触手モンスターでも恋がしたい!(旧題:異世界に転生したら醜い化け物になっていた件)
イカのすり身
第1章 出会い
第1話 友達が欲しい
色々あって死んでしまった僕が異世界に転生したのはもう3年も前の話だ。
かなりこっちの世界での生活にも慣れてきたし、この巨大な腐ったりんごに、腕ぐらいの太さのミミズが100匹生えたような体にも段々愛着が湧いてきた。
移動する時は歩くというよりも体を波打たせるように動かすのがコツだ。
食事する時は体全体で包み込めば勝手に吸収してくれる。
眠る必要はぶっちゃけないようだ。
体内にはソフトボールぐらいの球体が6個浮かんでいるが、そのうちの2つが眼として機能している。残りの4つは使い道がまだわかっていない。
ちなみにこの球体は体から触手の先まで好きなところに動かせる。普段は触手の先に眼を置いて、キョロキョロとあたりを見回せるようにしている。
これを僕はカタツムリモードと勝手に呼んでいる。
こんな見た目なので今のところ友達と呼べる存在が全くいない。
寂しい。
もうこの際話し相手になってくれるならモンスターでもなんでもいいのだが、モンスターは僕を見ると襲ってくるか逃げるかしかしないので、てんでお話にならない。
たまに森の中を護衛付きの商人や冒険者が通ったりするので頑張って話しかけるのだが、成功した試しがない。
これもまたモンスターと一緒で顔面蒼白になって逃げ出すか襲ってくるかである。
襲ってこられても僕の体は基本的に物理攻撃ではダメージを食らわないようだし、かといって反撃もできないので困るしかない。
声帯がない中で一生懸命練習した発声方法で話しかけるも「ドゥボダァチ、ダボゥ……」(友達になろう)という感じになってみんなだいたい逃げてく。
悲しい。
こんな僕にお友達ができる日はくるのだろうか。
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