第9話 ハロウィンパーティー

 私のクラスは文化祭で行う『アルプスの少女ハイジ』の劇を放課後、夜遅くまで練習した。この頃、学校近くの渋谷駅周辺ではハロウィンに向け、色々なイベントの企画が予定されて居たのだ。


 私も本当は文化祭よりハロウィンを友達と一緒に過ごす為、ハロウィンパーティーを友達と企画する予定で有ったのだが、文化祭の劇の練習に追われていた。


 そして、とうとう文化祭の当日の日がやって来たのだ。私はハイジ役の恰好かっこうをして自分の出番を舞台のそでで待った。


 他のクラスメイトも緊張した面持ちで、自分達が演じる『アルプスの少女ハイジ』の劇の順番を待って居たのだ。順番が近くなるに連れ、私の心の中に緊張と不安がよぎった。


 そしてクラス代表の田中が、こんな事を言ったのだ。

「俺たちの劇は、主役が一番重要だ!」


 私も勿論もちろん、その事は理解していた。しかし心の中ではこう思ったのだ。

「田中! お前はクラス代表なんだから、少しはわたしの立場をむべきじゃない」


 しかし追い討ちを掛ける様に、その場に居合わせた担任の若林がこんな事を言った。

「大丈夫だ! おじいさんは、お前を見守ってるから大丈夫だ!」


 全く頼りにならない担任からの投げ掛けに、私はもう誰も当てにならないと思った。そして自分ひとりで何とか乗り切ってやろうと言う思いがき、逆に吹っ切れたのであった。


つづく…

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