第21話 その街は、舞踏会に向かない寂れた場所(9)



 えっと、お兄ちゃんが言ってたようにやるとしたら、ただ力を出すんじゃなくて、周りの力を受け入れるようにただ歩け、だっけ?

 そう日中に言われたわたしは、ただ歩きます。さっきお兄ちゃんが使った魔導の余波もないから、エレスティは発生しません。同じ神術同士、反発するものはないはずなんです。

 歩いて近寄って彼の顔を見て、あと大人三人分くらいの身長程度まで近寄ったら白い壁が見えました。ここまで近付かないとその壁があったことには気付きませんでした。たぶん、これが最後の壁。

 何も力を使わず、手を伸ばします。弾かれることはありませんでしたが、とても堅く壊せそうにありません。

 なので呼びかけてみます。


「えっと、レイルさん?わたしの声が届いていますか?」


 反応がありません。顔とか表情とか一切動きません。もしかしたらわたしがここまで来ていることにも気付いていないのかもしれません。

 さて、どうしましょう?声が届かないなら、届くようにこの壁に介入するしかないと思います。

 お兄ちゃんから色々な術を教わりましたが、結界を破壊するような術は教わっていません。そういう術もあるとは思うけど、必要ないとお兄ちゃんは考えたのでしょうか。それとも順番的にまだ早いのでしょうか。

 とりあえず、力を使ってみます。破壊するわけじゃなく、融かしていくイメージです。そんな術教わっていませんし、できるかわかりませんが続けてみます。

 すると、手を当てていた部分がグニャリと歪みました。上手くいっているみたいです。ちょっと力業ですが。

 あとはマナ?を放出して、同じ作業の繰り返しです。どんどん結界を融かしていって、ひとまずは声をかけられるようにしないと。

 意外と壁は厚いです。わたしの手と手首がすっぽり入るほど結界に手を伸ばしているのですが、まだ貫通しません。

 ……どこからこんな膨大な力が出てくるんでしょう?

 聞いていた話によると、一か月以上この人はこのまま力を出し続けています。それにさっきまで、この世界で一番の魔導士のお兄ちゃんから攻撃を受け続けてそれでも最後の層は守り切りました。

 それこそ、アスナーシャ教会の導師以上の力を持っているんじゃないでしょうか?会ったこともないので、どの程度の人かわかりません。ただ、お兄ちゃんが負けないと信じているだけです。

 そのお兄ちゃんが、苦戦していました。レイルさんを助けるために手加減していたからって、それだけの力を使えるなら実力は本物だと思います。

 そんな人がただの人間だと思われていたというのが不思議でたまりません。

 そうやって考え事をしながら作業を続けていると、手首が軽くなりました。どうやら貫通したようです。


「レイルさん、聞こえますか?返事してください」

「ッ⁉だ、誰だ⁉」

「エレス・ゴラッドと申します。世界で一番のお兄ちゃんを持った果報者です」

「……お兄ちゃん?」


 気になるところはそこなのでしょうか。声を聞く限り元気そうです。


「そのお兄ちゃんのお願いで、できたら自分でこの結界外してくれませんか?」

「……俺には、できないよ。自分の中から溢れる力をどうにもできないんだ。その結界だってどう作ったのかすらわからない。どうしようもないんだ。魔導士のお嬢ちゃん、悪いことは言わないから離れなさい」


 何か勘違いしているようです。訂正しましょう。間違ったままというのはいけないことだとお兄ちゃんも言っていました。


「私、力の分類としては神術士ですよ?」

「神術士⁉いけない、すぐに離れるんだ!エレスティが起こる!」

「……?えっと、レイルさん。あなたの力も神術です。同じ力同士でエレスティは起こりませんよ?」


 何で自分の力を誤解しているのでしょうか。エレスティが起こっていないのも一目瞭然なのに。


「いや、俺は悪魔ドラキュラなんだ!そうじゃないと病が発生した説明がつかない!いますぐ、離れろ!」

「えっと、街の皆さんが体調を悪くしたのは、神術の多量接種らしいです。たしか、人体が受け取れる限界量?が超えちゃったとか……」


 わたしも詳しくはわかりません。お兄ちゃんが言っていたことをそのまま鵜呑みにしているだけです。だから原理とかはわかりません。

 街の中に神術の力が蔓延しているのはわかります。ただそれだけです。これぐらいの力なら全然苦しくはなりませんけど。


「そんな出鱈目が……。神術が人を傷付けるわけない」

「む。それは違います。神術だって人は傷付きますよ?エレスティが起こるので魔導士の方は傷付けてしまいますし、治癒術をかけてあげることはできません。治してあげられないんです。それはたぶん、心も痛めてしまいます」

「ハハッ……。優しいお嬢さんだねえ。魔導士を人間扱いなんて、ほとんどの人がしないよ。アスナーシャ教会や魔導研究会の目がある所では表立って言えないけど、皆魔導士は毛嫌いしてる。あれは何かを傷付けることに特化したバケモノだ」

「聞き捨てなりません。訂正してくださいッ!」


 今の電化製品のほとんどは魔導士の方が作るマナタイトが動力になっていると聞きました。生活に密接しているのに、それを提供してくれている方々をバケモノと呼ぶなんておかしいです。ただ強い力を持っているだけではないですか。

 それに、お兄ちゃんをバケモノ扱いは許しません。わたしの命の恩人です。バケモノだって蔑まれていたわたしを助けてくれたのは、紛れもなくお兄ちゃんなのです。

 バケモノを助けてくれた方のことをなんて言うのでしょう?神様?


「魔導士の方々が、私たちに何か危害を加えましたか?わたしは、魔導士のお兄ちゃんに助けられました。山賊になったりする魔導士の方もいらっしゃるみたいですが、全員が悪い人じゃないはずです」

「アース・ゼロを起こした奴が悪い奴じゃないと?」

「それで全体を見ないでください。それはアース・ゼロを起こした人が悪い人だったのかもしれないだけです」

「……世界を混沌に陥れただけで、充分その力は悪さ。世界を変えちまったんだからな」


 そもそもわたし、アース・ゼロなんてまともに知りません。十年も前の話です。知っているはずがありません。お兄ちゃんやラフィアさんの話によると原因は不明で、おそらく魔導士が関わっているくらいしかわかっていないんです。

 それでどうしろっていうんですか。


「わたし、バカなので難しいことはわかりません。でも、事実があります。わたしは神術士だから虐められていました。助けてくれたのは魔導士のお兄ちゃんです。だから、神術士とか魔導士とかで一括りにしないでください」

「神術士なのに、虐められていた……?」

「そうです。どんな傷でも塞いでしまうから、えっと……アンデットとか呼ばれてました。たぶんレイルさんも力が強すぎるから悪魔ドラキュラなんて呼ばれちゃってるんです。だってこの防御術式?防壁術式?とにかくこの壁、人間も神術士も通れないんですもん」


 これはそういうもの、たぶん拒絶の結界。どうしてそんなものを作ってしまったのか。それはきっと、人間からバケモノへの周りの目線の変化。

 わたしの時と一緒です。それが、力として暴走してしまっただけ。


「レイルさん。周りの人が何と言おうと、わたしもあなたもただの人間です。バケモノなんかじゃありません。お兄ちゃんが言っていましたけど、バケモノは心を持っていないみたいです。お兄ちゃんと一緒にいるだけで幸せなわたしや、怖いって思ってるレイルさんはバケモノじゃないですよ?」

「こんな……人を苦しめてる俺が?」

「どういうことがあってこうなったかはわかりません。でも、今話している様子からレイルさんはそんなにひどい人だと思えません。魔導士に偏見を持っているみたいですが、それなのにわたしが近付いて来たら離れろって言ってくれたじゃないですか。それだけであなたにはまだ心が残っていると思います」


 心配してくれた。それだけで充分だと思います。それ以上の証拠はいらないのではないでしょうか。


「レイルさん。たぶんアスナーシャ教会の人たちが、力の制御の仕方を教えてくれると思います。だから、まずはご飯を食べませんか?一か月以上ご飯食べていないのは神術のおかげで平気だとしても寂しいと思います」

「俺が悪魔になったから平気なんじゃないのか……?」

「だから、わたしはバカなので詳しいことはわかりません。頭の良い人に聞いてください。わたし、神術ちゃんと使い始めたのはつい最近なので。理論とか勉強中の身なのでよくわかんないです」


 頬に空気を集めて膨らます。

 どうしてこの人はわたしに意見を求めてくるのでしょう?ほとんど答えられないのに。わたしだってお兄ちゃんに聞くばかりで、教わる側なのに。


「わたし、ちょっと怒ってます。お兄ちゃんはあなたを助けるために傷付きました。火傷の痕とか、痛々しかったです。もうお兄ちゃんが傷付くのは見たくありません。色々疑問があると思いますが、わたしには答えられないので後で誰かに聞いてください。あなたが折れてくれないと、またお兄ちゃんが傷付くかもしれません。それは許せません」

「……折れてって、言われても」

「なんかぶわーってなってるのをポイって捨てちゃえばいいんですよ!色々考えてるのをどこかに放り投げちゃってください!考えるだけ無駄です!だって、わたしにもレイルさんにも解決できませんもん!」


 説明が雑になっちゃいましたが、そんな感じなのがわたしが神術を使う時のイメージです。お兄ちゃんに言っても、「人それぞれだから」と言われたのでそのままです。それで使えたり、力のオンオフができるんですから、問題ありません。

 それにわたしたちには解決できないのも事実です。だってお兄ちゃんにも原因はわかっていないんです。レイルさんの状況も見ずに暴走し始めた状況も聞いていなくてわかるはずがありません。

 そういう調査を行うためにも邪魔な壁は破壊してほしいものです。


「そんな、雑な……。それに俺が神術士って言われても実感がない。現にこうして誰かを傷付けて、一回も誰かの治療とかしたことないんだぞ?」

「知りません!神術士だって魔物と戦えるんですから人だって傷付けられます!防御術を振り回したりしたらただの鈍器ですし、拘束術式を使えば人を閉じ込められます!神術士は誰も傷付けない清くて立派な人って意味じゃないんですよ⁉」


 本当の自分が魔導士か神術士かなんて些細な問題です。そんな枠組みで話しているから頭でっかちになっちゃうのです。


「レイルさんはレイルさんでしょう!それを認めてくれる家族はいないんですか?友達はいないんですか?いないならわたしがレイルさんだって認めます!あなたはどこにでもいる、ただのレイルさんです!」

「あ……」


 壁が消えていきました。まだ神術の余波は感じますが、大きな前進です。お兄ちゃんが壊さなくて済んだんですから、わたし的にはすごい成果です。

 わたしだってお兄ちゃんに認めてもらえたから、妹として一緒にいたいって思ってるだけです。わたしを必要としてくれる人がいた。その事実が何よりも大事なのですから。

 ラフィアさん?あの人はちょっと口うるさいお兄ちゃんの付き人です。それ以上でも以下でもありません。

 私は女神像の傍に近寄って、グルグルに縛られた鎖をどうにかしようとしましたが、鍵穴が見当たりません。そもそも鍵すら受け取っていませんでした。

 なら、強硬手段です。仕方ありませんね。


「アテナ・ヘケト!」

「ちょ、ちょっとお嬢さん⁉」


 部分的な防護壁を右手に出して、それを振り落とします。もちろんレイルに当たらない場所で。鎖は一般品だったようで、簡単に砕け散りました。


「これで解決ですね」

「強引過ぎるでしょ……。こんな女神より女神らしいって思ったのに」

「ああ、このアスナーシャですか?」


 一緒に銅像を見上げます。大人の女性に羽の生えた、女神像。アスナーシャの御姿らしいです。


「これ、そんなにアスナーシャに似ていますか?」

「さあ……。導師様なら会ったことあるかもしれないけど、実際に見たことある人なんてほとんどいないわけだし」

「おや、僕も見たことはありませんよ。一度たりとも、彼女は僕の前に姿を現したことはありません」

「えっ……?」


 見知らぬ人が立っていました。わたしよりは年上ですが、お兄ちゃんよりは確実に年下です。浅葱色が輝く髪に、まだ大人になる前の子どもらしい顔付きをした男の人です。格好も、そこら辺にいる男の子と大差ありません。


「初めまして、レイル・バンハッドさん。アスナーシャ教会導師、ルフド・フレイア=ヴァニルです。事態の収束のために来たんですが、一足遅かったみたいですね」

「あんたが、導師……?」

「はい。そこら辺にいる僕の部下が証明してくれると思いますよ。格好についてはお忍びだったので平民の服を適当に見繕って。変じゃないです?」


 そんなことを言いながら、この男の子はわたしたちのことをジロジロと見てきます。えっと、神術士ってバレないように力を薄くしないと……。


「あなたの身柄はアスナーシャ教会が保護します。あなたの安全は保障しますが、その前に済ませること済ませてしまいますね?」

「え?」


 導師の少年は持っていた木製の杖を上に掲げます。そしてその先端で、レイルさんのお腹を叩きました。


「グフッ⁉」

「な、何やってるんですか⁉」

「腹部に彼のモノとは異なる神術の気配があります。それが暴走の原因かと。――流転する星霜よ、彼の者に祝福を与えたまえ。ディスペル」


 レイルさんの腹部が光り、お腹から白い光に包まれた何かが出てきます。神術って不思議です。お腹の中に埋め込まれた物を術で外に出せてしまうんですから。


「それは……?」

「わかりません。調査してみないと。でもこれで彼の神術は元に戻りましたよ?」


 レイルさんから感じる神術の波動は極々微量になりました。この量なら強力な魔導士に会っても、エレスティは極小のものしか発生しないでしょう。


「おやすみなさい、レイル。次に目が覚めたら、首都の美味しい食事で歓迎しますよ」


 導師は手をレイルさんの目元に運び、魔法陣を出しました。どんな術かわかりませんでしたが、無詠唱でレイルさんを眠らせてしまったようです。


「メッカ。彼を宿舎に運んでください」

「は、はい!」


 メッカさんがすぐに来て、鎖の破片を全部どかしてレイルさんを抱きかかえて行ってしまいました。あのメッカさんが従っているんですから、たしかにこの人は導師みたいです。


「さて、ひとまず峠は越えましたか。では、あなたのことを聞きましょう。あなたほどの神術士がアスナーシャ教会で確認が取れていないなんて不思議です。今までどこにいたんですか?」

「……あなた、本当に導師様なんですか?」

「十年前に祀り上げられて、それから色々な方の手を借りてきましたが世界的には僕しか導師はいないと思います」

「でも、アスナーシャに会ったことないんですよね?」


 それが疑問です。どうしてアスナーシャに会ったこともない人が導師として崇められているんでしょう?それも昔からです。

 神術が他の人より優秀だったからでしょうか?でも、全開のお兄ちゃんと張り合えなさそうです。そんな人がアスナーシャに選ばれし者――導師なのでしょうか?本人も会ったことないって言っていますし。


「疑問に思うのも当然でしょう。僕も疑問を浮かべてばかりです。もし、僕よりも導師に相応しい方がいらっしゃるなら、いつでも譲り空けましょう。僕は急ごしらえの代役に過ぎません。……ですから、あなたに興味があるのです」

「わたし、ですか?」

「あなたの神術は底が見えない。だからこそ教えていただきたいのです。あなたのことを」

「……話しません。お兄ちゃんが話していいって言うなら、話します」

「お兄さんですか?」


 この人にこれ以上関わっていても何も進展しません。事件の原因もどうでもいいです。早くお兄ちゃんの様子を確認しないと。治癒術は使えませんが、手当てぐらいならできます。


「お兄ちゃんが心配なので行きます。さようなら」


 走ってお兄ちゃんの元へ向かいます。お兄ちゃんはラフィアさんに肩を貸してもらって立ち上がっていました。

 ……ズルいです。わたしが代わりたいです。でも体格的に無理ですね。


「エレス、ありがとう。レイル・バンハッドは運ばれたようだな」

「うん。お兄ちゃん、具合は……?」

「傷はだんだん塞がってるよ。マナタイト三つと交換した高級薬だ、効いてくれないと困る。歩くのはちょっと無理だな。マナを使いすぎた。一晩寝たら治るとは思うが」

「そっか」


 それは良かった。右腕の様子も見てみますが、傷は広がっていないみたいです。医者ではないのでよくわかりませんが。


「で、あの少年。導師とか名乗ったか?」

「うん。導師様なんだって」

「え?あの子が今の導師なんですか?」

「たぶんな。俺も会うのは初めてだけど」


 お兄ちゃんもラフィアさんも知らなかったようです。アスナーシャ教会と魔導研究会のトップ同士が顔も知らないのはどうなんでしょうか。


「……警戒しないとな」

「何故です?」

「あいつがエレスを狙ってるからだ」

「はい?」

「さすがお兄ちゃんです!さっきも素性聞かれました!」


 やっぱりジンお兄ちゃんはすごいです。どうしてこうも物事が見通せるんでしょうか。お兄ちゃんが組織のトップだから?


「あいつの神術と同等の神術をエレスが使えるからだよ。その上、エレスの特性もある」


 む。ジンお兄ちゃん酷いです。あの導師様と同等は聞き捨てなりません。わたしの方があの人よりも力はあると思います。

 あ、お兄ちゃんが目線を送ってきます。そのことは言うなってことでしょうか?


「アスナーシャ教会に勧誘……。いや、保護?もしかしたら監禁されて実験される可能性もある。口割るなよ。何されるかわからん」

「あの、アスナーシャ教会がそんな非人道的なことを行うとは思えないのですが……」

「組織に裏なんてつきものだろうが。ウチにもあったぞ?いや、今もあるか」

「なっ⁉それを放置していると⁉」

「綺麗事だけで組織なんて運営できねーよ。マナタイトの横流しとかしてるし。実験とかはさすがにしてねーよ」

「それなら良かっ……。いや、よくありませんよね?横流し」


 よこながし、というのがどういうものかはわかりません。今度教えてもらいましょう。お兄ちゃんにも悪い部分があるみたいです。


「エレス。一つ確認だ。アスナーシャ教会で導師になれるとしたら、行くか?」


 ?おかしな質問です。そんな答え、わかりきっているのに。


「行きませんよ?わたし、お兄ちゃんの隣以外には行きません」

「――うん。よくわかった。じゃあ俺もお前をアスナーシャ教会に引き渡さないように頑張るよ」

「お願いします」


 わたしたちは宿舎に戻ります。吹っ飛んでしまった屋根とかはアスナーシャ教会の方か、騎士団がどうにかしてくれるらしいです。

 お風呂をいただいてから、お兄ちゃんと一緒のベッドに入り込みます。これだけは絶対に譲れません。

 お兄ちゃんを運ぶことはできなかったんだから、これくらいは許されると思います。

 お兄ちゃんの横に寝転がると、さっき怪我した右腕に包帯が巻かれているのがわかります。痛々しいです。上から触ってみても、まだ膨れています。


「おやすみ、ジンお兄ちゃん」


 返事はありません。もう寝ているみたいです。わたしもすぐ眠れそうです。今日は色々あって疲れましたから。


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