そこはかとなく裏切り

@dantuzidou

第1話 奈落の底へ

4人の勇者のパーティが魔王城の半ばで苦戦していた

「数に押し切られそうだ」

「何とかならないのか」

「回復薬も尽きてMPも残り少ない」

「万事休すか」


今にも息絶えそうな人類の希望の前に思わぬ救世主が現れた

その救世主は4人を取り囲んだ魔物の中から不用心に歩き出て

力尽き跪いた勇者の首を狙うように剣を振り上げたと思ったら

剣を振り上げたまま反転し勇者を背に守るように魔物の群れに立ちふさがった


何が起きたかわからない勇者は

最後の時を覚悟していたのに

その覚悟は宙に消えてきょとんとした目で

その救世主を眺めた


救世主は銀の鎧を着こみ後頭部からは鮮やかな青色の飾りが

ポニーテールのように伸びていた

右側に角が生えた兜、鎧の中は真っ暗な闇が煙のような

液体のような感じで埋まっていた

救世主さながらのその魔物の行動に魔物の群れも息をのんで

動けずにいた


救世主の魔物は振り上げた剣を地面に突き立てた

その瞬間魔王城の床はもろくも崩れ果て

真っ暗な闇の中に勇者の一行は落ちていった


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