第17話『逃げる』
「さてと、ここまでしたんだ斉藤! これで逃げれるだろう!」
と聖は斉藤を観察していた。
が
「いや、無理だろうあれは、だってあんな高い場所で縛られてるんだぜ?」
「ああ、いくらなんでもあそこからどうにかするんなんて、一度落ちなきゃ助からんだろう?」
と言った。
見ていると斉藤は高い場所で椅子に縛られている。
そこは少しでも動くと落ちて死ぬレベルである。
斉藤自身が反動で椅子を動かせば逃げれるが、そのためには一度そこから落ちないといけない
これこそが斉藤の処刑であった。
苦しんで苦しんで自ら死を望むようにとこの国の人間が仕掛けたのである。
だが斉藤は
「ふん!! ふん!!」
と声を上げながら動いていた。
反動で落ちようとしている。
それを見た長谷川と猛は
「おいおいおい! あいつ正気か!」
「助けようぜ! 死ぬぞあいつ!」
が聖が行く手を阻み
「ダメだ、もしかしたら骨折で済むように落ちるつもりじゃないか? まあ無理だろうがあいつの運を信じてやれよ!」
と熱く言ったが
内心
(プププ! まさかあいつあそこまで馬鹿とは! 普通は誰かが来るのを待って助けてもらうのが常識だろうが!! マジウケる!)
と思っていた。
すると斉藤の座っていた椅子が
ドオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオン!!
落ちて砕け散った。
そのおかげで斉藤は解放されたが
ボキ!! グチャア!! ドガグ!!
と鈍い音がして斉藤は血を吹きだしながら動かなくなった。
「ああ、仕方ないな」
聖は呆れたように言った。
長谷川と猛はブチギれて
「てめええええええええええええええええ!! 何が助けるだ! 人が死ぬのを見たかっただけか!!」
「俺たちを騙したのか! ふざけんじゃねえ!! 猛! こいつを液状化してやれ!!」
と言って猛は聖に近づいたが
「おっと! これが目に入らぬか? これはお前らに抗体がない菌だぜ! これを今ここで千葉ラストお前らは死ぬ」
「!!」
「くそう!!」
と2人はその場で制止した。
聖は勝ち誇ったように
「ふん、友達との友情もその程度かね? まあいいさ!」
と笑った。
すると
ムク
「……斉藤?」
猛は信じられないようなものを見た。
斉藤が立ち上がったのだ。
「ほほう、奇跡的に生きていたか? だがいつまで持つか……」
と見ていると
斉藤の傷が完全にふさがった。
「ふうう、不死は怖いし、嫌だから超回復をチートとしてもらってよかった。ちょっとでも息があればすぐに生き返るのがなかなかいいものだよ……」
それを聞いて聖は
「素晴らしいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいい!! まさかそんなチートを持っていたなんて! 予想外だ! チートは持っているのは知っているがその能力を選んでいたとは! 君はなかなか面白いな! しかも不死で無く超回復か! 必ず終わりを作るのもまさに予想外だ!」
歓喜している聖を見て猛は
「お前のせいで死にかけたんだ! 謝ってこい!」
と怒ったが
「まあまあ、いいじゃないか! それよりあいつをパーティーに入れようよ! そうすれば魔王退治も捗りそうだ!」
と笑いながら言った。
猛は
(こいつはこういう奴かよ……本当に人として幻滅する……)
とドン引きしていた。
すると
「町にこの毒をばら撒いたのは誰だ! 答えろ!」
と誰かの声が聞こえた。
聖は
「?? 何事だ?」
猛と長谷川は
「お前が最初にこの町に菌をばら撒けって言ったんだろうが!」
「それで怒った奴が来たんだろう?」
と言った。
だが聖の疑問は晴れなかった。
「だって、あの金で生きてるやつなんているわけがないだろう? 私のお手製だぜ?」
と自慢げに言った。
だが実際に生きていた。
そして聖は声がする方を見た。
そこには1人の少年が立っていた。
別の方向でまだ自分よりも遠い場所にいた。
聖は
「取り敢えずもっと高い場所に行こうか? ここだと見えにくい」
と言って猛に指示した。
「チッ」
と舌打ちをしながらも猛は液状化して地面を掘り進めた。
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「で? あれが敵かい? たっくさんいるね……まあいい」
「おそらく町に滞在していた冒険者か勇者の1人じゃない?」
「何故分かる?」
長谷川の言葉に猛が質問した。
聖は呆れたように
「どっからどう見てもあの顔は日本人の者だ、ならば勇者の可能性の方が高いだろう?」
と言った。
猛は
「まあ、流行ってるからな、ハーレムもチートも勇者も……でもスローライフもあるからここで済んでんじゃねえの?」
と言った。
「そう」
聖は何かを考えながら言った。
そして
「まあいい、返り討ちにする、手伝え、出ないとお前らの命だって危ないはずだ」
2人は
「まあいいよ、命は助けられているし」
「そうだな、お前のおかげで生きられるのだからあんまり逆らわんさ、液状化したかったけど」
と斉藤をパーティーに入れようとしたがイレギュラーによって別のことをすることにした。
すると聖は
「ふふん、私たちはさっき出来たパーティーにではあるがこれを訓練としようか! 菌は空気中に舞ってるからどうにかなるさ」
がそれと同時に聖は
「待て、何で菌にやられて……あ、そうかあの魔法使いがマジックシールドで守ってやってるのか、クックック、菌の攻撃をもガードできるとは個々の魔法の発達技術はさすがだな」
「どういうことだ?」
猛は言っている意味が分からなかった。
聖は
「まあ、知らんだろうがここの魔法技術によって攻撃以外にも毒をガードしてるように見えるが菌は物体だ、だからこそ付着しただけで人体ならこの菌の強さならそれだけで体を溶かすんだけどそれを攻撃と捉えている、まあ中に入ると攻撃できるがあれの技術はどうやら空気すら綺麗にするほどのマジックシールドだ、正直あれを使えるのはなかなかの天才以外いない、あの魔法使いかなりのものだな、だがお前の液状化能力なら大丈夫! いけ! 猛! お前のチート能力で!! そして長谷川はヘルプに付け!!」
「おおう」
「人使いが荒いぜ」
2人は文句を言いんがら行った。
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