第14話 第1魔法少女、栞

 ここは渋谷のマンションの屋根裏部屋。

「なんだか主役の私にスポットライトが当たるのが久しぶりだわ。」

 調べてみると栞個人の話の回は、本シリーズの2の26話以来である。

「マジか!? そんなに間が空いていたのね!? キャラクター多過ぎ! 登場させ過ぎよ!」

 現在、谷子のほんのおねえさん、栞の2020魔法少女エルメス降臨祭、そして、おまけの魔法少女48アイドルコンサート。そのために魔法少女は48人を目指してハイペースで増やしてきた。

「文化祭でも開催する気か? まあ、確かにナンバーリングすると、全部集めてコンプリートしようというお金持ちのファンがいるのも事実だけど。」

 通称、太客と言われるお金持ちのお坊ちゃん型である。しかし売り上げのために好き勝手させていると、アイドルが危険な目に合ってしまう。

「で、話を戻すと、もう私は作詞活動くらいしかやることが無い。困ったわね。」

 栞の生い立ちの話は、夜空のお星さまで連載中だし、特に目新しストーリーがなかった。

「困った時は、登場キャラクターを増やそう。ケーリー! バーキン! いらっしゃい!」

「困った時だけ呼ばないで下さい。ワン。」

「どうせ私たちのことなんて忘れていたくせに。ニャア。」

 栞の使い魔兼家族の犬のケーリーと猫のバーキンの久々の登場である。

「そんなに怒らないで。魔法少女が増えすぎて、使い魔兼家族を持っていない魔法少女もたくさんいるんだから。」

「それは一大事!? ワン。」

「私たちも消されてしまう!? ニャア。」

 魔法少女が48人もいると、使い魔兼家族の必要性が下がる。使い魔兼家族の存続の危機である。

「大丈夫よ。あなたたちは主人公の私の家族なんだから。絶対に消されたりないわ。私が消させないから! 私が守るから!」

「エルメス様の家族で良かった! ワン。」

「今の感情がこもった良い歌詞ですよ! ニャア。」

「そお? いただき。」

 しっかりと歌詞をメモに書き留める栞。

「どうすれば、あなたたちの登場シーンが増えるかしら?」

 マスコットアニマルの猫のケーリーと猫のバーキンが登場して活躍しなければ、ぬいぐるみが売れないので困る。

「魔法少女が大量にいるので、私たちが魔法が使える素敵な犬猫という設定は無理ですね。ワン。」

 ケーリーとバーキンは、動物の大先輩、魔法トトロにはなれない。

「常にエルメス様の肩に乗っていましょうか? ニャア。」

「肩がこるからやめてちょうだい。」

 自分の健康を1番に考える栞。

「魔法けものフレンズみたいに、擬人化しちゃう? そんでもって、ケーリーとバーキンも、魔法少女になっちゃおうか?」

 魔法少女の人数が多くなり、魔法少女だけで物語が進むようになった本作品は、徐々に魔法少女以外のキャラクターの立場が無くなってきた。栞の苦肉の策である。

「それは断ります。ワン。」

「私も断ります。ニャア。」

 意外にもケーリーとバーキンは、栞の提案を断ってきた。

「どうしてよ? 破格の好条件だと思うんだけど。」

「私たちは、疲れたエルメス様が、お家でゆっくり休めるように、自宅で家事をして待っています。ワン。」

「だから、こうしてメインストーリー以外のプライベートストーリーが描かれた時に、大好きなエルメス様と一緒に過ごせるだけで、私たちは幸せです。ニャア。」

 栞の使い魔兼家族の犬のケーリーと猫のバーキンは、栞にはもったいないくらいの良い犬と猫であった。

「う、う、うう。私は、なんて幸せな人間なんだ。」

 栞は感動して涙を流す。破壊活動さえしなければ、栞は良い子なのである。

「今日はみんなで回転ずしに行きましょう!」

「動物は入店禁止ですよ? ワン。」

「そこは魔法で擬人化させてあげる。」

「やった! 家族水入らずで、お寿司だ! ニャア。」

 がんばれ! 栞の使い魔兼家族、犬のケーリーと猫のバーキン!

 つづく。

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