最終章6  『マジカル☆インベントリ』

 既に、魔法とサン・フラワーによる

 超大規模破壊兵器による攻撃により、

 300億を超える戦艦が破壊され尽くされていた。


 戦艦によって築かれた、300億の戦艦の

 スペースデブリが引力に引かれ、その超重量によって、

 ブラックホールと化していたはずである。


 ――だがカグラたちにはソレイユ(妹)の

 マジック☆インベントリがある


「マジック☆インベントリ! にへにへぇ~!!」


「正義の魔法――バキューム・クリーナーにへ!!」


 ソレイユ(妹)の宇宙空間に超巨大な

 擬似的なブラックホールが出現。

 このマジック☆インベントリ自体には、

 吸引の能力が無いため、ソレイユ(姉)が

 吸引魔法をマジック☆インベントリに重ねている。


 このマジック☆インベントリであるが、

 セレネとその姉妹たち

 高速演算により、その正体の解析は完了している。


 このマジック☆インベントリの中は、ディラックの海である。 

 全ての質量のある非生命体は全て

 0と1で解釈コンバートされ、


 質量のある非生命体は概念に変換される。

 故に、この星の近隣で破壊された

 スペースデブリ問題は、彼らに

 一切の影響を与えていない事になる。


 このマジック☆インベントリは、

 死体も非生命体のカテゴリとして

 認識するので、そういった意味では、


 このマジック☆インベントリの空間の

 内部は何百億という人間たち

 墓地といっても良い状態となっている。

 最も、0と1に変換されてしまっているが。


 ――そして、セレネの解析結果によると、

 ソレイユのマジック☆インベントリには、

 空間としての限界がない。


 もしかしたらあるのかも知れないが、

 その限界を知るための解析能力は、

 セレネと姉妹達の高速演算を持ってしても

 解を導き出すことができないレベルである。


 そういったレベルの広さを持った空間である。

 ソレイユのこの、マジック☆インベントリの異能が

 あれば、この世界において、核廃棄物処理の問題や、

 環境汚染物質の処理問題も大きな問題にならないであろう。


 ――まずは、目の前の700億の戦艦を倒して

 からの話にはなるが。


「……おい、あいつら更に加速してきてるぞ」


「厄介デス……。賢者さんたちの複製魔法が間に合わない。このままだとぶつかりマス!」


「はえぇ……。攻撃魔法に、スペースデブリ回収にと、間に合わないにへぇ」


(……なんとかしないと!……これでは、守りが間に合わない……)


 異端審問官ハインリヒ・クラ―マーの

 ほとんどヤケクソでとった狂気なる戦術、

 700億の死の行軍は――有効であった。


 圧倒的な物量を、単純に敵に向かって、

 ただ前進させ、激突させる。


 ただ単にそれだけの戦術とも言えない、

『ただ引くに引けなくなったからのヤケクソ』

 それが、現実的な策として功を奏している。


 事実として、サン・フラワーと、ソレイユ姉妹のデブリの

 回収、それが間に合わなくなり、既に何隻かは撃ち漏らし、

 星への降下を許しそうになり、辛うじてダンダリオンの

 レメゲトンソロモンの鍵の魔法によって、撃墜

 しているという状況である。


(くっ……このままでは……ジリ貧だ……)


「くっくっく。おバカなカグラさんの事です。今『ジリ貧だ……』とか考えていたのではないですか? ソロモン72柱序列71位のダンダリオンの名に置いて課しましょう――カグラさんに百三番目の試練」

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