「僕らの日常」を別の視点から

如月米美

001~004  眠れない夜

001-♡01

ほかの者からして見れば、ここはどこにでもある住宅街。近くの川が心地よいリズムを奏で、遠くの踏切がちょくちょく鳴らす警音が風に乗ってやってくる。それ以外の音はない。


そこにぽつんと建つ五階建てマンション。周りは一軒家ばかりなので、かなり目立つ。そのマンションのそばにある駐車場で、あたしはないている。


悲しみ、悔しさ、恨み、憎しみ、怒り。負の感情が入れ代わり立ち代わり襲い掛かり、あたしを潰そうとする。それに抗うように、あたしはなき叫ぶ。

何も変わらないのに、そうしてしまう。

三日前の光景が頭から離れない。忘れれたら楽なのに、できない。


――――ヘッドライトに照らされる娘の姿




電線にとまったスズメが鳴いているのに気がついて顔を上げると、東の空が明るくなり始めていた。


帰ろう。帰らないと、おばさんとおじさんに心配をかけてしまう。もうかけているかもしれない。でも、これ以上かけたくない。

あたしには、たぶん長い時間は残ってない。昨日の昼に迷惑だと言ってきた人がいたから。

そうよね。迷惑だよね。夜中にないてたりしたら。あたしの声は、高くてよく響く。でも、やめれない。あの男はあのマンションに住んではいないが、関わりのある人間だってことはほぼ間違いない。


復讐なんてしたら、あの家にいることができなきなくなる。残された息子たちやおばさんとおじさんに迷惑かけてしまう。


けど、どうしようもない気持ちが渦巻いてる。ごめんあたしのせいで、あの家を壊してしまうかもしれない。

けど、この気持ちは消えない。どうしたらいいの?

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