上司のエロスが爆発したOL異世界サバイバル

やっほーう

第1話 平凡な日常は上司と共に去りぬ。

パチパチと火が燃える音がする。

たしか今日は得意先への資料を作らなきゃいけなかったはず…

それとなにかすごく大事なことを忘れている気がする。

すごく、だいじな…

「キィィエェェェッッッ」

この世にいるとは思えない鳴き声で私は目を覚ました。

ぼやけた視界の先にあったのは生い茂った緑と、透き通るような晴れ空だった。

久しぶりに新鮮な空気を吸えたおかげか、だんだんと頭がはっきりしてくる。

「そうだ。」

ありえないことなのにすっかり理解してしまった。

「ここは、異世界なんだ。」

 今日もいつも通りの朝が始まる。

 時間通りのアラームに起こされた私は外の天気と同じくらい曇っていた。

私は「マイス・コーポレーション」に努めている至って普通のOLだ。

ただ、祖父から『女の子は強くなくっちゃあいけない!』とのことで

様々な護身術を習い、最終的にはありとあらゆる拳法の達人となってしまった。

その”おかげ”で入社してから一度も男性から告白されたことがない。

パンをトースターに入れながら、コーヒーを注ぐ。寝ぼけている頭を起こすには

この黒い液体が何よりも役に立つ。


 コーヒーを飲みながらテレビをみていると日々頭を悩ませてくる人物の顔が浮かんだ。ほかの男性が私から距離を置いているのをいいことにちょっかいをかけてくるいけ好かない上司がいる。そのくせ”セクハラ”も一緒についてくる。そんなハッピーセットはいらない。

 なんてことを考えているとちょうどよくトースターからパンが勢いよく飛び出してきた。そうだ、はやく食べて嫌なことも胃に流し込んでしまおう、みんな胃に入ればおなじだ。

 歯を大理石のようにピカピカに磨いて、壁にかけているスーツをきる。

そんなこんなでおそらく最後になるであろう自分の部屋から出た。今思えば火の元線を切っておけばと後悔している。


そのまま会社に着き、自分の椅子に腰かけようとしたときだった。

「グッッッモーニン!シェリアちゃん!今日もグンッバツに可愛いねぇ!」 

耳障りな声が私の左耳をいらだたせる。

「おはようございます。」

そっけない返事をして早く視界から消えることを願った。

「あれあれぇ?今日はどうしたのかな?不機嫌みたいだけど…もっしかしてぇ…⁇」

今すぐ拳で叩きのめしたい気持ちを抑えつつ、 

「やめてください、セクハラで訴えますよ。」

「っやっだなぁ、シェリアちゃん。ほんの冗談だよ、ジョーダン!」


 もうこんなことがかれこれ二週間は続いている。「もう我慢の限界だ」と感じた私は必死に止めようとするセクハラ上司を振り払い、トイレに入った。

 そのあと職場に戻ってくると上司の姿が見えなかった。てっきり私は他の女性にも話しかけているものだと思った。


 彼は私だけではなく他の女性社員にも同じことをしており、女性からは嫌われていた。同僚に聞けばどうやら外に出ているらしい。それを聞いて私はこれまでのことをやめさせるため彼のパソコンから弱みを握れないかと思った。


 そこからはあまり覚えていない、覚えているのは彼の部屋までいき、彼のパソコンの中の私からは理解ができないものが入った秘蔵ファイルをみつけたところまでだ。それをディスクにコピーしていると、彼と彼の部下が入ってきた。ばれてしまったこともあり、上司の顔が変に歪んでいた。絶体絶命だと思い、あきらめかけていたその時、上司のパソコンが小刻みに揺れ始め気づいた時には爆発していた。コピーしようとした容量が大きかったのか、パソコンが(いろんな意味で)耐え切れなかったのか。いまではわかりようもない。その爆発で生まれた超エネルギーが時空のはざまを生み出し上司や部下もろとも吸い込まれてしまった。



こうして私は平凡な日常に別れをつげた。



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