第33話 いざ出陣
芳香剤のアドバイスで僕は冒険者ギルドに行き、会員証を発行してもらう。身分証としてちょうどいいとのことだ。
認定試験があったけど試験官の攻撃を全て食らってもピンピンしていたら合格になった。ちょろすぎる。
冒険者のトップがS級で、新米の僕はF級に格付けされるらしい。暇な時にでもS級を目指してみるのも楽しいかもしれない。
今は入会にあたって受付のお姉さんから説明を受けている最中だ。
その受付のお姉さんは犬系の獣人だった。鼻が良すぎるせいか僕と話をする時は常に鼻をつまんでいたけど、丁寧に色々教えてくれる。
ワン姉ちゃんが教えてくれたところによると、S級冒険者は現在5人しかいないらしい。
S級冒険者について得意げに話をしながらも、犬耳がぴこぴこと動くものだから内容があまり頭に入らなかった。
ただ、S級冒険者には超巨大ファンクラブを持つアイドル魔法使いがいることと、ザァメンという名前の騎士がいることはインパクトが強すぎて記憶に残ってしまった。
強く生きろ、ザァメン。
ワン姉ちゃんから冒険者の証明書としてギルドカードをもらった僕は、ギルドを出て食料を買い込み、大樹ハウスへと戻る。
大樹ハウスに戻ると、ミーナが芳香剤に抱きついていた。
なんだこの羨ましい状況は。
「あ、ドゥティ! みて! 私が字を覚えられるようにって、リンが本を作ってくれたの!」
とミーナが本を高く掲げて喜びを表現する。
「僕には?」と書いた粘土板を芳香剤に見せると、
「え、あなたには何も準備してないけど……。あ、魔術書を貸してあげるわ。」
と魔術書を取りに別の部屋へ行く。ほんの冗談だったのだが、芳香剤は真人間すぎて、ノアにこき使われ過ぎて擦れた僕には調子が狂う。
芳香剤は「スライムでもわかる火魔法」と書かれた魔道書を僕に貸してくれた。僕の見た目を考慮した結果だろうか。
さて、何はともあれこれで準備は整った。僕とミーナはこれから子供たちを助ける旅に出る。とりあえず芳香剤が教えてくれた、ここから西にある街、ミルミルに行ってみる予定だ。
僕は芳香剤にお礼を言って、ミーナを乗せて高速移動モードでカサカサと走り出す。
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