン コ~ン カ~ン


玄関内の下駄箱の辺りがガヤガヤと騒がしくなってきた。


「ねえ、生徒たちが大勢出てくるってばぁ~、早く行こ!」

「う、うん・・・」


その時、トントントン、トントントン!!

誰かが激しくノックしてるような音がして、ハッと目を見開いた。

用務員みたいな野暮ったいオジさんがクルマの窓越しにこっちを

見ながら何かを話してるみたいだったから窓を半分だけ開けた。


「すいませんが、ここは他の父兄さんの出入りにチョッと邪魔に

なるので、あちらの方に移動してもらえませんか」

「へっ?あっ、すいません」止まったままのクルマのエンジンを

始動して、何か訳が解らない状態のまま、指示された場所に移動

しようとした、その矢先に今度は助手席側の窓ガラスを誰かが

叩いた。


トントントン、トントントン!!


「えっ??」



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