第46話『魔王勧誘 前篇』

「では行こうか」

「は! 魔王様!」


斉藤は魔王と一緒に新たな軍門へと着いた。

人間に裏切る形であるが斉藤は誓ったのであった。

この方についていくと

そして、斉藤はこれを機に数奇な運命に導かれて……


「待て待て待てえええええええええええ!!」

「何勝手にナレーションで事を済まそうとしてんだ! 何これ! どういうこと! 何でお前魔王側に着こうとしてるの!! いったい何があったんだ!」


猛と長谷川は行こうとする斉藤の腕を引っ張って止めた。

斉藤は2人を見て


「おう! どうだ! お前らもこっち側につかないか!」


と誘った。

2人は


「いやいやいや! どういうことだよ! どういう流れで魔王側に着くの!」

「そうだぜ!! 俺たち一応は魔王を倒すって言うカテゴリーで旅をする予定なんだけど!!」

「そんなカテゴリー捨てちまえ!!」

「「はあ!!」」


2人は納得しなさそうな感じであった。

すると


「成程、君たちは私を倒すのか? かかって来るかい?」

「へ……」

「いや、今はちょっと……」


2人はチキった。


(なんだよこれ! てか仕方ねえだろ! いくら魔王を倒せるような力を手にしてるからって! 何このフォルム! 本当に一撃で殺せるの! 何か超怖いんだけど!!)

(つか、こいつの余裕もスゲエ気になるんだけど! 何か全てにおいて計算済みで不思議と倒せる気がしないんだけど!)


とひより出した。

それは仕方がなかった。

魔王の姿は鎧のフォルムで一見騎士に見えるが漏れ出すオーラと絶望が自然と耳から聞こえてしまうような圧倒的な気迫、腰には禍々しい魔剣っぽいものがあった。

すると一つの声が聞こえた。


「私のパーティーを潰さないでもらえるかな?」

「!! 聖!」

「今頃!!」


聖は言った。


「困るんだよ魔王さん、私アンタを殺すために旅をするつもりなんだけど?」

「ほほう、聖か、久しぶりじゃないか」

「「え!!」」


どうやら二人は知り合いのようだった。

それを猛が


「えっと、2人は知り合いでいらっしゃるんですか?」


と丁寧な言葉で聞いた。

すると聖は


「ああ、私は昔から生きてきたきたから魔王とは何度かあったことがあるんだよ、それなりのコンタクトも取って技術を幾分か盗んだ。」

「ふん、魔王の前でそんなことを言えるのはお前だけだよ」


と鼻で笑いながら言った。

そして、猛は


「えっと、聖さん? そんな時に魔王を倒そうとは思わなかったんですか?」

「ああ、思わんかったよ、技術も足らんかったし、まだ準備段階だったからね」

「そう言ってたな、お前は変わらんよ」


と魔王は呆れながら言った。

それを聞いて長谷川は


「で? 魔王様は何で倒そうと思わなかったんですか?」

「ああ、それはな、こやつにいくら準備をしても努力をしても無駄だということを世に知らしめて完全に私にはむかう者を消すためだよ」


と結構分かりやすい理由だった。


「まあ、俺はこっち側に着くがお前らはどうするんだ?」


と斉藤はまだ誘っていた。

2人は


「えっと、」

「いいけど、ちゃんと目的を聞きたい」


と言った。

しかし


「すまないが今ここでそれは言えん、聖がいるからな、だがお前らにとってそんな話ではないのは確かだ、現に斉藤は承諾したのが一番の証拠にならないか?」


と安心材料も提示した。

しかし、それでも二人は納得できなかった。

何故なら、魔王側につくってことは人間を裏切り、

完全に敵になるということになるのだからだ

そのため、2人は悩んだ。


「どうする? 長谷川さん?」

「どうしようって……でも聖がここにいて俺たち魔王側に付けるのか?」


と自分たちはもうすでに選択権を失っていることに気づいた。

聖は


「もし私を放って魔王側についたら真っ先にあんたたちの未来が無くなるってことに気づいてね?」


と微笑みながら言った。


「「魔王側には付けません」」


2人はもうすでに答えを決められていた。

魔王様は


「そうか、それは残念だ、さらばだ」


そう言って立ち去ろうとした。

それを見て聖は

「あれ~~~!! もう帰っちゃうの~~!! 思ったよりビビり? 私の力を恐れてるのかな~! ウケルんですけど!!」


と挑発した。

それを聞いて魔王は無視をしていた。


「ははーん!! お前さては無視するってことは本当なんだな!」


と言った。

魔王は


「まあ、確かにお前の力は脅威だ、今だって町を一つ滅ぼしたろ? こんな奴に構うと今の装備ではこっちの被害も甚大じゃない」


と冷静に判断して立ち去ろうとした。


「へえ、不利だから逃げるんだ」


とさらに挑発する聖

それを聞いても魔王は無視を決め込んだ・

すると聖はさらに


「ザーコザーコ! ビビりストがああ!! それでよう魔王やってるなああ!! バーかざーこ!!」


と完全に魔王を怒らす気で言っている。

すると魔王はプルプル震えていた。

それを見て斉藤は


「魔王様! 気にしてはダメです!」

「分かっておる」


と震えながらも帰ろうとするところに


「お前の母ちゃんでーべーそー!!」


と聖が言った瞬間


「オラのカ―チャンはでべそでねーべええええええええええエエエエエエエエエエエエエエ!!」


とブチギれた。


「……へ?」

「え? 何今の? 方言?」


猛と長谷川は呆然とした。


「あ!! しま!!」


魔王はすぐに口のところを押えたが


「ほほう」


聖はにやけた。

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