第15話 告白

こんな事で嘘はつきたくないけど素直にも言えない。私は旦那さんに切り出した。


「大切な大切な友達が死んじゃったんだ。その人のためにも、供養のためにもハワイの海に散骨してあげたいの。生きてるときに約束したんだ。直ぐに出来なくてもいいから、みんなでハワイに行かない?行っちゃダメ?」


旦那の顔がきょとんとしてる。当たり前だ。でも、何か悟ったような顔。そしてくしゃっと笑った。笑うと目がなくなるこの笑顔に引かれた。


「それって、前に好きだった奴?毎年バースデーメールもらってた。誕生日になると、お前はそわそわしたり、テンション上がって嬉しそうだったり。気付いて1回だけケータイ見たことある。ごめん。これで前の奴の事、忘れられるんだね?忘れなくても、思い出に出来そう?」


うわっっ。まさか全部知っていたなんて。


「出来そう。私の最後の仕事だから。彼の友達もみんな願ってること。」


少し困った顔して、ちょっと考えてから言った。


「結婚前の事じゃ仕方ないかぁ。俺達新婚旅行まだだったよな?子供達も一緒に行けるなんて最高じゃん。来月の連休ならなんとかなりそう。でも、旅費が高いぞー。」


笑いながら旦那が言う。私は涙がでた。めったに泣かない私の涙。


早速、彼の同期に連絡をとる。住所を教えて、郵便で送ってもらう。数日後に届いた小包には、粉々で砂のようになってしまった彼の骨が詰まった小瓶が入っていた。


そして、私たちはハワイに行くことになった。これで本当に終わる。

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