元レベル99の転生者 バグってレベル1に戻されて、現在魔王討伐やり直し中

黒鉄メイド

プロローグ:リセット&リスタート

第1話 レベル99の転生者

「ナカムラ キョウヤよ。あなたは死んでしまいました。ですが、生き返りたくないですか?」

 

 そう天界の女神を名乗る人物が、俺に語りかけたのが全ての始まりだった。


「あなたの中に眠る力を解放して、魔王に囚われた世界を救っていただきたいのです」


 そんなアニメや漫画、ゲームで散々聞かされた勧誘文句に、俺はノータイムで乗っかり異世界転生を果たした。

 

 最初に出たのは、何もない広い草原が広がる丘の上。

 下には小さな村が見え、俺は手始めにその村に行った。

 その村で俺は可愛い義妹ができ、名はシャーロット・ソードハートといった。

 真っ白な美しい髪と肌に、大きく見開いたルビ色の瞳。そしてどこまでも純粋な妹を見て俺は改めて誓ったのだ。

 絶対に魔王を倒してこの妹を守ろうと。


「本当にキョウヤお兄ちゃんが魔王を倒してくれるの?」

「ああ任せとけ! 俺がパパッと倒してやるからよ!」

 

 そう言って村で別れた、わが愛しき義妹は今どうしているだろうか。

 元気にしているだろうか? 心配だ。

 だがこれも全部魔王を倒せば全て解決すること!


 そんな意気込みを胸に冒険を続け、始めに立ち寄った王都で、転生者と名乗ったら着いてきた女性神官のキャロラン・ホーリーライト。問題児な不良魔法使いのキャルルケットシーに、最狂戦士・ブルック・ハーデストを仲間に引き連れて、俺たちは魔王幹部が持つとされる魔王城にへと入るための鍵を手に入れるための数々の冒険を繰り広げてきた。


 あるときは戦闘。

 あるときは友情。

 あるときはちょっとしたラブコメ的なこともあったり無かったりと、とても死ぬ前では味わえないような楽しくわくわくする経験の数々だった。

 

 その結果、気がつけば俺らのパーティーはたった一年そこいらで魔王討伐の最前線パーティーにへとのし上がっていた。

 

 そして全ての鍵が揃い、俺達は今、魔王の間近にまで迫っていた──!



◇◇◇



「痛った! 何しやがんだよ!」


 眠っていたキョウヤが目を覚ますと、目の前には青髪で、白い神官の衣服を身に纏った女性が自分の顔をのぞき込んでいた。


「起きてください、キョウヤ。着いたのですよ?」


 女性の名は、キャロライン・ホーリーライト。

 キョウヤのパーティーの中では一番古くからいるメンバーであり、神官の職に就いていた。

 その清楚で美しい顔立ちはどんな人間でも癒やされると評判であり、他の冒険者からも人気が高かった。

 そんなキャロルの顔をしばらく眺めた後、、キョウヤは唇を突き出した。


「ん~っ……ぐはぁ!?」


 キョウヤの頬には、手の平マークが刻まれた。


「バカなんですかあなたっ!? こ、こんな真っ昼間にそ、そんな……そんな不道徳なことできるわけ……! せめて暗くならないと我が主の目にも入ってしまいます……」

「おいおいマジになるなよ、汚れ神官。ちょっとした冗句だぞ?」

「あ……あなたと言う人は……!」

「ちょいちょい、二人ともいちゃラブするのは要件終わらせてからにしてよぉ」

「これも仕方が無いことだ、キャルルよ。もしかしたら今回こそは我々は最後かもしれん。だからキャロラインがキョウヤと愛し合うのも生き物として当然の──」


 魔法でキョウヤを吹き飛ばそうとしたキャロラインと止めたのは、ソバカスと赤髪が特徴的な魔法使いのキャルル・ケットシーと、その大きな体格に大剣を鞄を背負い、歴戦の戦いの傷が刻まれた顔を持つ、最狂戦士ブルック・ハーデストだった。



「ちょっと待ってブルック!? 違いますからね!? 私とキョウヤはそんな関係じゃあありませんからねっ!?」

「で、着いたのか?」

「うん、バッチリ目的地だよぉ」


 今彼らが立つのは、岩の壁が周りを覆う深い森の中。

 微かに霧が立ちこめていて、不気味な雰囲気を醸し出している。


「てかキョウヤもそろそろ転移魔法に慣れなよ。どうしてそう疲れて寝ちゃうかなぁ?」

「はぁ~あっ! 慣れない物は慣れないんだよ。てか疲労感感じすぎだろ、その魔法」

「それにしたってキョウヤ体力なさ過ぎ。もう少し体も鍛えたらぁ」

「ならこの戦いが終わったら俺、筋トレするよ。さてとフラグも立てたことだし、何処に指せばいいだ、この鍵は?」


 既にキョウヤの手には魔王幹部集めて完成したごつく大きな鍵が握りしめられている。


「鍵を持っているキョウヤなら、鍵穴が見えるはずだよ」「どれどれ……あ、なんか向こうに見えるぞ」


 見えたのは霧の森の中に浮かぶ青い小さな光。

 よく見ればそれは鍵穴であり、キョウヤはそこに鍵を指した。


「開けるぞ……?」


 一同の承諾を得た後、覚悟を決めて鍵を回す。

 すると、鍵穴の光は周りにへと伸びていき、周りの景色全体にへと広がる。 

 そして先ほどまで見ていた空間が開け、突如、目の前に歪な形をした城が現れたのだ。


 形も、重力も、常識すら無視した構造をするその城は、まさに異様そのもの。

 一体どのような立て方、魔法を行使すればこうなるのか不思議になるくらい、城は歪な形をしてそこに立っていた。


「とうとう……ここまでやって来たのですね……キョウヤ……」


 目に涙を貯めながらそう語りかけてきたのはキャロラインだった。

 キョウヤとは冒険当初からの付き合いであり、始めて彼の仲間となった人物。

 それ故に過去の記憶がこみ上げてきたのか、涙止まらず、次の言葉が出てきそうになかった。


「泣くのは早いぞ、キャロラインよ。魔王戦はまだ終わってないのだからな?」

「そうだってば、パーティーで一番しっかりもののアンタがそんなんでどうするのさぁ?」


 そう言って、ブルックは背中を、キャルルは頭を撫でて、キャロラインを落ち着かせる。


「そうだぜ、キャロル。お前がしっかりしなかったら、誰がこのパーティーを纏めるんだよ?」

「っ……あんたでしょうがっ、このバカリーダー……っ!」


 キャロラインはそう罵倒を飛ばすも、口元には信頼を寄せた笑みが浮かんでいた。

 それに答えるように、キョウヤは悪戯な笑みを返す。


「それに大丈夫だ、キャロラインよ。このバカはただのバカではないのだからな」

「そうそう、とびきり特別なバカなんだからさぁー」

「お前らバカバカ言い過ぎだろう、リーダーなんだからもっとねぎらえよ」

「いやいやぁ、尊敬してる尊敬してるて、すごいすごーい」

「キャルル……お前ここで絞めてやろうか……?」

「きゃー、怖いわぁーキャロライーン、リーダーが怒ったぁー!」


 そんな棒読み口調でキャロラインの背中にへと隠れたキャルルを見て、涙を拭ったキャロラインは思わず笑ってしまった。


「ふふふっ、そうでしたね。キョウヤはただの冒険者バカじゃない。なんせ、レベル99の冒険者でしたものね」


 この世界にはレベルというものが存在する。

 戦闘を経験したり、特訓に励んだり、やったことのないことにチャレンジすることによってそれは経験値として積み上がっていき、加点されていく。

 それが数値化として出るのがこの世界のレベルというものだった。

 

 だが、この世界の人間たちが一生を費やして上げられる限界値は、どう頑張っても40~50。

 共に旅をしてきて、周りの冒険者たちからも人目置かれる存在である、キャロライン、ブルック、キャルルの三人のレベルすらも、平均して50なのだ。

 それが生物の限界であり超えられない壁。

 しかしキョウヤはそれをぶち破り、レベル99という高台にまで上り詰めたのだ。

 

「そういうことだ、だから安心しろよキャロル。俺がいればもう勝ったも当然なんだからよ!」

「そうですね……それでは信じますしょう。今回はわが主ではなく、あなたのその力を──!」

「ああ、任せとけて!」

 

 今度のキョウヤはキャロラインに自信満々の笑みを浮かべた。


「それじゃあ魔王の居場所もはっきりした事だし、万全の準備をしてから行くぞ。泣いても笑ってもこれが冒険最後の戦いになる、後悔なく行こうぜッ!」

「「「おお!!」」」

 

 それからキョウヤたちは一行は森を抜けて、近くの岩陰に魔法の結界を展開し、そこで体を休めることにした。

 数キロ先にはキャルルが張った結界と、探知用の魔方陣が刻まれている。

 これで備えは万全、どんな相手が来てもすぐにへと戦闘態勢に行こう出来るようになっていた。

 一同はそこら辺ににへと落ちていた岩の上に腰掛けて、一息を付く。


「それでは、落ち着いたということで、腹ごしらえをするとしようか」


 ブルックそう言うと、背負っていた鞄の横から鍋を外す。


「キャルルよ、水と火を頼む」

「はいはーい、魔法使いにおまかせあれぇ~てね」


 その中にキャルルが魔法で出した水を入れて、魔法で目立たない程度の火を付けた。

 食材の材料もリュックから取り出していき、少し煮込んだ後、調味料で味付けをした。

 そして完成したのは、異世界の食材がふんだんに入れられた寄せ鍋だった。


「おお! 今まで取ってきた食材殆どが入ってるじゃねぇか! 豪華だな!」

「最後の戦いが控えているのだ。ならば、最高に美味いものを食べてこそ、力も出よう」

「あーもう無理! ささ、早く食べようよぉ~。 キャルお腹減りすぎて死にそうなんだからさぁ」

「そうね。それじゃあキョウヤ」

「おう! いただきまーす!」

 

 全員で合掌をし、全員が鍋にへと手を付けた。

 

「あ、これサンダータイガーの肉じゃん。こいつと戦うのメチャクチャ大変だったんだよな……そう言えばキャロルと会って間もない頃もこいつにかなり苦しめられたんだよな?」

「王都手前の森ですね、覚えてますよ。キョウヤが泣きじゃくりながら相手にしていたのを覚えています」

「泣いてねぇよ。あれはフリだフリ、タイガーさんを油断させるためのな」

「あははっ! 嘘っぽーい!」


「全く、あのときは驚きましたよ。最初は転生者様だというから、仲間になったというのに、全く戦えないのですもの」

「勝手に着いてきたのはキャロルの方じゃねぇか。出会った頃なんか『転生者様のお役に立つことが私の勤めですから!』て言ってくれるような健全神官だったのに、どうして今はこんなムッツリ汚れ神官になってしまったんだろうなー」

「だ、誰の所為でそうなったと思っているんですか……!」

「あははっ! そう言えばキャルルと出会った時もクソ雑魚だったよね、キョウヤて」

「私もお前と会った時はこんなか細い子供が魔王を倒すなどという戯言、到底信じられなかったものだ」

「へっ! そのか細い子供が今魔王の最も近くにいるんだぜ? どなもんよぉ!」


 キョウヤの言った魔王の言葉から、ブルックはある話を思い出し、箸を止めた。


「そう言えばこれまでにも何人もの強者冒険者が魔王を相手にしたが、今だ倒されていないとなると、中々に強敵と見られるな」

「そうですね。噂に聞くと、中にはキョウヤと同じく天から使いである転生者なる方々も含まれているらしいですね」

「それほどまでに魔王も強敵ということであろうな。何にしろ、気は抜けん」

「……そうだな」

「んぐ? どうしたのさキョウ、間抜けな顔してちゃってさぁ~?」

「ははは、お前には負けるよ」

「いひひぃ~、そう褒められると照れるねぇ~。ならこの戦いが終わったら、キャルル、キョウヤの妹になってあげてもいいよぉ?」

「皮肉だよ、分かってるだろうが。そもそも俺にはもう既に純粋で可愛い妹がいるんだ。あの子のためなら俺は魔王にだって勝てる! いや勝たなきゃいけないわけ、おわかり?」

「つれないなぁ~。キャル、こんなに可愛いのにぃ~」

「ああーはいはい、そうね」

 

 これまで冒険を思い出しつつ、会話は弾み鍋はみるみる内に空になっていった。

 その後は後片付けを済ませた後、日の出が出たら出発しようと決め、体を休ませるために全員眠りにへとついた。

 見張り番を立てなくとも、キャルルの結界と魔方陣が侵入者を知らせてくれるのだ。

 当たりから寝息が聞こえて間もない頃、キョウヤは一人起き上がり、装備を持って足音を消す魔法『シャドーウォーク』を使い、結界の張られた場所まで歩いて行く。 

 結界に手を突き出し、キョウは結界を一時的に解除。

 当たり一面にへと張られた探知用の魔方陣も難なく乗り越え外にへと出た。


「悪いなみんな、少しだけ出かけてくるわ」


 誰も聞いていない独り言を言い残し、キョウヤは岩山を抜けて森の中にへと消えていった。






「さてと、どこかにモンスターはいないか……?」


 キョウヤは余闇で暗い森の中を、暗視魔法を使って、まるで昼間のように進んでいく。

 魔王の城付近ならば、高レベルで強いモンスターがいるはず。

 それを求めて、キョウヤは一人夜に抜け出したのだ。


「流石にレベル99なら倒せるとは思うんだが……こう数十年間も誰も倒せてないとなると、出来るだけレベルは上げておいた方がいいだろうしな」


 通常、レベルを99まで上げることは実質不可能であると言ったが、それは転生者も含めての話である。

 その理由は得られる経験値の量に関係し、レベルを上げれば上げるほど次のレベルアップに必要な経験値は自然と高くなっていき、上がりにくくなってしまう。

 そのためどれだけ転生時に強い力をもらって強いモンスターを倒しても、レベル50から上げるには至難の技だった。

 キョウヤの聞いた話、自分を除いてこれまでに転生者が上げれた限界はレベル70。

 では何故キョウヤがレベル99まで上げることができたのかといえば、転生時に受け取った特殊スキルである、【経験値二倍】の効果による物だった。


『あなたの奥底に眠る力の具現化、あなたそのものを表す能力がそれになります』


 そう言われ、キョウヤは女神からこの力を受け取っていたのだ。

 これによりキョウヤは普通に得られる経験値の二倍を手に入れることができ、それを駆使してレベル上げていき、たった一年いう最速記録で魔王討伐の最前線にへと立ったのだ。


「どこまで上げれるのか知らないけど、念には念を入れて置かないといけないしな」


 転生者が現れたとされるのが約十年前。

 それまでに様々な伝説を持った転生者が現れては消えていき、肝心の魔王が倒されていない状況が続いていた。

 そのことを危惧して、キョウヤはこうして一人、限界までレベルを上げようとモンスターを探していたのだ。


「お、あれは……インパクトドラゴン……!」


 キョウヤが見つけたのは、黒鉄のように黒く硬そうな鱗を持ったドラゴンの見た目をしたモンスター。

 名はインパクトドラゴン。冒険者たち間では別名「初見ブッパ」と呼ばれていた。

 別名の由来は出会って早々に青色の熱線を吐いてくることであり、見つかればすぐに攻撃されてしまう。


「ならこれかな? 『サンダーインパクト』!」


 インパクトドラゴンの真上が突如として光、次の瞬間落雷を放ってインパクトドラゴンにへと直撃した。

 くらったインパクトドラゴンは一瞬で丸焦げとなり、体からは青い光が出てくる。

 それこそが経験値の源であり、それはキョウヤの体の中にへと入っていった。


「流石にこうもレベル差があると上がりにくいよな。まあ、出来るだけにしておこうっと、せめてレベル100くらいまでは上げたいところだがな」


 その後もキョウヤは付近にいる高レベルモンスターたちを静かに倒していき、経験値を得ていった。

 その結果、三時間後、体にある変化が訪れたのだ。

 経験値を得て直後、体から感じる高揚感。

 その感覚を、キョウヤは久しく感じていなかった。


「この感覚は……! やった! 上がるのか、レベルが!」


 レベルが上がる瞬間の体の変化であり、キョウヤの体の周りを少しずつ青い光が覆っていく。


「これでレベル100だ! 流石にこれで魔王にも勝てるだろうよ! ひゃっふぉー!」


 これでまた記録更新だ!

 そう喜んでいたキョウヤだったが、何か違和感を覚えた。


「ん……?」


 いつまで立っても光が収まらないのだ。

 普通であれば一、二分もすれば光は消えて、レベルが上がる。だが今回は三分をしても光は収まらず、むしろ増している。


「どうなってるんだ……? 何が起きて……あっ!?」


 その光は突如として赤色にへと変わり、体に痙攣が走った。

 意識が朦朧として、頭の中がぼうとする。

 必死に体の中で暴れ回る何かを押さえ込もうとするも、手足は言うことを聞いてくれず、その場にへと崩れ落ちてしまった。


「なにが……おき……て……?」 


 今までに見られなかったその現象に疑問を感じつつ、キョウヤの意識は暗闇にへと落ちていった。



◇◇◇




 差し込む光。

 肌に伝わる心地よい熱。

 柔らかな風がキョウヤの頬を撫でると、彼は何度か瞬きをして、目を見開いた。


「────あぁっ!」

 

 自分はいつまで寝ていた?

 いや、既に日は昇っている。出発する時間だ。

 そう思い急いで仲間たちの所にへと向かおうと立ち上がった時、異変に気づいた。


「ここは……何処だ?」


 周りを見渡すとそこには一本の木しかなく、後はただただ草原が広がっている。

 その先には見下ろすように小さな村があった。

 明らかに先ほど自分がレベルを上げていた、魔王城近くではない。 

 だが見覚えはある。

 背後にある木を確かめるように触り、最初に頭の中で浮かんだ場所を否定した。


「それじゃあおかしい……もしあそこだとしたら、一年でここまで木が伸びてるはずがない」


 自分が覚えている場所とは明らかに違う景色。

 配置は同じだが細部が違い、それは丘の下にある村も同じことだった。

 自分の知るあの場所とは、明らかに細部が異なっている。


「もしここが、あそこだとするのなら……」

 

 キョウヤは、背後にある木の根元を掘り始めた。

 もし最初に考えたことが正解だとしたら、あれが埋まっているはず。

 その思いでキョウヤは木の根元をひたすら掘り返して、それを見つかった。

 土の付いた物体。それは黒いリュックサック。

 とてもこの世界の物とは思えないそれは、キョウヤが転移時に持ってきたものだった。


「嘘だろ……ならここは……!」


 そうここは──、


「俺が一番最初に、転生して現れた場所じゃないかよ……!?」


 キョウヤが転生して最初に踏みしめた大地であり、彼の全てが始まった場所だったのだ。

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