stay with me

ニシモリ アンナ

第1話 いつもの朝

 ふと、目がさめる。


 隣に確かに感じていたはずの温もりすでに感じられない。


 目を開けると昇ったばかりの朝日が一筋部屋を照らしていた。


 久々の休日。

 まだ起きだすには少し早いが目が覚めてしまい二度寝は出来そうもない。


 気だるい身体を起こしキッチンへと向かう。


 いつものカフェラテを飲みながらスマホを手に取る。


 メッセージアプリには昨夜の訪問者からのメッセージも来ていた。


《朝まで一緒に居られなくてごめん》


 いちいち謝るくらいなら夜の訪問はやめてほしい。


 そう思う紗奈だったが結局拒めない自分がいるのだ。


《大丈夫》


 絵文字も何もない。もちろんスタンプも。


 そして休日のルーティンをこなす。


 ヨガをしてランニング。

 運動で気を紛らわす。

 じゃなきゃやっていけないから。


 別に友達がいないわけじゃない。

 仕事も楽しいし、私生活だって充実している方だと思う。


 でも埋まらないそれを埋めるのは行為しかなくて。


 もちろん誰だって良い訳じゃない。


 それを埋めてくれる人がほしい………


 一通りのトレーニングが済んだ頃、めずらしく着信が鳴った。




「暇か?」

 いきなりすぎる一言のようだが、この人からの電話はいつもこんな感じ。

「別に予定はないけど」

 そう返答すれば

「じゃあ迎えに行くから用意しとけ」

 それだけ言って電話は切れた。




 愛されるってなんだろう。

いつかこの答えがわかる時が来るのかな。



さ、迎えが来る前に用意を済ませなければ。

気持ちを切り替えてシャワーを浴びる。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る