評論:ミサが語る、映画のひみつ
瀬夏ジュン
ボヘミアン・ラプソディを観てきたよ
ハーイ!
あたし、ミサ。
役者をやってます。
といっても、小説のなかの話なの。
いえ、違うの。
小説に登場する、役者をしてる人物、っていうんじゃないの。
あたしは、瀬夏ナントカっていうひとの作る小説の登場人物を、いろいろと演じている役者のうちのひとりなの。
え?
なにいってるか、よく分かんないって?
そうね、当然よね。
そのうち、また説明する。
とにかく、あたしは今回、瀬夏ナントカの新しいエッセイに駆り出されたってわけなの。
観た映画について話せっていうのよ。
正直いうと、めんどくさい。
これ以上、仕事を増やさないでって思っちゃう。
けどね。
映画について語るのは、嫌いじゃないんだ。
むしろ好き。
自分のひねくれた内面を、ここぞとばかりに吐き出したいのよ、感想という名目で。
こんなあたしに、我慢して付き合ってくれるひとがいたら、うれしいな。
というわけで。
観てきましたよ、「ボヘミアン・ラプソディ」。
偉大なロックグループ、クイーンとその伝説のヴォーカル、フレディ・マーキュリーを描いた映画。
前評判がとてもいいので。
泣ける映画だと評判なので。
たしかにヒットしてます。
大ヒットです。
吉祥寺オデオンで、あんなに沢山のお客を見たのは初めての経験。
でもねえ。
そんなに泣ける映画とは思わなかったなあ。
むしろ、すがすがしい感じ。
好きなことをトコトンやる真っ直ぐさ。
自分の気持ちを正直に告白する素直さ。
バンドメンバーに謝るピュアさ。
ライブ・エイドのパフォーマンスをやり遂げる、爽快なエネルギー。
才能豊かなフレディがイヤミなく描かれていて、ちょっとコメディタッチも多くて、観終わったあとにポジティブな気持ちになりました。
あと思ったのは、出演者たちが現実のバンドメンバーそっくりだっていうこと。
フレディ・マーキュリー役のラミ・マレックをはじめ、ギター、ベース、ドラムすべてクリソツ(死語?)。
フレディの歌声はカナダの歌手マーク・マーテルさんなんだけど、これもクリソツ!(やっぱ死語?)
瀬夏さんに聞いたの。
クイーンをリアルタイムで知っている人たちには、この映画は冒頭からワクワクだろうって。
笑みがこぼれるだろうって。
まあ、瀬夏さんはクイーン、あんま好きじゃなかったらしいけど。
あのひとが聴いていたのは、ライブ・エイドに出てた他のバンドでいえば、ポリスとかスティングとかワムとか、あとスタイルカウンシルとかシャーデーとかアダム・アントとかデュラン・デュランとか。
というより、瀬夏さんのほんとうに好きなバンドはマイナーで、ライブ・エイドに出てなかったらしいです。
あ。
ボヘミアン・ラプソディの話ですね。
わたしはこの映画、もっとセクシャル・マイノリティの話で掘り下げるのかと思ってました。
けど、なんとなく他人行儀。
描かなきゃいけないクイーンの歴史のなかで、フレディの個人的な謎解きや問題提示はあまりなかったという感想です。
もちろん、ガールフレンド(奥さん?)とボーイフレンドのあいだでフレディは葛藤し、自暴自棄になったりもする描写はありましたが、類型的だった印象。
クイーンの成り行きのドキュメンタリー的な観点からは、ギターのブライアン・メイが制作に関わっていることから、わりと事実に忠実なのかなあと思います。
が、ヒューマンドラマとしては、並かなあと。
あと、ロックバンドっていうものについて、かなりキレイに描かれていた。
普通はもっともっと泥臭い。
まあ、クイーンはわりと理想的なバンドだったのかもしれませんが。
はい。
ごめんなさい。
あたし、辛口。
でもね、この映画から教わったと思うのは。
優れた才能が、家族の理解によって助かったということ。
フレディのお父さんは厳しくて、最初は認めてなかったけど、音楽することを強く抑え込んだりはしなかった。
映像を見る限り、お母さんは優しくサポートしてくれていた。
妹さんカシミラは良き理解者だった。
音楽に対しても、同性愛に対しても。
偉大な才能も、潰されなかったから大きく羽ばたけた。
大衆からディスられなかったから成功できた。
フレディって、それほどタフではなかったんじゃないかと思うし。
まあ、ホモセクシャルに関していえば、イギリスロック界には大勢の優秀な人材がいるのよ。
エルトン・ジョン、ジョージ・マイケル(ワム)、ボーイ・ジョージ(カルチャークラブ)、リマール(カジャ・グーグー)、ホリー・ジョンソン(フランキー・ゴーズ・トゥ・ハリウッド)……。
最後のは余計でしたね。
みんな、知らないでしょうね。
あたし、80年代マニアなの。
とにかく、ロック界だけでなく、ジャズ、クラシックにも偉大な先達たちに同性愛者はたくさん存在します。
あたしはストレートなので、ほんとうのところは理解できません。
でも思うのは。
彼ら、彼女らの苦悩と内省と、果てしない考察、それによって絶え間なく蓄積して発散されるエネルギーが、すぐれた才能をはぐくむ一因なのかもしれません。
ボヘミアン・ラプソディ。
観る価値のある映画です。
ラストのライブ・エイドの演奏は、とにかくすばらしい。
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