隣の教室の香羅ちゃんはいつも周りを戸惑わす

期待の新筐体

濡れる

俺の名前は土井。

壁が薄いこの部屋は、いつも隣の声が漏れ聞こえる。

今日も今日とて、純朴な女子である、甲斐田かいだ加羅からの声が聞こえるのだった。


「ねぇ、止めてよぉ・・・。それ以上攻めないで・・・」

「何を言ってやがる。これくらいまだまだ全然だってんだ」


甲斐田の声と、もう一人男の声。

ここは共学な学校だ。男女が話すことなんて一切珍しくない。

この声は多分、甲斐田の幼馴染で仲が良い高木だろう。


「そんなに強気で来られたら・・・濡れちゃうよぉ・・・」


え?

男と女が同室にいて、濡れる?え?

い、いやいや、落ち着け俺。

地球は水の惑星だ。

至る所に水がある以上、濡れる機会なんて大量、無限大にある。


「まったく、まだまだこれからだってのに、そんなにびっしょり濡らしちまって」

「だってぇ・・・ドキドキしてきちゃって・・・」


ごくり。

ドキドキしてびっしょりって・・・。

そ、それってつまり、今から起こるであろう行為を想像して興奮した結果・・・。


否!!


そんなわけがない!きっとあれだ。

怖いことなんかを想像して、汗がびっしょりになったというオチだ。

ああ、そうか、そうだよ。

汗なら体内から出るものだし、濡れるという表現もぴったりだ。

ふんっ、ネタが分かってしまえばくだらない。

隣で行われているのはまったくエロくない行為だというこ─。


「やっ、やめて・・・!そ、そんなにおっきいの入れられたら、もう崩壊しちゃうよぉ!耐えられなくて、こぼれちゃう・・・!」


はぁぁぁぁああ!?

いや、ちょっと待てって!!

おっきいの入れるって何!?崩壊って何だよ!?

まさか・・・いやでも学校の教室でそんなわけ・・・。


「あっ、もうっ、出るっ・・・!」


~~~~~っ!!

俺はもう我慢できずに、自分の部室を飛び出していた。

だだだ、と足早に、隣の部屋の扉を勢いよくがららっ、と開ける。


「お前らっ!!一体何をやって・・・!!」


そしてやっぱりそこには、服を着ている男女二人がいたのだった。


「わっ、びっくりした・・・」

「おいお前、急に入ってくんなよ。零れたらどうすんだよ、水が」

「いや何で水一杯のコップにコインを入れて零れたら負けの表面張力ゲームしてるわけ!?」


今回のオチ・表面張力。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る