魔王様の現代生活
神原 怜士
プロローグ 魔王様、転生する
人には、誰しも他人には言えない秘密がある。この私、阿久津
パパパパ~~~!!キキーーーー!!
大きくクラクションを鳴らして信号を無視した車が、横断歩道を渡ろうとする子供に襲いかかる。
(全く、この世界は人の命を軽んじてはいないだろうか…。)
次の瞬間、私はその子を抱えて歩道に立っていました。ほんの一瞬の出来事で、周囲の目撃者も走り去る車の主も、何が起こったのか理解できなかっただろう。
「
対象の時間をほんの僅かな時間、音速を超える速度に変換することで、超人的な動きで行動する事ができる。私はこれを自分にかけ、僅か0.5秒の間にこの子供を救いだしたのです。
「怪我は…無いか?」
私の問いかけに、子供は軽くうなずいた。
『ありがとう…』
そう言って子供は、再び先程の横断歩道を渡っていきました。
ああ…私の秘密でしたね。別に魔法が使えるとか、そんなありふれたものではありません。勿論、前世の記憶があるのも当然です。そうなるように私自身が魔法を行使していたのですから。
ここまで言えば、大体の予想はつくはずです。そう、私は元魔王なのです。あ、魔王というのは、前世界で私が所属していた王国の称号で「王国一の魔術師」これが転じて「魔王」と呼ばれていました。
ただ、私の名誉ある称号は、いつしか国民の間で徐々に認識を変えていき、王国崩壊と共に、私は「魔族の王」としての魔王と恐れられるようになっていきました。
信じられないと思いますが、前世での人類は60~70年と言う平均寿命であるにも関わらず、私はあらゆる魔法を駆使して延命し、250歳と言う長寿と見た目よりも若々しい体を持っていたのです。
結果、人々は打倒魔王を掲げ私一人に対して宣戦布告を行いました。当時の私はそれを指を加えて見ているはずもなく、様々な魔法を駆使して人類に抵抗しました。巨大な魔法で村が丸ごと消滅することもあれば、召喚した悪魔や怪物を使役して人類軍と対立する一進一退の攻防が繰り広げられました。
(今考えると、自暴自棄になってたんだと思う。あれじゃ本当に魔王だよな)
そんな対人類戦争が5年も続いたある日、人類にとっての切り札とも言える「勇者」と呼ばれる人間達が現れる。勇者は剣術だけではなく、法術にも精通しその強大な力によって徐々にジリ貧となった私は、自らの肉体に
(まぁ転生は無事に成功し、前世がそのあとどうなったかなんて知る由もないけどね)
ただ、前世の記憶を取り戻すには、複雑なプロセスがあり、転生したばかりの私が
記憶が戻る前は、貧乏ながらも不自由の無い学生として生活をしていた私が、力の制御を取り戻してその生活が一変させ、いけないこととは知りつつ、ちょっとだけズルをしてお金を稼いで、ちょっとだけ正義の味方をしてみたりするそんか元魔王のお話しです。
魔王様の現代生活 神原 怜士 @yutaka0000
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