第1話アナリシスの日常
「おはよう」
「おはようございます」
歪な形をした和室の部屋の中で私達は挨拶を交わす。なぜ歪かという解は私がが作った部屋だから。
よく見れば分かる。そう、例えば壁…とかね?
部屋の角を跨いで襖が存在していたり、描かれた不思議な光る線。
見るだけでは分からないけど開けて入っても同じ部屋に戻ってしまう襖があったりする。
ちゃぶ台で私はお茶をすする。
「アナリシス様、アナリシス・ルディカリーエラン!」
「なに?メイ」
私はメイド服を着た女性を見る。私より身長が高い彼女は人間ではない。
いや、正確には私が作り出した
もう五百年くらいの付き合いだから、メイドから取って名前付けたって言っても怒らないと思う。
「朝食が冷めます」
「やだ、今はお団子が食べたい」
「駄目です」
「えー!鬼!」
そんな声がここ、世界樹から響いた。
世界樹が世界樹といわれる理由は二つある。
一つはこの木が数百年前に突然ポンッと現れたから。
もう一つは荒地だったここら一帯に木々が生い茂り世界樹の森と呼ばれるほど自然豊かになったから。
でも、まあ、これは世界樹じゃなくて建造物だし、その周りも私が創り出した木だから自然のものと違うし…切り倒すなんて無理だと思う。
私は茶をすすりながら南西を見やる。
なんで倒そうとするかな…
「排除、させますか?」
「いや、良いよ。あの程度の奴等じゃ何もできない」
だから…
「だからその危なそうな武器しまおうね」
ニコリと送った視線の先にはシュンとしながら武器を下ろすメイがいた。
ふう、危ない危ない。
世界樹の森が危ないとされるのはこの森に入ると稀に帰ってこない人がいるからだ。
危ない魔物か何かが居るんだと思われているみたいだけど全くその通り。
メイとか、メイの手下とか。
危なっかしいとかそんなレベルじゃない。危険なのだ。
彼等に見つかり運が悪ければ命を取られ、普通なら世界の何処かに飛ばされる。まあ、運が良いと何事もなく帰ることができる。特に心が綺麗な人は運が良い場合が多い。
…メイドの手下の魔物とか面白そうとか調子に乗って創ってすいませんでした!
まあ、でも手下達は狼の姿をしていてモフモフで癒されるし可愛いし人間の形にもなれるから便利だし後悔はない。
そんな事を考えていると世界樹を登ってくる六つの気配を感知した。今日は今までのより強いかな?とそんな事を思いつつ私は立ち上がり歪な襖を開ける。
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