第60話

※作者注

 今回若干の性的描写を含みますので、15歳未満の方はご遠慮くださいませ。


 また、そういった描写を好まない方におかれましては、第60話は飛ばして「そういう事実があった」という認識の上で引き続きお付き合い頂けると幸いです。(多分)今回だけだと思いますので。


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 何処をどう歩いたか覚えてもいないし、いつの間にか山中に連れ込まれていたから、帰り道をどう行けばいいのか見当もつかなかった。

 だから、ターナに抱きかかえられて山を下りる間は、


 「あ、そういえば部屋を出てもうすぐ丸一日になるのかぁ」


 などと呑気なことを思いつつ、跳躍を繰り返すターナの腕の中で幸福感に浸っていられた。

 そして人通りも目立ち始めた町外れに降ろされると、


 「ターナ、お腹空いた…」

 「…あまり気楽なことを言わないでくれ」


 などとターナを脱力させるようなことを言ったものである。

 とはいえ、食事無し水分補給無し、は体にこたえたのも事実ではあったから、汗臭い体と薄汚れた格好で店員に怪訝な顔をされつつ、手軽に牛丼屋で一日ぶりの食事を済ませ、音乃の部屋に歩いて帰る途中のことだった。


 「…ね、ターナ。いいの?」

 「何がだ?」

 「その、あいつターナを新潟から引き離して何かしたいみたいだったけど…」

 「ああ…」


 音乃が頑丈な体であったことに感謝をしつつ、ターナはそんな疑問に少し考えてから、こう言った。


 「大丈夫なんじゃないのか。あっちにはあっちでコワイ奴がいるからな。多少のことなら問題ないだろ」

 「またそんなテキトーな…えっと、長女の家の長女の娘だっけ?」

 「ああ。戦闘能力なら間違いなく最強だろうしな。だから今日は音乃の側にいる。イヤか?」

 「!……いやなわけ、ないじゃない…その、私も今日は、ターナと一緒にいたいし…泊まってくの?」

 「当たり前だろう?泊まるところなどこっちに無いのだしな」

 「それもそうかあ」


 疲れた体を労るようにゆっくり歩きながら、そんな会話をする。

 思えば朝一の新幹線で飛び出してきて、音乃の部屋に飛び込み、そして誰もいないと知るや一日中その姿を探し求めていたのだ。竜の娘とて疲れはする。

 ただ、それを音乃に悟られるのも愉快な話ではない、と考えごとをしながら歩いている音乃の顔を横目で見ていた時だった。


 「…ん、どうした?」


 隣を歩く音乃が、指をからめるように手を繋いできたのを、ターナは少しびっくりした顔で受け入れる。


 「なんでも。ターナが側にいるんだなあ、って実感してた」

 「そうか。わたしも嬉しいぞ。音乃と一緒にいることが」

 「うん」


 照れるのかと思ったら、俯き加減に力なく呟くように言う音乃だった。


 そんな様子を怪訝に思ううちに、二人は音乃の部屋の屋敷にたどり着く。


 「…よくあの状況で鍵とか財布落とさなかったなあ、って思う」

 「むしろそれを持って出ていった方に驚くが…」


 鍵を開けながら感慨にふける音乃を見て、日常に帰ってきたのだな、とターナは思った。そして、音乃のいることが自分にとっての日常なのだ、とも。


 「ただいま~…って誰もいないんだけどね」

 「他の皆は?」

 「みんな帰省とか旅行とかで。明日になれば帰ってくるけど」

 「そうか。なら今晩は、二人きりだな」

 「……ん、そうだね」


 急に落ち着きをなくした様子の音乃。

 その緊張感が繋いだ手を通じて伝わってくるようで、ターナもわけの分からぬ動悸に軽く動転しかける。


 人気のない屋敷だったが、音乃はもちろんターナも勝手知ったる様子で一緒に音乃の部屋に行く。

 先に襖を開けた音乃に続き、ターナも部屋に入る。

 締め切った部屋は昼間の暑気もいくらかは感じさせたが、基本的には造りの良い夏場でも快適な屋敷である。音乃も、早速サッシを開けて風を入れでもするのかと思ったら。


 「…?!」


 油断していたターナは、音乃に引きずり下ろされるように畳の上に仰向けに倒され、そしてその上に音乃がのしかかってくるのを止めることも出来なかった。


 「…音乃?」

 「………」


 自分を見下ろす顔が、ひどく真剣であることにターナは戸惑う。

 ここまでそれほど逼迫した空気は無かったというのに。


 「どうした?」


 だから、下から音乃の頬を優しく撫で、心配することなど何も無いぞ、と音乃が全幅の信頼をおく笑顔を見せてやるのだった。


 「…こわかった。ターナが、狂戦士になる竜の娘が、どんな思いをしていたのか知って。ううん、私なんかが理解出来ることじゃないと思うけど…痛くて、苦しくて、それでそんな自分を誰も見てくれない、見捨てられたように感じることがこんなにも怖いことだって、思わなかった」

 「もう怖いことなど無いさ」

 「ターナのお陰だね」

 「…ふふ、任せろ。音乃が怖い時はすぐに駆けつけてやるから」

 「うっ、うん…ターナは、今度も…私が怖くてどうしようもないときに…助けにきてくれた……あり、ありがと…ありがとう、ターナ……」


 自分の顔のすぐ上にある音乃の双眸から、涙がこぼれる。

 頬を濡らすそれは、ターナに確かな実感として、自分にとっての全てを救えたという事実を教え、そしてターナは音乃を強く愛しく覚えた。


 「ターナぁ……一緒に、なりたいよ……」


 泣きながらそんなことを言う音乃を、ターナはもう好きにさせるつもりになった。

 期していたわけではなく、けれど音乃は迎え入れられることを疑わない。


 「…ん……」

 「…ねの……」


 そうなることを知って、ターナは音乃の唇を受け入れた。

 熱くて、熱さで蕩けそうなものが口吻の中に押し入ってくる。

 ターナは、こんな時どうすればいいか分からなかった。だから、自身の身の内にあるものが求めるままに、音乃の唇と舌を貪った。

 手と足が絡み合い、それで満たされぬ衝動が我が身を突き上げる感覚は、もどかしさと歓喜とそれからその先を知りたいという想いを強くする。


 「……はぁ、はぁ…」


 唇が離れた。

 文字通り鼻先にある音乃の顔は、暗がりでも紅潮しているのが分かる。瞳は濡れ、ターナの唇と彼女の唇の間にあった糸は、ゆっくりと重力に従って、落ちた。


 「音乃…その、これからどうすればいいのか…もう、我慢が出来ない…」

 「ターナ………ちょっと、言いにくいんだけど…」

 「うん?」


 きっと自分も同じような顔をしているのだろうな、と思いつつせがんだターナに、音乃はこんなことを言った。


 「…あの、先に体洗って……こない?」



   ・・・・・



 一緒に入るのが何故か気恥ずかしく、先に風呂を済ませていた音乃の待つ部屋へ、ターナは入った。


 「音乃…その、いいのか?この、姿で…」

 「うん。やっぱり綺麗だよね、ターナ」

 「ばか。いつも風呂は一緒に入ってるだろ…」


 暗い部屋で、一糸まとわぬ姿で待っていた音乃の前に、裸身をさらす。

 今さらそれを恥ずかしがる関係でもないだろうに、とふとターナは古い記憶のようになっていた思い出を蘇らした。

 着替えていた自分に慌てて、あの古いアパートの扉を勢いよく閉めてしまった音乃。

 あの時の音乃の様子は、今思い出しても微苦笑がこみ上げる。そんなことに頓着しなかった自分への懐旧も含めて、だ。


 「きて、ターナ」

 「…うん」


 そんなことを思いだし、立ち尽くしていたターナに、音乃が立ち上がって手を差し出す。

 その手をとり、見つめ合う。

 それから、どちらからともなく抱き合い、二人は。




 …行為のあることは知っていたし、それにどんな意味があるかも、知識としては知っていた。

 けれど実際にどうすればいいか分からなかったから、ターナは音乃のするがままにさせた。

 そしてそれにひとたび満たされると、音乃にされたことを音乃にして、その反応を見て今度は、と自分の思う通りに、する。

 音乃も、ターナの善がる姿に感じ、次々と、手と足と唇と舌と、それから彼女自身を使って、満たし、満たされた。

 二人は、意のままになる自分の体の全てを使い、互いを悦ばせる。

 そしてその様を見て、感じて、自身も昂ぶる。

 そのまま高みに登り、やがて、果てる。


 そんなことを何度も繰り返した。

 疲れはあったが、繰り返す度に覚える気だるさは、隣で自分を見つめるそれぞれの潤んだ瞳に押し切られ、耐えられなくなり、また覆い被さるように絡み合うのだった。




 「…はぁ、はぁ、はぁ……たー、な……」


 もうどれだけ時間が経ったか分からない。

 一度だけ正気に戻った時に、あまりの暑さでエアコンをつけるときも肌を合わせたままだった。


 「…あ、ああ…ねの、ねのぉ……」


 熱に浮かされたように名を呼び合う。

 時にその呼ぶ声は叫びのようでもあったが、今はすっかり落ち着いている。

 二人は並んで横になり、今は手だけをつないでいる。


 「…たーなぁ……わたし、まだ、足りないよ……」

 「……どれだけ、おまえは……ふふ、そう、だな…わたしも、まだ、欲しい……」


 起き上がって、音乃の上になった。

 見下ろした顔は静かに笑みを浮かべている。

 頬に貼りついた彼女の髪を手で払いながら、ターナは聞く。


 「…音乃、いいか?お前の中を覗いても……」


 暗がりにターナの瞳が輝きを増す。

 自分の中を覗く、そのことの意味を音乃は正しく解し、小さく頷いた。


 「いいよ。ターナに、わたしの中の全てを知って、欲しい……んっ」


 答えを待つ間もなく、口づけた。

 もう何十回行ったか分からない、舌を突き入れるような濃い口づけ。待ち構えていたものと自分のものを絡めながら、ターナは音乃が自分に向ける認識を、辿った。


 「………?!」


 一瞬、後悔した。その烈しさは、想像を遥かに超えていたのだった。

 音乃の、ターナに向けた心は、正面から受け止めるにはあまりにも重くて、そして優しい。


 これは、毒だ。わたしを甘く酔わせる、世界でもっとも強い、毒だ。


 呑み込まれそうな錯覚に、ターナは身を固くして音乃を抱く腕に力がこもる。


 「ん、んふ、うん…たぁなー……」


 返ってくる声は甘美に響いた。言葉にならない声で名を呼ばれ、それだけで果てた。いや、もう繰り返し果てていた。音乃に名前をよばれながら、何度も果てていた。


 けれど今度は、収まらない。高みに至ったそのままの想いを、ターナは自分の音乃への認識としてそのままに、換えす。


 (音乃…音乃、ねの……ねの……愛してる、愛してる、愛してる…っ!)


 そして気付くと、ターナの背中に回されていた音乃の腕は力なく崩れ落ち、けれどそれを逃すまいとターナは手の平を捉え、指を一本ずつ、ゆっくりと組み絡め、ぴたりと収まり一つになった二人の両手は、やがて静かに動きを止めた。


 「………う、ん…音乃、もう…」

 「……たーな…」


 顔を、離す。

 音乃の閉ざされた目蓋が、細かく震えている。短く早い呼吸が、繋がった衝撃の激しさを思わせた。


 その耳元に口を寄せ、ターナは囁く。


 「…音乃、もう…お前はわたしのもので、わたしは…お前の、ものだ、な…」


 閉ざされた目から、涙がこぼれ落ちた。

 それはことの前に流れた涙と同じくらいに熱く、それからターナには、ひどく尊く思えるものだった。



   ・・・・・



 「おはよ」

 「…ああ、おはよう…って時間でもないのか」


 目が覚めると、隣の音乃がターナを見つめていた。

 横になり、互いの顔を正面から見つめ合う姿勢のまま、ターナは部屋の中の時計を探したが、それを察して音乃が答える。


 「十時…ちょっと前かな」

 「…結局何時までやってたんだ?」

 「さあ…なんか時間を忘れて、ってこーいうことなんだって、思い出しただけだし」

 「それも、そうだな…」


 弱くエアコンをつけたままだったから、湿気もなく部屋は快適なままだ。空調をつけっぱなしで寝るのは体によくない、といってもそれどころではなかったのだし。


 「音乃」

 「うん?」


 ターナは腕を伸ばして、音乃の顔に触れた。少しぺたぺたするのは、汗の乾いた後だからだろうか。


 「よく顔をみせろ。折角髪を切ったところを、昨夜は明るいところでよく見てなか…っ……はぁぁぁぁぁ………」

 「え、ちょ、ターナぁ?恋人の顔見つめながらため息とかちょっとひどくない?!」

 「あ、いやそうじゃない…マリャシェの姿を見つけられなかった理由が分かっただけだ…わたしはアホだ…」

 「え、どゆこと?」


 音乃は軽く体を起こす。タオルケットがずれて、瑞々しい肢体が露わになるが、ターナはそれにはちらと目を向けただけで、心底落ち込んだ声で言うのだった。


 「…あいつ、多分髪を切ってる。髪の長いマリャシェの姿で捜していたから、見つかるわけがない…あああ、失敗したー……」


 体を転がして突っ伏し、足をばたばたさせるターナ。

 同じようにタオルケットがずれて、スラリとした体に似合わぬかわいいお尻がみえていた。


 「…まあ、とりあえずはいいんじゃない?今日はまだこっちにいるんでしょ?」

 「まあな。一日過ごして…明日には戻るさ。なあ、音乃。もう少しわたし達は…」

 「分かってる。まだ隣でくっついてる、ってわけにいかないもの、ね」

 「…うん」


 ターナは上半身を起こし、大きく伸びをする。

 もう互いに隠すものなど無いのは、心だけでなく体のこともだ。けれど恥じらいくらいはもう少し持った方がいいんじゃないかな、とでも言いたげな音乃の視線を受けて、ターナはまた横になった音乃を見て言う。


 「…体、大丈夫か?大分痛めつけられたようだし」

 「今さらそれ聞く?…まあ、ちょっと腰から下が自分のものじゃないみたいな感じはするけど」

 「え……おい、それって」

 「違うよ」


 音乃は微笑み、タオルケットを鼻まで引き上げて恥ずかしそうに言う。


 「…これがしあわせのうずき、ってことなのかなあ、って」

 「バカ」


 そんなつまらないことを言う口は塞いでやる、とターナはまた音乃の顔に口を寄せたが…。


 「…とりあえず風呂だな」

 「…だね。かなり、そのー」


 それはそうだろう。

 一晩中、汗まみれになり互いの体をねぶったりし、涙だの唾液だのそれ以外の何かだので、シーツもタオルケットも体も大変なことになっているのだから。


 「とりあえず、洗濯しながらお風呂入って。朝ごはんは…私が作るのでいい?」

 「もちろん。むしろ、それ以外は認めない」

 「おっけ。じゃあご飯食べたらちょっと出かけて…夜まで遊びにでも行こうか」

 「つまりデートだな」

 「恥ずかしいこと言うなぁっ!」

 「それこそ今更だろ、ばか音乃」


 タオルケットで体をくるみ、音乃の投げつける枕から逃れて部屋を出る。

 そして音乃に呼び止められ、これを持っていけ、と放られた替えの下着と部屋着を手に、ターナは風呂場へ向かった。




 (とにかく、元気になってよかった)


 広い屋敷のことで、部屋から風呂場へは考え事をするくらいの時間はある。


 異世界統合の意思が、音乃を脅してターナをマリャシェやシュリーズェリュスから遠ざけようとしていたのは確かだろう。

 だが、それを以て音乃の危機に駆けつけないことの理由には出来ない。ターナにとってそれは、絶対だ。

 そして、今回は上手くいったが、今後も音乃を巻き込む心配も無くは無いのだ。


 一方で、いくらか不本意な理由ではあるが、ターナの力が奴を凌いでいることも確かめられた。

 …であれば、よほどの理由もなく音乃に危害を加えることもないのではないか。


 (楽観的に過ぎるかな。だがまあ、どちらにせよ、シュリーズェリュスやグリュームネァと合流する必要はあるかもしれない)


 つまり、やることは変わらないわけだ。


 今日一日は休養に充てよう。

 音乃と過ごして、少し…かなり元気を補充し、それから…と思うのだが、やっぱり身がまとう匂いは、気になる。


 「…しかし、なんだかな…せっくす、というのはキレイなものとも限らない、ということなのか……な………」


 そう愚痴り、自分の肩先の匂いを嗅ぎながら脱衣所の扉を開けたターナは、そこにあった光景に身が固まった。


 「………」

 「………」


 対称的な顔だった。

 一方は赤い顔で心底恥じらい、もう一方は絵に描いたような仏頂面。

 それが並んで洗面台に向かい、歯を磨いているのだ。


 「………」


 ターナは、顔が青くなっているのが分かっていながら身動き一つとれず、妙にシンクロした動作で二人が口をすすいで口元を手拭いで拭き、そしてやっぱり同じ動作でこちらを向くまで、待つしかなかった。


 「………おはよう、ございます」

 「………おはよう、ターナさん」

 「………おっ、おは、おはおはおは……よお」


 真琴と、菜岐佐だった。

 というか、帰ってくるのは今日のことだったのでは…?

 もしかして朝一だったのか?なら昨夜あったことはバレてな


 「いえね?一緒に一日早く帰ってきたの。夕方頃出かけて、昨夜はお外でナギちゃんとご飯食べて、すこぅし遅めに帰ってきた、というわけなんです」

 「………」


 仏頂面を崩さない真琴が、押し殺した声で、ターナの知りたくない事実を披露する。

 菜岐佐はやっぱり赤い顔でターナから目を逸らしていたが、二人に共通するのは…やけに眠たそうなことだった。


 「あ、ターナ?そんなとこで何やってるの?早くお風呂に入って……はいって…」


 そして引き続き音乃が、ターナと同じようにシーツを身にまとい、やっぱり着替えを手にやってきたが、固まっているターナを押しのけて脱衣所に入ろうとして…同じように、青ざめた顔で、固まった。


 バサリ。


 期せずして、音乃とターナがそれぞれに持っていた着替えが、床に落ちる。

 そしてそれを折として、真琴が口を開く。


 「…ふたりとも結構、声、おっきいんですね?」


 「いやぁぁぁぁぁぁっ?!」

 「わぁぁぁぁぁぁぁっ?!」


 青から一転。真っ赤になった耳をだけ見せるように、二人は顔を両手で覆って、仲良くしゃがみ込むのだった。

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