モノクロ

加賀研治

プロローグ

僕は叫んだ。いや、奇声を発したという方が適切かもしれない。

辛くも悲しくもあって自分でもよくわからない。

鈍い響く音と同時に体に独特の感覚が響き渡る。

体から流れる紅い液体が白銀の世界を染める。

失恋して車で川に飛び込んだり、自殺を図る人がいるけどまさかそれが自分になるとは…

考えると少し面白くなってきた。

きっと自分もテレビの前で失恋ぐらいでって誰かに笑われるんだろう。


しばらくして体の異変に気付いた。

体温が保てなくなっていた。

そろそろ別れの時間かもしれない。

死が近いことを実感する。

後悔はない。携帯のパスワードも解除してポケットに入れてある。メモ欄に遺言も残した。今回自殺を図った理由、精神的に追い込まれてたこと、僕が好き"だった"人への想い、僕の人生を支えてくれた全ての人への感謝。全てを綴った。

そして静かに瞼を閉じた。




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