第27話『馴れ初め』

彼女は姫

私はその護衛として雇われた者

始めはそう言う関係だった。

しかし、リン姫が私と友達になって! と言ってから私は彼女の友達になった。

最初は立場上断るのも不本意だったから仕方なくという感じだった。

しかし


「見て見て! メリア! あんなところであんなところで可愛い猫さんが2人蹲って腰を振ってるわ! いったい何をしてるんでしょうか!」

「え、っと、ナニをしているんでしょうね……」

「ねえ! 近くで見てみませんか!」

「え!! いや、それはちょっと……」

「だっ駄目ですか……」

「……分かりました。でも少しだけですよ」

「はい!!」


そう言って2人はその猫のところに言った。

そして


「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛」

「に゛ゃあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛」


と猫二匹はうめき声をあげていた。

それを聞いてリンは


「なんか苦しそうですね……」


と悲しそうな表情を見せた。

それを見てメリアは


(どっどう説明しようか……お父さんが夜中にお母さんとヤってたことと同じだよね、いつもあれで目が覚めるんだけど……それにリン姫はこの手の知識がなさそうだ……これって生き物的にはとても必要なことで、苦しいってより気持ちいんだっけ? 動物がどんな気持ちでしてるのかまでは知らないけど……でもこれに関しては別に問題がないってことをリン姫に余計な知識を与えずに教える必要がある……普通はコウノトリさんが子供を運んで来るんだよって言えばいいんだけど、これに関しては行為を見てしまってるからな……そうだ! コウノトリを使おう!)


そう思ってメリアは


「あのね、これはコウノトリさんを呼び出す儀式なの!」

「コッコウノトリさんを!」

(お願いだ! 知っててくれ! それぐらいの知識を王様は教えててくれ!)


するとリンはハッたして


「そうなの! 確かコウノトリさんは子供を運んでくるってお父様が言ってました! そうなのですね! では苦しそうにするのは何故なんですか?」

「ほら! 人間って体を動かすと気持ちいけど少し苦しいでしょう!」

「確かに……護身術で槍の授業があります、私体を動かすのは好きなんですけど、あの後って疲れますね……それと同じなのですか!」

「そっそうだよ! 儀式をよく見てみて! ほら! 体を動かしてるでしょ! 特に腰を!」

「そっそうですね! 何かを打ち付けるように! ? あれ? 何か棒みたいなものが……」

「その棒は気にしないで! でもこれは必要な儀式なの! いわば体を動かすスポーツと一緒なの! だから少し苦しそうなの! 分かった! 分かったら邪魔しちゃだめよ! 二匹は真剣なんだから!」

「はい! 教えて下さりありがとうございます! メリアは博識なのですね!」

「まっまあね……」


気まずそうにメリアはそっぽを向いた。


「??」


そしてメリアは


「あ!! リン! 戻らないと怒られる時間になってるわ! 早く戻りましょう!」

「ああ!! 本当ですね! ごめんなさい! 早く戻りましょう!」


そう言って2人は走って城に戻った。


そしてそれから

2人はすくすくと育って行った。

最初はなんとなく一緒にいて護衛の任務をこなしていただけのメリアも

このネコ腰振り事件以来

2人の距離が一気に縮まった。

ネコ腰振り事件後メリアはリンの純粋さを見て

この子は私がいないとだめになるかもということにより

最初は教えることが出来なかった。

ネコの行為そのものをいつかちゃんと教えるためにも仲良くした。

そして、2人は他の者より一緒にいることが多くなり

いつしか親友同士になった。

そして10年後


「リン!! 行くわよ!」

「待って! メリア! 落ち着いて!」


メリアの落ち着きがなくなり逆にメリアが制止するようになっていた。

するとメリアは


ズドオオ!!


「ウゲエエ!!」


盛大にスッ転んだ。

それを見てリンは


「もう、メリア、いつからそんなに落ち着きが無くなったの?」

「へへへ/// もうすっかりリンの方が大人だね!」

「もう! あなたが私を制止してた頃が懐かしいわよ!」


と2人は言い合っていた。

それを見ていた王様とメリアの父親は


「あれでいいのか? お前の娘が変なことをしそうで怖いんじゃが……」

「申し訳ございません、私からきつく言っておきますから」

「そうしてくれ、リンもあの子の子と気に入ってるみたいだから変に引き離せないからな……」


そう言って2人は呆れかえっていた。

そしてある時に2人は町へと遊びに言っていた。

その日もメリアはリンと仲良く買い物に行き

メリアがリンを引っぱっていた。


「待って! 早いわよ! もうちょっとゆっくり!」

「もう!! リンは足が遅いんだから!」


そう言いながらリンは嬉しそうだった。

自分にもこんなに大切な友達が出来るなんてと思ってもいなかったのである。

昔からリンはお城の部屋で庭の様子を見ていること

勉強すること

マナーを守ること

国のことを勉強すること

様々な勉強で自分の時間を奪われて友達が出来るどころか

同じ年の事会うことすら敵わなかった。

唯一楽しかったのは槍の稽古であった。

その時が一番日々の抑圧を腫らすことが出来たのであった。

槍を振っている時が一番気持ちが落ち着いた。

そして、そんな日々で塗りつぶされたとき

メリアと出会った。

自分と同じ年ぐらいの女の子であった。

リンは思った。


(友達になってって言ったら友達になってくれるのかな……)


不安だった。

今まで同じ年頃の子と話したことすらない

なので、友達になってもらえないのではという気持ちが出てきてしまう。

そんな時


「ねえ? リン? もし失敗をするのが怖くても一度試してみれば? そうしたら案外うまくいくかもしれないわよ? 確かに失敗は怖いけれどもそれを恐れちゃ何もできないでしょ? だから物は試しよ! 頑張って!」


死んだ母親の言葉を思い出した。

その言葉がいつもリンを支えてきた。

そして

リンは勇気を持つことが出来た。


「待ってって!!」


リンは汗だくになりながらメリアを追いかけていた。

すると


ドカア!!


誰かに当たった。


「すっすみません!」

「痛ってええなああああああああああああああ! 何すんだよ!

「だっ大丈夫! リン!」


メリアは心配そうに走って戻ってきた。


「ごめん! 私が焦らせたせいで! そちらの方も申し訳ございませんでした!」

「せえええ!! 気が収まらねえよ!!」


相手はピアスをガンガンにつけた男だった。


「ただじゃおかねえぜ! お前ら二人とも酷い目に逢わせるからな!」

「そっそんな! ただ当たっただけじゃない!」

「ゴっごめんなさい! ごめんなさい!」

「リンは悪くないわ! 私があなたを焦らせたから!」

「いつまでごちゃごちゃ言ってんだよ!」


と言って男は2人に殴り掛かった。

だがパンチは2人に届かなかった。


「女の子に何をしてるんだ!」

「!! なに!」


そこには男の腕をつかむもう一人黒髪の男がいた。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る