第75話
「富貴恵ちゃん?何笑ってんの?」 富貴恵がやっと笑うのを止めた。大沼と同じ様に、嬉しそうだ。 「まさかねー。まさかこんなに効くだなんてね!凄いよ!!」 「何の事?」 リナは訳が分からなかった。何がそんなに 可笑しいんだ?! 「まさかここまで効くとはね。嘘みたい!」「ね~、だから何言ってるの?」 「リナちゃん、私ね、吉永の事を呪ってやったの。」 「エッ??」 「私、リナちゃんに吉永が言った事、やっぱりどうしても許せなくてさ。しかも私の事 まで言って!だから、リナちゃんは恐いから何もするなって言ったよね。だから私も仕方無いから監察官に手紙を出すのは止めたんだ。だけど違う方法で仕返しをしようと思ったの。」 「違う方法?」 「そう。だからね!私、呪ってやったんだよ。」 リナは訳が分からず、富貴恵を見た。 「私、藁人形で吉永を呪ったの。」 「藁人形?!」 「そう。昔からそう言うのはあるからね、 世界中。知ってるでしょ?」 「うん…。」 「だから藁人形をね、そういうのを作ったの。藁じゃなくても、綿を布に詰めて人型にして。それに針を沢山刺してね。」 富貴恵は得意そうに話し始めた。 「それを、怨念を込めながらやるんだよ。」リナは驚きながら黙って聞いていた。 「それで、それには生き血も必要だからさ。」 「何?!どうしたの?」 「仕方無いからペットショップに行ってハムスターを買ってきたの。」 「…。」 「それを、可哀想だけど針で心臓を刺して 殺したよ。それをその藁人形にかけてさ。」 リナは気分が悪くなってきた。 「それで真夜中に、三時に、人に見られない様に木に打ち付けて願うんだ。呪って下さい、何かとんでもない災いを与えて下さいって。」 「う、嘘でしょ?」 「ううん、やったよ!近所の神社にある大きな木でね。しかも一回なんて帰りに人に見られてさ。帰り際に家の側を通った人に。だから、もうその日は駄目!だから又次の日に行ったよ!」 リナは呆れるのと恐いのとで黙っていた。 「ねっ、だから吉永は癌になったでしょう?もう他にも転移してるんでしょう?!」 「だけど、偶然でしょ?だって千帆だって 二回も流産したんだから。」 「アハハハ、嫌だな、リナちゃん!私が忘れると思う?勿論その女の事も呪ったよ。絶対に子供なんて出来ない様に、絶対に産めない様にってね!」 「じゃ、二人を呪ったって事?!」 「うん、そう。で、本当はその人形にその 人間の名前を書くんだよ。体に。だから吉永のは書いたよ。知ってるからね、下の名前も。何しろ覚え安いもの、真実と書いてマサミだなんて!だけどその相手の女は分からないから。リナちゃんに、千帆って聞いただけだから。だから仕方ないからそのままそう 書いたよ。その代わり、うんと願ったからね!吉永にもそうしたけどその二、三倍は!だって本名が分からないんたもの。どうせ 千帆ナンテ名前も嘘に決まってるだろうし!だからハムスターも二匹買ってきたの。一人、一匹の生き血を使ってね。」 富貴恵が得意そうに言った。 「信じられない!」 「何で?だって現に吉永は癌になってもう 殆ど手遅れなんでしょ?死ぬの待ってるだけで。それに千帆も二回も流産してさ!そんな事、普通無いから。」 「でも、言ってたじゃん。ほら、千帆は だからそれで一千万貰ったって。」 富貴恵は又大笑いをした。 「リナちゃん、一寸大丈夫なの?!」 「何が?」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます