日記なのかこれは
黒煙
第1話 序文
吾輩は精神障害者である。名前もある。それは言わない。
あまりにも辛い日常から目を背けんがため、筆を起こしているのである。
現在は私は無職だが、再就職に向け、ハローワークが行っている求職者支援セミナーに通っている。主な勉強内容はパソコン、ビジネスマナー等である。
長年孤独だった私はそこで友人を見つけることを切望していたが、長年のニート生活で社会性が欠落してしまったせいか、となりの席の女性にすら一か月間、まったく声をかけることができないありさまだ。先日精神科でそのことを相談してみたが、「無理せずゆっくりとやっていきましょう」という無難な答えしか返ってこない。いったい私はどうすればよいのだろうか。
将来のことを心配するあまり、毎朝の新聞も読めない。新聞が読めないということは、社会から取り残される可能性が大いにあるということだ。
テレビも観る気にはなれない。こちらの気持ちも知らずにバカ騒ぎしている芸能人たちを見ると虫酸が走るのである。
今まで死を考えたということがないかと問われれば、それはもちろんある。しかし臆病者の私は実行に移せないのである。実行に移して自死を成し遂げた人々のことを考えると、なんと勇気があるのかと尊敬の念すら覚える。自殺未遂をした人々に対しても同様である。
私の症状は、統合失調症である。陰性症状である認知機能障害を伴い、緊張型とも呼ぶのだろうか、人前で心臓が高鳴ってしまい、うまく他人とコミュニケーションが取れないのである。社会にでるには致命的と言えよう。
私は実行力はあるほうで、この症状をなんとか軽くするため、様々な取り組みを行った。今回の求職者支援セミナーに参加することもそうであるし、日中は極力外出するようにしたり、キックボクシングをたしなんだりもしている。
しかし病状は現在悪化の一途をたどっている。物事に対する興味が薄れてしまうのである。本を読む気にもなれない、テレビを見る気もしない、趣味だった書道鑑賞に対しての興味も薄れつつある。
来月にはよくなる気がするのである。来月が待ち遠しくてたまらない。
根拠は去年の2月に占いで見てみてもらったところ、「あなたは今、トンネルの中にいます。トンネルはいづれ抜けます。1年我慢してください。それがトンネルを抜けるときです」。
一笑に付す人もいると思うが、私はなぜか、この占いを信じずにはいられないのである。第六感とでもいうのか、自分は来月には回復する運命にあるとしか思えないのである。
あと20日後、私が笑っているか、もしくは絶望に身をよじっているのか、ぜひ注目したいところである。
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