秋葉原アンダークエスト

よしのひろき

プロローグ

秋葉原消滅

20ⅩⅩ年5月東京の街が揺れた。

それは地震が原因なのか、はたまたそれが原因で地面が揺れたのかはわからないが、秋葉原の街がその日姿を消した。正確には秋葉原を中心とする半径1キロメートルの地域が地底へと少しずつ下がっていったのである。

異変に気がつき秋葉原から脱出するものもいたが、まさか自分たちがいる秋葉原の街そのものが下がっていると考えるものは少なく、地上から約500メートル下がった頃、景色の異常さに気付き、ようやく今置かれている状況を理解し始めた。しかし気付いた時にはもう遅く、地上に戻るには不可能な高さ、救助隊により数百人の救助は出来たが、秋葉原に取り残された人数は1万人以上、すでに救助不可能な高さにまでなっていた。泣き出すもの、呆然と立ち尽くすもの、異世界ファンタージーのようだと微笑むものいろいろな感情を乗せ、秋葉原は地底へと下がっていく。地上から約3000メートルでようやく秋葉原の街が止まった。多少の建物の破損などはあったが、ゆっくりと沈下したことで大きな被害はない。秋葉原が降下をやめた直後、数人の若者のグループがコンビニや、飲食店に押し入り食料を奪って消え去った。もうこの秋葉原に食料はない、飲まず食わずでいったい何日生きられるのか、彼らは今後のことを考える時間すらも奪われたのである。

そんな絶望的状況で、ある一人の青年が昭和通りを神田方面に進んだ先にある地層の壁に、謎の洞窟があることに気がつく。自然にできた空洞なのか?はたまた誰かが意図して作ったものかはわからない、わかっていることはその洞窟の中には見たこともない生命体、モンスターが住んでいるということだけである。

秋葉原の難民たちはこの洞窟を「ダンジョン」とよんだ。

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