ユリの花言葉
雪火
噂と真実
ぽたり…ぽたり……
女子トイレ天井から滴る青い水
昼の12時にその少女は現れる
「ねえ…待ってよ」
その声を聞いた子は全員首に縄の跡が残っているという噂
そんなホラー話で校内は盛り上がっていた
俺一人を除いて
俺は幼い頃から変なものを見てしまう
時にはとある事件の隠蔽だったり、人が殺されてしまう瞬間だったり
亡くなったはずの少女だったり
それを誰かに言ったことは無いが正直迷惑している
「ころせない、しんでほしい、ころせないころせないころせないころせない」
ブツブツと呟いてやがる幽霊
そりゃあ殺せるわけがない…お前は誰も怨んでなんかいないから
あれは、数ヶ月前のことだった
校内で起きていたいじめ
大人しくていつも緩やかに微笑んでいた同じクラスの
だから、多分全員が道を間違えたんだと思う
「笑ってるから平気だろ?」
「笑っているから大丈夫だろ?」
「何をしても許してくれる」
全員がそう思っていたんだ
だから、彼女は自分の部屋で首を吊って死んだのだ
この問題は白石の家族の意向で大きくニュースには取り上げられなかったが白石の遺書にはこんなことが書かれていた
私の大好きな家族と友達へ
本当は死ぬ程辛かった
階段から落とされたこともあるし
かすり傷程度だったけど刺されたこともある
私がなんかしたのかなって聞いたけど、あの子達は「暇だから」って答えたの
私はただ普通に生きたかったのに
学校生活を楽しみたかっただけなのに
苦しくて、どうしようもなくて…
先生にも相談したのに「貴方が頑張れば周りは認めてくれるよ」って
違うよ、先生
認めて欲しかったんじゃないの
助けてほしかったの
お母さん、お父さん
ごめんなさい。相談もできない馬鹿な娘でごめんなさい。
でもね、大好きでした。
私も皆と学校生活したかったな
さようなら。
ああ、苦しかったよな。
助けて欲しかったんだよな。
あんなに笑っていたのに心の中で叫んでたんだよな。
だからこの世に未練が残ってこんな姿になっている
「私の姿が見えるの…?工藤くん…」
感情移入をしすぎたせいか見えていることがバレた
仕方ないか…手を差し伸べられなかった俺の責任もある
せめて少しでも未練なく心からの笑顔であの世へ行けるように手伝うしかないな
「なあ、白石……お前は」
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