モンシロチョウ、空へ・・・

第1話

今、私は世間から閉ざされている。

外がどうなっているのか、今の私にはわからない。

でも、空気は伝わってくる。

とても、寒いようだ。

少し前まで、私は外にいた。

歩くことしか出来ず、ただ大きくなるために、ひたすら食べていた。

食べられる物は、いつも同じ。

偏食ではあるが、不自由はしなかった。

親に感謝しないといけない。

でも、安らぎはなかった。

いつも、怯えていた。

その怯えに耐えながら、大きくなるために、ただ食べた。

そして、何度も衣替えをした。

この時が、最もあぶなかった。

そして、１年近くが経過し、今私は、ここにいる。

でも、そろそろこの隔離された世界からも、さよならだ。

あっ、光が見えてきた・・・

私はこの世界から、顔を出した。

久しぶりに見る外の世界。

もうじき、私はこの空へと羽ばたいていく。

可憐に、そして、かれやかに舞う。

昔とは、食べるものが変わる。

姿かたちは、変わってしまう。

私は、蝶。

モンシロチョウ。

今度は、私が子供たちを残す番。

それまでは、私は死ねない。

さあ、舞おう大空へ・・・

私の未来は、少ないかもしれない。

でも、懸命に生きよう。

子供たちのために・・・